NOTE 136 · 営業の実践ノート
インサイドセールスとは:訪問せずに、電話・メール・オンラインで進める営業の仕事
公開:2026年10月3日
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インサイドセールスとは、お客様のところへ訪問せず、社内から電話・メール・オンラインの商談でやり取りを進める営業の仕事、と説明されることが多い言葉です。訪問して会う営業(フィールドセールス)と役目を分け、問い合わせへの対応、見込みのある相手の見きわめ、訪問や商談の約束づくりを受け持つ形がよく見られます。ただし、呼び方と分担は会社によって違います。先に、自分の担当がどこからどこまでかを確かめます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに インサイドセールスの担当になった、または求人や社内の説明でこの言葉を聞き、何をする仕事なのかを知りたいとき。
- 1
自分の担当の範囲と、訪問の担当へ渡す基準を確かめる
- 2
相手の困り事・時期・関わる人を、相手の言葉で聞く
- 3
約束の日時と、当日に話す中身を相手と決める
- 4
聞いた事実・未確認のこと・約束を、訪問の担当へ渡す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
インサイドセールスとは:言葉の意味
インサイドセールスは、お客様のところへ訪問せず、社内から電話・メール・オンラインの商談でやり取りを進める営業の仕事、と説明されることが多い言葉です。一語としての語釈は、国語辞典ではまだ確かめにくい言葉なので、二つに分けて辞書を引きます。
「インサイド」は、デジタル大辞泉で「内側。内部。」と説明されています(コトバンク「インサイド」)。「セールス」は、同じ辞書で「販売すること。特に、外交販売。」です(コトバンク「セールス」)。外交販売は、外へ出向いて売ることです。外へ出向くのが「セールス」のもとの形で、それを内側、つまり社内から行うのがインサイドセールス、という組み立ての言葉だと分かります。
販売の担当を内と外に分ける考え方は、用語集にも出てきます。コトバンクに収められた「マーケティング用語集」は、「テレマーケティング」の項で、「人的販売は大きく外部販売部隊と内部販売部隊に分けることができます。」と説明しています(コトバンク「テレマーケティング」)。
外へ出向く側は、「フィールドセールス」「外勤営業」「外回り」と呼ばれます。どの呼び方を使うか、どこで役目を分けるかは、会社によって違います。この記事で書く分け方や仕事の中身も、よく見られる形の一例です。
初めて担当になると、「約束を何件取れたか」だけを追いがちです。けれども、約束は、訪問の担当が相手と会って話すための入口です。何の話をする約束なのかが相手にも訪問の担当にも伝わっていないと、当日の話がかみ合いません。この記事では、次の人が動ける形で渡すことを中心に説明します。
訪問する営業(フィールドセールス)との分け方
次の表は、二つの役目を比べた一例です。会社や商品で変わるので、目安として見てください。
| 比べる点 | インサイドセールス | 訪問する営業(フィールドセールス) |
|---|---|---|
| 働く場所 | 社内(在宅のこともある) | お客様のところ |
| やり取りの手段 | 電話、メール、オンラインの商談 | 訪問して、顔を合わせて話す |
| 受け持つことが多い段階 | 最初の連絡から、訪問や商談の約束まで | 訪問、提案、見積もり、契約まで |
| 相手から見えるもの | 声と文章、画面に映る範囲 | 表情、資料の実物、見本 |
| 次の人へ渡すもの | 聞いた事実と、約束の中身 | 契約の後の担当へ、決まった条件 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
役目の分け方には、いくつかの形があります。
- 約束までを受け持つ形。訪問や商談の約束ができたら、訪問の担当へ渡します。この記事では、この形を中心に説明します。
- 契約まで、社内から進める形。訪問をせず、オンラインの商談とメールで、注文まで進めます。
- 一人が両方を受け持つ形。午前は社内から連絡し、午後は訪問する、という働き方です。
