NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 130 · 営業の実践ノート

「ご検討のほどよろしくお願いいたします」の意味と使い方:提案や見積のあとの結びと、検討の結果を聞く次の連絡

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「検討」は、辞書では「よく調べ考えること。種々の面から調べて、良いか悪いかを考えること。」と説明されています。「ご検討のほどよろしくお願いいたします」は、提案や見積を出したあとに、「良いかどうかを考えてください」と、やわらげて丁重に頼む結びの文です。ただし、この一文には、何を・いつまでに考えてほしいのかが入っていません。この記事では、一つ前の文に書くこと、似た言い方との違い、検討の結果を聞く次の連絡、断られたときの返事までを、説明用の例と一緒にまとめます。

今日できるようになること

これから送る提案か見積を一件選び、結びの前に、検討してほしいもの・決めてほしいこと・期限と理由・次にこちらから連絡する日を書く。

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こんなときに 見積書や提案書を送るメールの最後に「ご検討のほどよろしくお願いいたします」と書いているが、そのあと返事が来ず、どう動けばよいか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    検討してほしいものを、書類の名前で書く

  2. 2

    決めてほしいことと、比べてほしい点を書く

  3. 3

    期限と理由、次にこちらから連絡する日を書く

  4. 4

    結びの形を一つ選び、送ったあと予定表に入れる

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「ご検討のほど」の意味を、辞書で確かめる

見積書や提案書を送るメールの最後に、「ご検討のほどよろしくお願いいたします」と書く。よく見る結びです。けれども、この一文で相手に何を頼んでいるのかを聞かれると、答えにくいものです。言葉を分けて確かめます。「 」の中は、辞書と資料の文をそのまま写したものです。

「検討」は、デジタル大辞泉「検討」に、「よく調べ考えること。種々の面から調べて、良いか悪いかを考えること。」とあります。用例は「検討を重ねる」「検討の余地がある」「問題点を検討する」です。同じページに載っている精選版 日本国語大辞典は、「調べ究めること。吟味すること。」と説明しています。

「のほど」は、デジタル大辞泉「程」の名詞の4番目に、「(「…のほど」の形で)断定を避け、表現をやわらげるのに用いる。」とあります。言い切りを避けて、やわらげる働きです。「のほど」の働きと、「お願いいたします」の敬語の形は、「ご確認のほどよろしくお願いいたします」の意味と使い方でくわしく説明しています。

この言い方は、国の資料の中でも使われています。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)の巻末には、文部科学大臣の諮問理由説明(平成17年3月30日)が資料として載っています。その中に、次の文があります。

「甚だ難しいお願いではありますが,このことの重要性にかんがみて御検討のほどよろしくお願いいたします。」(指針62ページ・PDFの66枚目)

この文は、「御検討のほど」の前に、難しいお願いであることと、なぜ大事なのかを置いています。頼む言葉だけを置いているのではありません。この記事で勧める書き方も、同じ並びです。

まとめると、「ご検討のほどよろしくお願いいたします」は、「良いか悪いかを、よく調べて考えてください」という頼みを、やわらげて、丁重に述べた文です。

「ご確認」と比べると、相手にしてもらうことの重さが違います。確認は、合っているかを確かめれば終わります。検討は、調べて、比べて、良いか悪いかを考えます。社内のほかの人に相談することもあり、時間がかかります。そして、語釈に「返事をする」は入っていません。考えた結果を知らせてもらうことは、別の文で頼みます。

提案や見積を出したあとの結び:合う場面と、合わない場面

「検討」は、良いか悪いかを考えることです。そのため、この結びが合うのは、相手に選ぶ余地があるときです。次の表は一例です。

場面相手にしてもらうこと結びの形(一例)
提案書を出した採り入れるかどうかを考えるご検討のほどよろしくお願いいたします
見積書を出したその金額と条件で頼むかどうかを考えるご検討のほどよろしくお願いいたします
納期や数量の変更を相談する受けられるかどうかを考えるご検討のほどよろしくお願いいたします
書類に誤りがないか見てもらう考えるのではなく、確かめるご確認のほどよろしくお願いいたします
決まったことを知らせる(休業日など)選ぶ余地がない。受け入れてもらうご了承・ご理解をお願いする形
すでに断られた件相手は、考え終えている使わない。お礼と、次の相談にする

