NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 134 · 営業の実践ノート

クロージングとは:商談の最後に、次に何をするかを決める

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クロージングは、辞書では「最終的な契約を結ぶこと。商談を成立させること。」と説明されています。営業の現場では、商談の締めくくりに、相手の返事を確かめ、次に進めることを決める段階を指して使われることが多い言葉です。契約を迫ることではありません。「次に何を・誰が・いつまでに」を、相手と一緒に決めることです。この記事では、商談の最後に確かめる4つと、言い方の例を説明します。

今日できるようになること

次の商談について、最後に確かめる4つ(決める人・時期・気がかり・次の約束)のうち、まだ聞いていないものに印を付け、聞き方を書く。

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こんなときに 商談の終わりに「ご検討ください」としか言えず、帰ってから、次に何をすればよいか分からなくなるとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    聞いたことと、決まったことを、声に出してまとめる

  2. 2

    決める人・時期・気がかりのうち、まだ聞いていないものを聞く

  3. 3

    返事を聞く段階なら、聞く。まだなら、次の約束へ進む

  4. 4

    次に何を・誰が・いつまでにやるかを、声に出して書く

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

クロージングとは

上司から「クロージングが弱い」と言われた。けれども、何をすることなのかが分からない。営業を始めた人が、よく止まる所です。

まず、辞書を見ます。コトバンクに載っているデジタル大辞泉は、「クロージング(closing)」の意味を3つ挙げています。1つ目は「催し物などを終えること。閉幕。」、2つ目は「売買取引を完了すること。代金と商品・証券などの受け渡しを終えること。」です。3つ目が、商談に関わる意味です。

最終的な契約を結ぶこと。商談を成立させること。(デジタル大辞泉「クロージング」)

辞書の説明は、契約を結ぶことそのものを指しています。一方、営業の現場では、もう少し広く使われます。商談の締めくくりに、相手の返事を確かめ、次に進めることを決める段階を指して、「クロージング」と呼ぶことが多いようです。契約の返事をもらう場面だけを指す人もいれば、次回の約束を決める所まで含める人もいます。

どこまでを指すかは、会社や人で違います。上司に言われて分からなければ、「どの場面のことを指していますか」と聞いてかまいません。この記事では、広いほうの意味で使います。商談の最後に、相手に決めてもらうこと、または次の約束を決めること、です。商談全体の流れは、商談とはにまとめています。

迫ることではなく、次に何をするかを決めること

クロージングと聞くと、「強く押して、その場で契約させる話し方」を思い浮かべる人がいます。この記事では、そうした話し方は扱いません。決めるのは相手です。急がされて決めた人は、後で考え直すことがあります。そうなれば、相手も自分も困ります。

営業の側がやることは、二つです。相手が決めるのに足りないものがないかを確かめること。そして、この後に誰が何をするかを決めることです。相手の返事がどれであっても、締めくくりでやることがあります。

商談の終わりの状態締めくくりで決めること
「進めてください」と言われた条件を声に出して確かめる。書面と、この後の予定を伝える
「検討します」「相談します」と言われた何を検討するか、誰と相談するか、いつ連絡してよいか
「今回は見送ります」と言われたお礼を言う。今後、案内をしてよいかどうか
まだ返事を聞く段階ではない(初回で、話を聞いた所まで)次回の日取りと、次回までに自分が用意する物

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

どの行でも、「次に何を・誰が・いつまでに」が残ります。これが残っていれば、契約にならなかった日も、締めくくりはできています。反対に、「ぜひご検討ください」とだけ言って帰ると、何も残りません。次に連絡する理由も、日も、決まっていないからです。