分けている会社では、理由として、訪問の担当が移動と商談に時間を使えるようにすること、問い合わせへの返事を待たせないこと、が挙げられることがあります。相手から見ると、問い合わせた後にすぐ返事が来て、会うときには用件が伝わっている、という形になります。
配属されたら、上司に二つを聞きます。「どこからどこまでが、私の担当になりますか」と、「どうなったら、訪問の担当へ渡しますか」です。二つめの答えが、下の実践シートに書く「渡す基準」になります。基準を聞かずに始めると、どの相手を渡してよいかを、毎回自分の印象で決めることになります。
やる仕事:問い合わせへの対応・見きわめ・約束づくり
約束までを受け持つ形では、仕事は大きく三つです。
1. 問い合わせへの対応
ホームページや電話で届いた問い合わせに、最初の返事をします。相手は、自分の質問への答えを待っています。先に答え、分からないことには、答える期限を伝えます。問い合わせを受けてから最初の連絡までの手順は、反響営業とはにまとめています。
2. 見込みのある相手の見きわめ
「見きわめ」は、相手に点数を付けることではありません。今、訪問の担当が会うと、相手の役に立つ段階かどうかを確かめることです。情報を集め始めたばかりの相手に訪問を押しつけると、相手の時間を使わせてしまいます。逆に、急いでいる相手を待たせると、相手は困ります。
確かめる点は、会社が決めていることが多くあります。よく見られるのは、次の4つです。
- 困っていること。何を変えたいのか。相手の言葉のまま書きます。
- 時期。いつごろまでに、という予定があるか。
- 決めることに関わる人。連絡をくれた人のほかに、誰が関わるか。
- 今のやり方。今は、どうしているか。
聞くときは、理由を添えます。相手は、なぜ聞かれるのかが分かると、答えやすくなります。
惜しい聞き方:「ご予算と、決裁者の方を教えていただけますか」
良い聞き方:「ご訪問のときに、合う内容をお持ちしたいので、二つだけ伺ってもよろしいですか。今は、どのような方法でされていますか。いつごろまでに変えたい、というご予定はありますか」
どちらも説明用の例です。惜しい聞き方は、聞く理由が無く、相手は調べられているように感じることがあります。良い聞き方は、何のために聞くかと、いくつ聞くかを先に言っています。商談での聞き方は商談ヒアリング、聞く項目を書き出すにはヒアリングシートが使えます。
聞いてみて、今は訪問の時期でないと分かることもあります。その場合は、「来月の初めに、もう一度ご連絡してもよろしいですか」と、次に連絡してよい時期を相手に決めてもらい、記録します(説明用の例です)。
3. 訪問や商談の約束づくり
相手が会うことを望み、会社の基準にも合えば、約束を決めます。日時だけでなく、誰が行くのかと、当日に何の話をするのかを、相手に伝えます。電話で話した人と、当日来る人が違うことを、相手が知らないままにしないためです。
惜しい言い方:「では、来週の火曜14時に、担当の者が伺います」
良い言い方:「では、◯月◯日(火)の14時に、営業の田中が伺います。30分ほどで、今の申請の流れを伺い、変え方の例を二つお見せします。今日伺った内容は、私から田中に伝えておきます」
これも説明用の例です。良い言い方は、行く人の名前、時間の長さ、話す中身、内容が引き継がれること、の4つを伝えています。会う理由の伝え方は営業のアポ取り、約束を決めるときに確かめる項目はアポイントとはにまとめています。
内勤営業・テレアポ・反響営業との違い
似た言葉が、いくつかあります。次の表は、それぞれの言葉がよく指すものを並べた一例です。言葉の境目は、会社によって違います。
| 言葉 | よく指すもの | この言葉が表している切り口 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| インサイドセールス | 訪問せず、社内から進める営業。訪問の担当と役目を分ける形で使われることが多い | 役目の分け方 | この記事 |
| 内勤営業 | 社内から進める営業。店頭やカウンターでの対応を指す会社もある | 働く場所 | 内勤営業とは |
| テレアポ | 電話で、訪問や商談の約束を取る仕事 | 手段(電話)と、目的(約束) | テレアポとは |
| 反響営業 | お客様からの問い合わせをきっかけに始める営業 | きっかけ | 反響営業とは |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