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

下の3つは、言葉と用件が合いません。決まったことの知らせに使うと、相手は「断ってもよい話だ」と受け取ることがあります。あとで「決定です」と伝え直すことになり、相手には、話が変わったように見えます。受け入れてもらうお願いの言い方は、「ご承知おきください」と「ご了承ください」の違いと、「ご理解賜りますようお願い申し上げます」の使い方にまとめています。

断られたあとの返事は、この記事の最後の章に書きます。商談の場で口頭でお願いするときに、その場で聞いておくことは、「検討します」の後にまとめています。

何を・いつまでに検討してほしいかを、一つ前の文で書く

「ご検討のほどよろしくお願いいたします」は、結びの言葉です。受け取った相手は、「何を決めればよいのか」「いつまでに返事をすればよいのか」を、自分で考えることになります。結びの前に、次の順で書きます。

  1. 検討してほしいものを、名前で書く。「添付の見積書(PDF・1枚)」のように書きます。相手が上司に回すとき、どの書類の話かを説明し直さずに済みます。
  2. 決めてほしいことを書く。「この内容で発注いただけるかどうか」「A案とB案のどちらで進めるか」のように書きます。検討は「良いか悪いかを考えること」なので、何について良い悪いを決めるのかが分からないと、相手は考え始められません。
  3. 比べてほしい点を書く。前回から変えた所、今お使いのものとの違いなど、見てほしい所を1〜2点に絞ります。
  4. いつまでに、を理由と一緒に書く。「◯月分の手配を◯日に始めるため、◯日までに」のように書きます。見積に有効期限があるなら、それも書きます。理由があると、相手は社内で「いつまでに決める話か」を説明できます。
  5. 次にこちらから連絡する日を書く。「◯月◯日(◯)ごろに、ご状況を伺ってもよろしいでしょうか」と、相手に聞く形で書きます。自分にとっては、その日に連絡する理由ができます。
  6. 結びの形を一つ選ぶ。次の章の表から選びます。

場面によって、力を入れる所が変わります。次の表は一例です。

場面一つ前の文で先に書くこと気をつける所
初めて出す提案・見積書類の名前と、決めてほしいこと専門の言葉を使わない。相手の上司も読む前提で書く
直した見積を出す前回から変えた所変えていない所も一言書く。相手は、全部を読み直さずに済む
急いで決めてほしい期限と理由を、メールの前半に件名にも期限を入れる。電話も合わせて使う

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

相手が上司に相談する場合の資料の作り方は、「社長に相談します」と言われたらにあります。「よろしくお願いいたします」という結びの言葉そのものの意味と、「何卒」「今後とも」を付けたときの違いは、「よろしくお願いいたします」の意味と使い方を見てください。

「ご検討ください」「幸いです」「ご一考ください」との違い

同じ頼みを伝える形は、いくつかあります。頼む中身は同じで、伝わり方が違います。

言い方伝わり方合う場面(一例)
ご検討ください頼みを、相手に直接伝える。短い社内の連絡。選択肢を示して、選んでもらうとき
ご検討をお願いいたします頼みを、丁重に言い切る取引先へのふだんのメール
ご検討のほどよろしくお願いいたします「のほど」で、言い切りをやわらげる提案や見積を出したあとの結び
ご検討いただけますと幸いですしてもらえるとありがたい、という気持ちを述べるこちらから持ちかけた提案。急がないもの
ご一考ください/ご一考いただけますと幸いです一度考えてみてほしい、と頼む相手が考えていなかった案を、初めて持ちかけるとき

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「一考」は、デジタル大辞泉「一考」に、「一度考えてみること。」とあります。用例は「一考を要する」「一考する余地がある」です。「検討」の語釈にある「よく調べ」「種々の面から」は、「一考」にはありません。語釈から言えるのは、「ご一考」は、まず一度考えてみてもらう頼みで、「ご検討」は、調べて良し悪しを決めてもらう頼みだ、ということです。

相手から頼まれて出した見積は、相手が調べて決めるつもりでいるので、「ご検討のほど」が合います。相手が切り替えを考えたことがない所へ、初めて案を持って行くなら、「一度、ご一考いただけますと幸いです」と書くほうが、頼んでいる中身と合います(説明用の例です)。