その場で返事をもらってよい条件の見分け方は、即決営業とはで、3つの問いとして説明しています。この記事では、返事がどれであっても使える、最後の確かめ方を扱います。

商談の最後に確かめる4つ

締めくくりで確かめることは、次の4つです。商談の途中で分かったものは、聞き直さなくてかまいません。まだ聞いていないものだけを聞きます。

確かめること聞き方の例聞かないと、起きやすいこと
決める人「お決めになるときは、どなたかとご相談されますか」目の前の人の返事を待っていたが、決めるのは別の人だった、と後で分かる
時期「いつごろまでに決めたい、という目安はありますか」連絡が早すぎて催促になるか、遅すぎて話が終わっている
気がかり「決める前に、気になっている点はありますか」言われなかった不安が、そのまま見送りの理由になる
次の約束「私は◯日までに◯◯をお送りします。◯日ごろ、お電話してもよろしいですか」「またご連絡します」で終わり、連絡する理由がなくなる

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

聞き方は、どれも説明用の例です。4つのうち、初心者がいちばん抜かしやすいのは「次の約束」です。ほかの3つが聞けなくても、これだけは決めてから帰ります。決める人が会社の中に何人もいる場合の進め方は、法人営業とはにまとめています。

進める順番は、次のとおりです。

  1. 聞いたことと、決まったことを、声に出してまとめる。「本日伺ったのは、◯◯と◯◯の2点でした」と言います。聞き違いがあれば、相手がその場で直してくれます。
  2. 4つのうち、まだ聞いていないものを聞く。一つ聞いたら、相手が答え終わるまで待ちます。答えは、言葉のままメモします。
  3. 返事を聞く段階なら、聞く。条件がそろっているなら、「この内容で、進めてよろしいですか」と聞きます。答えが「はい」でも「もう少し考えたい」でも、そのまま受けます。まだその段階でなければ、この手順は飛ばします。
  4. 次に何を・誰が・いつまでにやるかを、声に出す。自分がやることを先に言い、相手にお願いすることがあれば、その後で言います。
  5. メモに書き、お礼を言って終える。日付は、相手の前で書きます。相手にも、約束として伝わります。

始める時刻の目安は、約束した終わりの時刻の5分前です。説明が途中でも、そこで締めくくりに入ります。説明は次回に続けられますが、次の約束は、その場でないと決めにくいからです。

次は、返事を聞く段階ではない商談の、締めくくりの会話例です。

自分:「お時間が近づいてまいりました。本日伺ったのは、月に一度まとめて買っておられること、置き場所が足りないこと、の2点でした」

相手:「そうですね」

自分:「お決めになるときは、どなたかとご相談されますか」

相手:「課長に話をします」

自分:「承知しました。課長様にご説明しやすいよう、要点を一枚にまとめて、金曜までにメールでお送りします。課長様とお話しされるのは、いつごろになりそうですか」

相手:「来週の月曜の会議かな」

自分:「では、来週の水曜に、お電話で状況を伺ってもよろしいですか」

相手:「水曜なら、午前中にお願いします」

会社・曜日・内容は説明用の例です。契約の話は出ていませんが、決める人、相談の時期、自分がやることと期限、次に連絡する日が決まりました。これが、この記事でいう締めくくりです。

場面で変わるところ

4つを確かめることは同じですが、場面によって、力を入れる所が変わります。次の表は、進め方の一例です。

場面進め方(一例)
初回で、話を聞いた所まで返事は聞かない。次回の日取りと、次回までに自分が用意する物を決める
相手が一人で決められる気がかりを一つ聞いてから、返事を聞く。決まったら、書面とこの後の予定を伝える
上司や家族と相談して決める返事は求めない。相談する相手に渡せる資料と、相談の後に連絡してよい日を決める
相手が複数いる最後のまとめを、全員に向けて言う。次の連絡の窓口になる人を、一人確かめる
オンラインの商談まとめと次の約束を、画面に映すかチャットに書く。終わった後、同じ内容をメールで送る
電話決まったことを復唱し、同じ内容をメールで送ると伝える

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

相談して決める相手に渡す資料の作り方は、「社長に相談します」と言われたらにまとめています。

個人のお客様を訪問して契約する仕事の場合

個人のお客様の自宅などを訪問して契約する仕事では、締めくくりの進め方に、法律の決まりが関わります。消費者庁の特定商取引法ガイド「訪問販売」には、次のように書かれています。

