NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 135 · 営業の実践ノート

ロープレのやり方:営業の練習は、場面を一つに絞って短く回す

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営業のロープレは、営業役とお客様役に分かれて、商談の一場面を声に出してやってみる練習です。うまく演じることが目的ではありません。本番で初めて口にする言葉を、減らすための練習です。こつは3つあります。場面を一つに絞ること、時間を区切ること、見る点を先に決めること。この記事では、進め方、終わった後の伝え方、一人でやる方法を説明します。

今日できるようになること

次の商談から練習する場面を一つ選び、役・時間の区切り・見る点を書いて、先輩か同僚に15分ほどの練習を頼む(一人なら、声に出して録音する)。

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こんなときに ロープレをやることになったが進め方が分からないとき。やってみたが、感想を言い合って終わってしまうとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    練習する場面を一つに絞り、見る点を一つか二つ決める

  2. 2

    役を決め、お客様役に設定を渡す

  3. 3

    時間を計って、止めずに最後までやる

  4. 4

    事実→よかった点→次に試すこと、の順に振り返り、もう一度やる

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

ロープレとは

「明日、ロープレをやるから準備しておいて」と言われた。けれども、何を準備して、どう進めるのかが分からない。この記事は、そこから説明します。

営業の職場で「ロープレ」と言うときは、多くの場合、「ロールプレイング」を短くした言葉として使われています。コトバンクに載っているデジタル大辞泉は、「ロールプレーイング」を次のように説明しています。

実際の場面を想定し、さまざまな役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法。社員訓練や外国語会話の修得に応用されている。役割実演法。ロールプレー。(デジタル大辞泉「ロールプレーイング」)

なお、同じ辞書の「ロープレ」の項は、この言葉を「ロールプレーイングゲーム」の略と説明しています。辞書に載っているのは、ゲームの意味のほうです。営業の職場では、上の語釈にある「社員訓練」としての練習を指して、ロープレと呼んでいます。

営業のロープレは、次のような練習です。営業役とお客様役に分かれ、商談の一場面を、実際に声に出してやってみます。終わったら、良かった所と、次に変える所を確かめます。先輩への聞き方の全体は、新人営業の最初の30日にまとめています。この記事は、その中の「練習」の進め方を扱います。

何のためにやるか、先に決める3つ

ロープレをやる理由は、本番で初めて口にする言葉を減らすことです。頭の中で分かっている言い方でも、声に出すと、途中で詰まる所が見つかります。お客様の前で詰まる前に、やり直しのきく場で見つけておきます。

うまく演じることは、目的ではありません。台詞のように、なめらかに言えなくてかまいません。詰まった所が分かれば、その練習は役に立っています。会社によっては、試験としてロープレを行うこともあります。その場合は、何を見られるのかを、先に上司へ聞いておきます。

始める前に、次の3つを決めます。決めずに始めると、時間は長くなり、終わった後に何も残りにくくなります。

1. 場面を一つに絞る

「商談を最初から最後まで」やると、時間がかかり、振り返る点が広がります。一回の練習では、場面を一つだけ選びます。次の表は、場面の選び方の一例です。

場面練習することくわしい記事
最初のあいさつから、用件を言うまで名乗り、お礼、時間の確認、今日の順番アイスブレイクとは
今のやり方を聞く質問の順番、答えを要約して返すこと商談ヒアリング
最後の締めくくりまとめ、気がかりを聞く、次の約束クロージングとは
電話で、訪問の約束をお願いする名乗り、用件、日時の候補の出し方テレアポとは

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

選び方に迷ったら、次の商談でいちばん不安な所にします。予定が決まっている商談を題材にすれば、練習がそのまま準備になります。

2. 役を決める

役は、営業役、お客様役、見る人の3つです。3人いれば一人ずつ、2人なら見る人は置きません。

  • 営業役:練習する本人です。ふだんの自分の言葉で話します。
  • お客様役:設定に沿って答えます。設定は、営業役が紙に書いて渡します。「会社と立場、今の買い方、気がかりを一つ」の3行で足ります。
  • 見る人:口をはさまず、営業役が言った言葉をメモします。時間も計ります。

設定を渡すのは、お客様役がその場で話を作らなくて済むようにするためです。設定がないと、お客様役の答えが毎回変わり、同じ場面をやり直して比べることができません。

3. 見る点を、先に決める

見る点は、一つか二つにします。「用件と時間を、最初に言えたか」「相手の答えを、要約して返したか」のように、やったかどうかが分かる形で書きます。

決めておかないと、終わった後の感想が、声の大きさ、姿勢、言葉づかい、と広がります。どれも大事に聞こえますが、次に何を直せばよいのかが決まりません。見る点を一つにするお願いのしかたは、新人営業の最初の30日の「見てほしい行動を一つ」と同じ考え方です。