四つは、同じ仕事を別の切り口で呼んでいることがあります。たとえば、問い合わせに電話で答え、訪問の約束を取って担当へ渡す仕事は、きっかけで見れば反響営業、手段で見れば電話、役目で見ればインサイドセールス、です。
だから、言葉だけでは仕事の中身は決まりません。求人や配属の説明でどの言葉が出てきても、確かめることは同じです。こちらからかける電話が中心か、問い合わせへの返事が中心か。約束までか、契約までか。営業の呼び名の全体は営業の種類に、電話のかけ方そのものは営業電話のかけ方にまとめています。
引き継ぐときに渡すことと、一日の仕事の例
約束ができたら、訪問の担当へ渡します。渡すことは、次の6つです。
- 相手の会社、担当者、連絡先、希望の連絡方法。
- 連絡のきっかけ。何を見て、何を知りたくて連絡をくれたのか。
- 相手の言葉で聞けたこと。困り事、時期、関わる人、今のやり方。
- まだ聞けていないこと。「未確認」と書きます。空欄のままにすると、聞いていないのか、書き忘れたのかが分かりません。
- 約束の中身。日時、場所、時間の長さ、相手側の出席者、当日に話すと伝えた内容。
- 相手に送った資料と、相手に伝えたこと。「田中が伺う」と伝えたか、価格の話をしたか、などです。
3つめは、事実と、自分の推測を分けて書きます。訪問の担当は、メモに書かれたことを相手が言ったこととして読みます。推測が混ざっていると、当日、相手が言っていないことを前提に話を始めてしまいます。
惜しいメモ:「A社 佐藤様。かなり前向き。予算もありそう。早めに決めたい様子」
良いメモ:「A社 総務 佐藤様。聞けたこと:『紙の申請書が多く、月末に集計が重なる』『来年の春までに変えたい』『決めるのは課長』。未確認:今の件数、ほかの会社とも比べているか、課長が同席するか。私の感じたこと:質問が具体的で、急いでいる印象」
どちらも説明用の例です。惜しいメモは、三つとも書いた人の感想で、相手が何と言ったのかが分かりません。良いメモは、相手の言葉、未確認のこと、自分の感じたことを、分けて書いています。メモの書き方は引き継ぎメモ、推測と事実の分け方は商談メモ添削にまとめています。
渡した後も、仕事は終わりません。訪問の後に、担当から「当日どうだったか」を聞きます。自分が聞けていなかったことが分かり、次の相手に聞く質問を直せます。
一日の仕事の例
次は、約束までを受け持つ人の一日を、説明のために並べた例です。順番や中身は、会社の決まりで変わります。
| 時間帯 | やること(一例) | 何のためか |
|---|---|---|
| 朝 | 前の日から届いた問い合わせを読み、返事の順番を決める | 待っている相手を、先にするため |
| 午前 | 問い合わせへの返事。電話かメールで、質問に答える | 相手の問いに、先に答えるため |
| 昼の前後 | 聞けたことを記録し、渡す基準に合うかを見る | 印象ではなく、聞いた事実で決めるため |
| 午後 | 「この時期に連絡を」と言われていた相手へ連絡する。約束ができた件を、訪問の担当へ渡す | 約束した時期を守るため。次の人が準備できるようにするため |
| 夕方 | 訪問が終わった件について、担当から結果を聞く。明日の一覧を作る | 自分の聞き方を直すため |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
時間帯ごとの動きと、連絡のたびに確かめることは、内勤営業とはに詳しく書いています。
迷いやすい判断と、失敗のあと
判断1:基準には合うが、相手が訪問を望んでいないときは?
基準は、相手の希望が先です。会社の基準に合っていても、相手が「まだ資料だけでよい」と言うなら、約束にはしません。「承知しました。資料をお送りします。読まれた後に、ご不明な点を伺うご連絡をしてもよろしいですか」と、次の連絡だけ決めます(説明用の例です)。上司には、「基準には合いますが、相手は資料だけを希望されています」と、相手の言葉のまま伝えます。
判断2:約束の件数が目標になっている。迷う相手も、約束にしてよい?
自分で決める基準は、当日、相手が「何の話をする約束か」を言える状態かです。相手が用件を分かっていない約束は、訪問の担当が行っても話が始まりません。迷うときは、訪問の担当に記録を見せて、「ここまで聞けています。訪問してよい段階でしょうか」と聞きます。件数の数え方に疑問があるときも、一人で決めず、上司に相談します。
判断3:渡した後に、相手から自分へ質問が来たら?