どの形が正しい、という公的な決まりは見当たりません。指針の全文を検索しましたが、「一考」という言葉は出てきませんでした。「御検討のほど」も、出てくるのは上で引用した巻末の一文だけで、使い分けの説明はありません。会社でよく使われている形があれば、それに合わせます。

選ぶときの手がかりは、指針の次の文です。「相手に負担を掛けているのだ,という意識を持って,その気持ちを表明することが,相手に対してより配慮した表現になると言えるだろう。」(指針49ページ)。検討は、相手の時間を使う頼みです。やわらげる形を選ぶのは、その負担への気づかいを表すためです。

ただし、やわらげるほど、期限は伝わりにくくなります。期限がある頼みとの書き分けは、「幸いです」の意味と使い方にまとめています。

メールの例:見積書を送る・提案書を送る

次の例は、すべて説明用の例です。[ ]と◯は、自分の内容に置き換えます。

見積書を送る

惜しい例:「お見積書を添付いたします。ご検討のほどよろしくお願いいたします。」

言葉は丁寧です。けれども、決めてほしいこと、期限、次の連絡が書かれていません。相手が返事をしなかったとき、こちらから連絡する理由も残りません。

件名:[商品名]のお見積書([自社名] [氏名])

A社 佐藤様

いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。

先日のお打ち合わせで伺った条件で、お見積書を作成しました。PDFを1枚、添付いたします。

月1回の納品(A案)と、月2回の納品(B案)の二つを載せています。違いは、一回あたりの数量と、保管に要る場所の広さです。

◯月分の手配を◯月◯日(◯)に始めるため、どちらの案で進めるかを、◯月◯日(◯)までにご検討のほどよろしくお願いいたします。お見積の有効期限は、◯月◯日(◯)です。

ご不明な点がありましたら、いつでもお知らせください。◯月◯日(◯)の午後に、お電話でご状況を伺ってもよろしいでしょうか。

[署名]

決めてほしいこと(A案かB案か)、比べる点(数量と場所)、期限と理由、次の連絡が入っています。相手は、このメールを上司にそのまま回せます。見積書の中身の書き方は見積書の書き方、送る前の点検は見積書を送る前の確認にまとめています。

提案書を送る

惜しい例:「ご提案書をお送りします。ぜひ、前向きにご検討のほどよろしくお願いいたします。」

良い例:「本日ご説明した内容を、提案書(PDF・3枚)にまとめました。今の発注の手間が、どの作業で減るのかを、2枚目の表に書いています。まずは、試しに1か月使っていただけるかどうかを、ご検討のほどよろしくお願いいたします。来週の後半に、一度お電話を差し上げてもよろしいでしょうか。」

惜しい例の「前向きに」は、結論の向きを、こちらから指定する言い方です。良い例は、どこを見ればよいかと、何を決めてほしいかを書いています。決めてほしいことを「試しに1か月」と小さくしているので、相手は答えやすくなります。提案の組み立ては、提案書の作り方を見てください。

迷いやすい判断と、検討の結果を聞く次の連絡

判断1:期限を書くと、急がせているように見えない?

基準は、期限に、相手にも分かる理由があるかどうかです。「手配を◯日に始めるため」「見積の有効期限が◯日のため」という理由があれば、相手は予定を組むための情報として受け取れます。理由がなく「今週中にお返事ください」とだけ書くと、こちらの都合を押しつける文になります。

理由が自分の売上の締めだけなら、期限として書きません。「いつごろ、ご状況を伺えばよろしいでしょうか」と、相手に時期を決めてもらいます。

判断2:相手から「ご検討のほどよろしくお願いいたします」と届いたら?