進め方:時間を区切って回す

ロープレは、短く区切って、同じ場面を2回やると、変えた所が確かめられます。次の表は、15分ほどで回す場合の、時間の区切りの一例です。

順番時間の例やること
準備2分場面と見る点を伝え、お客様役に設定を渡す
実演(1回目)3分時間を計って、止めずに最後までやる
振り返り5分事実→よかった点→次に試すこと、の順に話す
実演(2回目)3分次に試すことを一つだけ変えて、同じ場面をやる
記録2分変えた所がどうなったかを、一行書く

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

時間は説明用の例です。場面や人数に合わせて変えてください。手順は次のとおりです。

  1. 場面と見る点を紙に書き、全員に見せる。口で言うだけだと、始まった後に、人によって見る所が変わります。
  2. お客様役に、設定を渡す。読んでもらい、分からない所があれば、始める前に聞いてもらいます。
  3. 時間を計って始める。途中で止めない。言葉に詰まっても、そのまま続けます。本番では、やり直しができないからです。詰まった後に、どう続けたかも、練習のうちです。
  4. 時間が来たら、途中でも止める。延ばすと、振り返りの時間がなくなります。
  5. 振り返る。順番は、次の章で説明します。最初に、営業役が自分で気づいたことを言います。
  6. 同じ場面を、もう一度やる。変えるのは、一つだけです。2回目で言えたら、その言い方を紙に書いて残します。

時間を区切るのには、もう一つ理由があります。先輩に頼みやすくなることです。「ロープレをお願いします」より、「15分ほど、お客様役をお願いできますか」のほうが、相手は予定を立てられます。

終わった後の伝え方:事実→よかった点→次に試すこと

振り返りは、次の順番で話します。見る人やお客様役として伝えるときも、営業役として自分で振り返るときも、同じ順番です。

  1. 事実。見えたこと、聞こえたことを、そのまま言います。「用件を言うまでに、会社の説明が入りました」「時間は言いませんでした」のように、見る点に関わることに絞ります。
  2. よかった点。続けてほしい行動を、具体的に言います。「よかったです」ではなく、「名乗りを区切って言っていたので、名前が聞き取れました」と言います。
  3. 次に試すこと。一つだけ、行動の形で言います。「名乗りの次に、『30分と伺っております』を言ってみてください」のように、そのまま口に出せる言葉にします。

事実から始めるのは、受け取る人が、何のことを言われているのかを思い出せるからです。よかった点を言うのは、気づかいのためだけではありません。本人は、自分のどの行動が良かったのかに、気づいていないことがあります。言われないと、次にやめてしまうことがあります。

惜しい伝え方良い伝え方違い
「全体的に、硬かったね」「最初の一文を、一息で言っていました。会社名と名前の間で、区切ってみてください」どの場面の、どの言葉かが分かる。次にやることが一つある
「もっと自信を持って」「語尾が『〜と思うのですが』になっていました。『〜です』で止めてみてください」気持ちではなく、変えられる言葉を伝えている
「あれも、これも、できていなかった」「見る点の一つ目はできていました。二つ目の、了解を取る一言を、次に試してください」見る点に絞っている。できた所も伝えている

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

表の言葉は、説明用の例です。受け取る側は、言い訳をはさまずにメモを取り、最後に「次は、◯◯を試します」と自分の言葉で言い直します。助言の意味が分からなければ、「たとえば、どう言えばよいですか」と、言葉の形で教えてもらいます。

このサイトの運営者ウッシは、営業になって初めて受けたメーカーの研修で厳しく否定され、報告会では「毎日がんばりました」としか言えなかった、と話しています。そこから学んだのは、営業はデータ・数字・情報だ、ということでした。ロープレの振り返りも、「がんばりました」「よかったです」だけでは、次に変えることが残りません。言った言葉と、かかった時間を、事実として残します。その経験と、報告の書き方は、「頑張りました」しか報告できなかった研修にまとめています。

一人でやる方法と、場面で変わるところ

相手がいなくても、練習はできます。一人でやるときは、次の順番で進めます。

  1. 要点だけを、紙に書く。最初の一文、聞くこと3つ、最後の一文。台本を全部書くと、読む練習になってしまいます。
  2. 立って、声に出す。頭の中で言うのと、声に出すのとでは、詰まる所が違います。
  3. 自分の声を録音して、聞く。スマートフォンの録音で足ります。見る点を一つ決めてから聞きます。
  4. 直す所を一つ決めて、もう一度録る。1回目と聞き比べます。

録音するのは、練習中の自分の声だけにします。お客様との実際の会話を、相手に断らずに録ることはしません。練習の相手の声が入るときも、先に「振り返りのために、録音してもよいですか」と断ります。録音を残しておく場所や、消す時期に会社の決まりがあれば、それに従います。分からなければ、上司に確かめます。

相手や方法によって、やり方は少し変わります。次の表は、その一例です。

相手・方法やり方(一例)
先輩と二人先輩がお客様役。見る人がいないので、先輩は終わった後に、覚えている言葉を伝える
同期と三人役を順番に交代する。お客様役をやると、聞く側からどう見えるかが分かる
一人声に出して録音する。見る点を一つ決めて聞く
オンラインの商談の練習実際の会議の道具をつなぐ。資料を画面に映す操作も、時間の中でやってみる
電話の練習顔を見ずにやる。背中合わせに座るか、実際に内線でかける