消費者が契約締結の意思がないことを示したときには、その訪問時においてそのまま勧誘を継続すること、その後改めて勧誘することが禁止されています。(消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問販売」)

同じページには、この法律が適用されない場合の一つとして、「営業のため、又は営業として締結するもの」が挙がっています。自分の仕事がどちらに当たるかは、自分で判断しません。個人のお客様と契約する仕事なら、商談に出る前に、会社の決まりを読み、上司に確かめてください。書面やクーリング・オフについては、即決営業とはで、同じページを引いて説明しています。

言い方の例と、返事を待つあいだの連絡

同じ場面でも、最後の一言で、後に残るものが変わります。次の表は、惜しい言い方と良い言い方を並べた、説明用の例です。

惜しい言い方良い言い方違い
「ぜひご検討ください。またご連絡します」「私は金曜までに、内訳をお送りします。来週の水曜に、お電話してもよろしいですか」誰が・何を・いつ、が入っている。連絡する日を、相手が了承している
「いかがでしょうか」「決める前に、気になっている点はありますか」何について答えればよいかが、相手に分かる
「できれば、早めにお返事をいただきたいのですが」「いつごろまでに決めたい、という目安はありますか」こちらの都合ではなく、相手の予定を聞いている
「前向きにお考えいただけますよね」「この内容で、進めてよろしいですか」答えを決めつけていない。「いいえ」とも言える聞き方になっている
「ご不明な点はないですよね」「ここまでで、分かりにくい所はありましたか」「ない」と答えるしかない聞き方を、避けている

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

惜しい言い方に共通するのは、相手が答えにくいことです。漠然としているか、答えが先に決められています。良い言い方は、相手が自分の事情をそのまま答えられる形になっています。

商談の途中で、「ここまでの内容で、進める方向で考えてよさそうですか」のように、相手の考えを確かめる質問をすることがあります。これは「テストクロージング」と呼ばれることがあります。指す中身は、人によって違います。聞けば決まる、というものではありません。分かるのは、相手が今、どこで迷っているかです。迷っている点が分かったら、その点について話します。

返事を待つあいだの連絡

返事を待つあいだの連絡は、商談の最後に決めた約束のとおりにします。約束した日に、約束した方法で連絡します。それより前に連絡するのは、頼まれた資料を届けるときだけにします。約束より早く「いかがでしょうか」と聞くと、相手は「まだです」としか答えられません。

連絡の用件は、「返事をください」ではなく、相手の検討に役立つことにします。例文と、連絡をいったん終える区切りの決め方は、「検討します」の後にまとめています。メールの結びに使う「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」という言い方は、「ご検討のほど」の使い方で説明しています。

迷いやすい判断と、断られたあと

判断1:返事を聞くのがこわくて、「ご検討ください」で終えてしまうときは?

基準は、返事を聞けなくても、次の約束だけは聞くことです。「進めてよろしいですか」が言えない日は、「次に、いつごろご連絡してよろしいですか」を言います。断られるのがこわい、という気持ちは、自然なものです。次の約束を聞く質問なら、答えは日付なので、聞きやすくなります。

判断2:相手が、気がかりを言ってくれないときは?

まず、待ちます。聞いた直後に自分が話し始めると、相手は考える時間がなくなります。それでも出てこなければ、選べる形にして聞きます。「金額、時期、社内でのご説明のうち、気になる所はありますか」という聞き方です(説明用の例です)。

「特にありません」と言われたら、そのまま受けます。重ねて聞くことはしません。次の約束を決め、気がかりの欄には「聞いたが、特になしとのこと」と事実を書きます。

判断3:その場で「では、お願いします」と言われたら?