仕入れ先からの見積や、取引先からの条件の相談など、自分が検討する側になることがあります。その日のうちに決められなくても、受け取ったことと、いつ返事をするかを先に返します。「お見積書を受け取りました。社内で確認のうえ、◯月◯日(◯)までにお返事いたします」という形です(説明用の例です)。黙って考えていると、相手は、届いたのかどうかも分かりません。

検討の結果を聞く次の連絡

メールに書いた日が来たら、こちらから連絡します。書くのは、いつ何を送ったか、足りない材料がないか、の二つです。

「◯月◯日にお送りしたお見積書の件で、ご連絡しました。ご検討にあたって、足りない資料や、分かりにくい点はございませんでしょうか。ございましたら、すぐにご用意いたします。」

「その後いかがでしょうか」とだけ聞くと、相手は「まだです」としか答えられません。相手が決めるのに足りない材料を聞く形にします。検討が止まる理由の分け方と、連絡を区切る条件は、「検討します」の後にまとめています。頼んだ返事が期限を過ぎても届かないときの書き方は、催促メールの書き方にあります。

断られたときの返事

「今回は見送ります」と返事が来たら、短く返します。書くのは、検討してもらったことへのお礼、断りを受け取ったこと、今後のことの三つです。

惜しい例:「承知いたしました。金額でしたら、もう少しご相談できます。引き続きご検討のほどよろしくお願いいたします。」

良い例:「ご検討いただき、ありがとうございました。今回は見送りとのこと、承知いたしました。差し支えなければ、今後の参考に、決め手になった点を一つ教えていただけますでしょうか。また別の機会に、お役に立てることがあれば幸いです。」

惜しい例は、相手が出した結論を受け取らずに、もう一度考えさせようとしています。理由を聞かないまま値引きを持ち出してもいます。値引きは、自分だけで決められる話ではありません。良い例は、結論を受け取ったうえで、理由を一つだけ聞いています。答えるかどうかは、相手に任せます。

相手が話してくれた理由は、言葉のまま記録します。自分の推測とは分けて書きます。受注にならなかった案件の振り返りには、失注直後の振り返りシートが使えます。返事の最初の一言の選び方は、「承知いたしました」の使い方を見てください。

間違えたあと:期限も次の連絡も書かずに送り、返事が来ない

その場では:相手は、急ぎだと知りません。責める書き方にせず、足りなかった情報を足して、もう一度送ります。「◯月◯日にお送りしたお見積書について、書きもらしていた点がありました。◯月分の手配を◯月◯日に始めるため、◯月◯日(◯)までにご検討をお願いできますでしょうか」のように、期限と理由を書きます(説明用の例です)。

後の記録:「検討のお願いには、決めてほしいこと・期限と理由・次の連絡日を書く」と残します。メールを送ったら、その場で、次に連絡する日を予定表に入れます。約束や期限を一か所に残すには、商談後フォローの道具が使えます。

今日やることは一つです。これから送る提案か見積を一件選び、結びの「ご検討のほどよろしくお願いいたします」の前に、決めてほしいこと・期限と理由・次にこちらから連絡する日を書いてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
これから送る提案書か見積書。見積の有効期限や、手配を始めたい日が分かるメモ。自分の予定表。

記入例を見る(説明用)

検討してほしいもの(書類の名前と枚数)=[商品名]の見積書(PDF・1枚)と、納品の流れをまとめた資料(PDF・2枚)/決めてほしいことと、比べてほしい点=月1回の納品(A案)と月2回の納品(B案)の、どちらで進めるか。比べてほしいのは、一回あたりの数量と、保管の場所/いつまでに、とその理由=◯月◯日(◯)まで。◯月分の手配を◯月◯日に始めるため。見積の有効期限は◯月◯日/次にこちらから連絡する日と方法=◯月◯日(◯)の午後に、電話でご状況を伺う。相手の都合は未確認。メールの中で、連絡してよいかを聞く/結びの一文=「A案とB案のどちらで進めるか、◯月◯日(◯)までにご検討のほどよろしくお願いいたします。」

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

結びの前に、検討してほしいもの、決めてほしいこと、期限と理由、次にこちらから連絡する日が書いてあり、その日を自分の予定表に入れてある。

うまく進まなかったときは?

期限が書けなければ、見積の有効期限と、自分が手配を始めたい日を先輩に聞く。決めてほしいことが書けなければ、「相手がはいと答えたら、次に自分は何をするか」を一行で書いてみる。次の連絡の日を決めにくければ、メールの中で「◯日ごろにご状況を伺ってもよろしいでしょうか」と相手に聞く形にする。

NEXT NOTE

次に読むなら

「検討します」の後の進め方を読む「ご確認のほど」との違いを確かめる「幸いです」との書き分けを確かめる