相手は、最初に話した人に聞きやすいものです。自分で答えてよい範囲(すでに伝えた内容、資料に載っていること)なら答えます。条件や金額の相談は、訪問の担当へ渡します。相手には、「田中から、本日中にお返事します」と、誰から・いつ返事が行くかを伝えます(説明用の例です)。答えたことと渡したことは、どちらも担当に知らせます。
判断4:インサイドセールスは、自分に向いている?
ここでは決めつけません。同じ名前でも、こちらからかける電話が中心か、問い合わせへの返事が中心か、どこまで受け持つかで、仕事の中身が大きく違うからです。気になる人は、担当の範囲、渡す基準、目標として見られる数字、記録のしかた、の4つを聞いてみてください。考え方は営業に向いてる人・向いてない人にまとめています。
失敗1:当日、相手に「今日は何の話でしたか」と言われた
その場では:訪問の担当から連絡を受けたら、言い訳をせず、自分が相手に何と伝えて約束したかを、記録を見てそのまま伝えます。相手へのおわびが要るかどうかは、訪問の担当と上司が決めます。
後の記録:約束のときに、行く人・時間の長さ・話す中身を言ったかを見直します。次からは、約束が決まった日のうちに、同じ内容をメールでも送ります。書き方はアポイントメールの書き方にまとめています。
失敗2:相手が言っていないことを、メモに書いていた
その場では:気づいた時点で、訪問の担当に「『予算あり』は、私の推測でした。相手からは聞いていません」と訂正します(説明用の例です)。訪問の前なら、担当は当日に聞き直せます。
後の記録:メモの欄を、「相手の言葉」「未確認」「自分の感じたこと」の三つに分けます。相手の言葉は、かぎかっこに入れて書きます。
失敗3:「来月また連絡を」と言われた相手に、連絡し忘れた
その場では:気づいた日に連絡します。「先月、今月の初めにご連絡するとお約束していました。遅くなり、申し訳ございません」と、約束と遅れた事実を言ってから、用件に入ります(説明用の例です)。
後の記録:「来月」のような言葉は、日付に直して予定表に入れます。連絡する日が決まっていない記録を、週に一度見直します。報告のしかたは営業で失敗したときにまとめています。
今日やることは一つです。自分の担当の範囲と、訪問の担当へ渡す基準を上司に確かめ、今かかえている一件について、引き継ぎで渡すことを書き出してください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
今かかえている一件のやり取りの記録(問い合わせの文、電話のメモ)。会社で決まっている、訪問の担当へ渡す基準(あれば)。
記入例を見る(説明用)
自分の担当の範囲と、訪問の担当へ渡す基準=問い合わせへの最初の返事から、訪問の約束まで。渡す基準は「困り事が聞けていて、相手が訪問を希望している」と上司から聞いた/相手と、連絡のきっかけ=A社の総務の佐藤様。先週、ホームページから資料を請求された。連絡はメールが希望/相手の言葉で聞けたこと=「紙の申請書が多く、月末に集計が重なる」「来年の春までに、やり方を変えたい」「決めるのは課長。自分は調べる役」/まだ聞けていないこと=今の申請の件数。ほかの会社とも比べているか。課長が同席するか/約束したことと、訪問の担当へ渡す一言=◯月◯日(火)14時、A社で30分。訪問するのは営業の田中。話す中身は「今の申請の流れを伺い、変え方の例を二つお見せする」と佐藤様に伝えてある。田中さんへ:「未確認の3つは、当日に聞いてもらえますか。資料は、佐藤様に送った物と同じ物を持って行ってください」。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
自分の担当の範囲と渡す基準が書いてあり、聞けたことが相手の言葉で、推測と分けて書いてあり、約束の日時・行く人・話す中身と、未確認のことが、訪問の担当に伝わる形になっている。
うまく進まなかったときは?
担当の範囲が分からなければ、上司に「どこからどこまでが、私の担当になりますか」と聞く。渡す基準が決まっていなければ、訪問の担当に「どこまで聞けていれば、訪問しやすいですか」と聞く。聞けたことが少なければ、次の連絡で聞くことを一つだけ決める。