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

お客様役は、やってみると、得るものが多い役です。説明が続くと、聞く側は口をはさみにくくなる。質問されると、話しやすい。そうしたことを、聞く側の席で確かめられます。電話のかけ方は、営業電話のかけ方にまとめています。

言い方の例と、迷いやすい判断

ここに挙げる言葉は、どれも説明用の例です。

頼むときの言い方

惜しい言い方:「すみません、ロープレをお願いしたいんですが、いつでもいいので」

良い言い方:「木曜のA社訪問の、最初のあいさつを練習したいです。15分ほど、お客様役をお願いできますか。今日の夕方か、明日の朝は、いかがでしょうか」

惜しい言い方は、何を、どれくらいの時間やるのかが分かりません。「いつでも」と言われると、相手は自分から日時を決めなければなりません。良い言い方は、場面・時間・候補の3つを先に出しています。

判断1:恥ずかしくて、うまく演じられないときは?

基準は、演じる上手さを、見る点に入れないことです。お客様役の先輩に向かって敬語で話すのは、照れるものです。始める前に、「最初の一文だけ、練習させてください」と範囲を小さくします。一文なら、言い終わるのはすぐです。それを一回できれば、次の一文に進めます。

判断2:お客様役の反応が厳しすぎる、話がそれるときは?

設定の紙に戻ります。「今日は、最初の一言の練習をしたいので、価格の話は、次の回にお願いできますか」と伝えます。自分がお客様役をやるときの基準も、同じです。見る点に関わる反応を、一つだけ返します。難しい質問を次々に出すと、営業役は、練習したかった所にたどり着けません。

判断3:人によって、助言が違うときは?

どちらが正しいかを、自分で決めようとしなくてかまいません。基準は、次の商談に同行する人、またはその相手先を知っている人の言い方に合わせることです。もう一方の助言は、メモに残します。くわしくは、新人営業の最初の30日の「先輩によって、言うことが違うときは」で説明しています。

判断4:同じ場面を、何回やればよい?

回数に、決まりはありません。基準は、見る点にした一言が、紙を見ずに言えるかどうかです。言えたら、次の場面に進みます。本番の前の日に、もう一度だけ声に出しておきます。

うまくいかなかった練習のあと

その場では:言葉が出なくなったら、「もう一度、最初からお願いします」と言って、やり直します。練習は、やり直すための場です。振り返りが、直す所の指摘ばかりで終わりそうなときは、「次に試すことを一つに絞るなら、どれでしょうか」と聞きます。

終わってからの記録:「うまくできなかった」とは書きません。詰まった言葉を、そのまま書きます。「『本日の用件は』の後が出なかった。用件を一文で書いていなかった。水曜の朝に、一人で録音してやり直す」のような形です(説明用の例です)。詰まった所は、本番で詰まるはずだった所です。先に見つかったのですから、その練習はうまくいっています。

今日やることは一つです。次の商談から、練習する場面を一つ選び、見る点を書いて、15分ほどの練習を頼んでください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
次の商談のメモ(相手・用件・聞きたいこと)。時間を計れる時計かスマートフォン。メモ用の紙とペン。一人でやる場合は、録音できるスマートフォン。

記入例を見る(説明用)

練習する場面(一つ)=木曜のA社訪問の、最初のあいさつから、用件と時間を伝える所まで/役と、お客様役の設定=営業役は自分。お客様役は先輩の田中さん。見る人はなし(二人のため、録音する。田中さんに断ってある)。設定は「A社の総務の担当。初めて会う。30分の約束。今はほかの会社からまとめて買っている」/時間の区切り=準備2分、実演3分、振り返り5分、もう一度3分。合わせて15分ほど/見る点(一つか二つ)=用件と時間を、最初の一言で言えたか。相手の了解を取ってから、質問に入ったか/終わった後の記録=事実:用件を言う前に、会社の説明を続けた。時間は言わなかった。よかった点:名乗りは、区切って聞き取りやすかった。次に試すこと:名乗りの次に「30分と伺っております」を言う。2回目は言えた。次の練習は水曜の朝、同じ場面で一人で録音する。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

場面が一つに絞ってあり、役・時間の区切り・見る点が書いてある。練習の後に、事実・よかった点・次に試すことが、それぞれ一行以上書いてある。

うまく進まなかったときは?

場面が選べなければ、「最初のあいさつから、用件を言うまで」にする。相手が見つからなければ、一人で声に出して録音する。見る点が決まらなければ、先輩に「次の商談で、いちばん気をつける所はどこですか」と聞き、その答えを見る点にする。

NEXT NOTE

次に読むなら

先輩・上司への聞き方を確かめる研修や練習の報告を書く商談全体の流れを確かめる