基準は、金額と条件が、社内で確かめた内容になっているかです。確かめてあれば、条件を声に出して読み、書面に残します。確かめていない値引きや納期が含まれていれば、「確かめてから、◯日までにお返事します」と伝えます。くわしい順番は、即決営業とはの「その場で返事をもらう前に確かめる3つ」にあります。

判断4:上司に「クロージングが弱い」と言われたら?

言葉の意味を、行動に直して聞きます。「商談の最後に、決める人・時期・気がかり・次の約束を確かめるようにしています。このうち、足りていないのはどれでしょうか」と尋ねます。商談メモを見せながら聞くと、上司も答えやすくなります。

「もっと押せ」という答えだったときは、「次の商談では、最後に何と言えばよいですか」と、言葉の形で教えてもらいます。相手を急がせる言い方に迷いがあるなら、その場で「この言い方で、お客様が困ることはないでしょうか」と相談します。

断られたとき

その場では:「今回は見送ります」と言われたら、それ以上すすめません。「承知しました。お時間をいただき、ありがとうございました」とお礼を言います。相手が話してくれそうなら、「差し支えなければ、決め手になった点を教えていただけますか」と一つだけ聞きます。答えがなければ、そこで終えます。最後に、「今後、新しいご案内があるときに、ご連絡してもよろしいですか」と聞き、答えのとおりにします。

帰ってからの記録:相手の言葉を、そのまま書きます。「価格で負けた」と自分の推測を書くのではなく、「『今回は今の業者で続ける』とのこと。理由は聞けなかった」と書きます(説明用の例です)。振り返りには、失注分析シートが使えます。

失敗:次の約束を決めずに、帰ってしまった

その場では:建物を出てから気づいたときは、戻りません。その日のうちか次の日に、お礼のメールを送り、その中で決めます。自分がやることと期限を書き、「◯日ごろ、お電話で状況を伺ってもよろしいでしょうか」と尋ねます。書き方は、営業のお礼メールにまとめています。

帰ってからの記録:「次の約束:未定。お礼メールで確認中」と書きます。次の商談からは、ノートの最初のページに「最後に、次の約束」と書いておき、終わりの時刻の5分前に見ます。

今日やることは一つです。次の商談について、最後に確かめる4つのうち、まだ聞いていないものに印を付け、聞き方を書いてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
次の商談のメモ(これまでに聞いたこと)。出した見積書や資料の控え。自分の予定が分かるもの(次の約束の日を、その場で決めるため)。

記入例を見る(説明用)

商談の相手と、今の段階=A社の総務の佐藤様。2回目の訪問。前回は今の買い方を伺った。今回、小分けで納める場合の見積もりを出す/決める人と、相談する相手=佐藤様が課長に説明して決まる、と前回伺った。課長のお名前は未確認。今回聞く/決めたい時期と、気がかり=時期は未確認。「いつごろまでに決めたい、という目安はありますか」と聞く。気がかりは、前回「置き場所が足りない」と伺った。金額については未確認。「決める前に、気になっている点はありますか」と聞く/次に何を・誰が・いつまでにやるか=商談の場で決める。自分の案は、課長向けに要点を一枚にまとめて、金曜までにメールで送ること。佐藤様が課長に話される日を伺い、その後に電話してよい日を決める/最後に言う一言=「本日は、小分けの見積もりをご覧いただきました。私は金曜までに、課長様向けの一枚をお送りします。◯日ごろ、お電話で状況を伺ってもよろしいですか」。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

4つ(決める人・時期・気がかり・次の約束)のそれぞれに、分かっていることか「未確認」と聞き方が書いてあり、最後に言う一言に、自分がやることと期限が入っている。

うまく進まなかったときは?

4つが多く感じたら、次の約束の欄だけ書く。「私は◯日までに◯◯をします。◯日ごろ、ご連絡してもよろしいですか」の◯を埋める。自分が何をすればよいか分からなければ、上司に「次の商談の最後に、何を約束してくればよいですか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

「検討します」の後を進めるその場で返事をもらう前に確かめる商談の後のお礼メールを書く