NOTE 41 · 営業の実践ノート
反響営業とは:問い合わせを受けてから、最初の連絡までにやること
公開:2026年10月3日
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反響営業とは、広告やホームページ、チラシなどを見たお客様からの問い合わせ(反響)をきっかけに始める営業のことです。こちらから訪問や電話で声をかける新規開拓と違い、相手が先に動いています。最初の連絡では、相手が何を見て、何を知りたくて連絡したのかを確かめ、その問いに先に答えます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 問い合わせへの対応を任され、最初に何を言えばよいか分からないとき。
- 1
問い合わせの文を読み、何を見て・何を知りたいのかを書き出す
- 2
過去のやり取りと、希望の連絡方法を確かめる
- 3
最初の連絡で、名乗り・用件・質問への答えを伝える
- 4
次に誰が何をするかと、期限を決めて記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
反響営業とは:お客様からの問い合わせをきっかけに始める営業
反響営業とは、お客様からの問い合わせをきっかけに始める営業のことです。「反響」とは、広告、ホームページ、チラシ、看板などを見た人から届く反応を指します。問い合わせの電話やメール、資料の請求、来店や相談の予約などです。
個人のお客様に向けた商品でも、会社に向けた商品でも行われます。問い合わせに応える仕事を「インバウンド」と呼ぶ会社もあります。営業の種類の全体は、営業の種類にまとめています。
言葉の使い方には、会社ごとの幅があります。問い合わせへの最初の連絡だけを受け持つ仕事もあれば、その後の訪問や契約まで一人で受け持つ仕事もあります。自分の担当がどこまでかは、上司や先輩に聞いて確かめます。
初めて担当になると、「向こうから連絡が来たのだから、すぐに説明の約束を取ればよい」と考えがちです。ところが、問い合わせた人は、まず自分の質問への答えを待っています。この記事では、問い合わせを受けてから、最初の連絡までにやることを説明します。
新規開拓・飛び込み営業との違い
新規開拓の営業は、まだ取引のない相手に、こちらから声をかけます。約束なしで訪問する飛び込み営業や、電話で訪問の約束を取るやり方があります。次の表は、違いを比べた一例です。
| 比べる点 | 反響営業 | こちらから声をかける営業 |
|---|---|---|
| きっかけ | お客様からの問い合わせ | こちらからの訪問や電話 |
| 最初の連絡のとき、相手は | 知りたいことがあり、返事を待っている | こちらのことを知らないことが多い |
| 最初に伝えること | 問い合わせへのお礼と、質問への答え | 自分の会社と、訪問や電話の用件 |
| 先に確かめること | 何を見て、何を知りたくて連絡したか | 相手の仕事と、話を聞いてもらえる時間 |
| つまずきやすい点 | 質問に答える前に、売り込みを始めてしまう | 断られることが続く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
気をつけたいのは、問い合わせた人が、買うと決めているとは限らないことです。料金だけ知りたい人、ほかの会社と比べている人、上司に頼まれて調べている人もいます。相手がどの段階にいるかは、問い合わせの文と、最初の連絡で確かめます。
すでに取引のあるお客様を回る仕事はルート営業にまとめています。ルート営業の担当が、既存のお客様からの問い合わせを受けることもあります。
問い合わせを受けたら確かめる4つ
連絡する前に、次の4つを確かめます。問い合わせの文や電話のメモを、最初から最後まで読むことから始めます。
1. 何を見て、連絡したのか
どの広告、どのページ、どのチラシを見て連絡したのかを見ます。相手が見た物を、自分も開いて読みます。相手は、そこに書いてあることを知ったうえで連絡しています。こちらが同じ物を見ていないと、話がかみ合いません。
2. 何を知りたいのか
質問や相談の文を、相手の言葉のまま書き写します。「料金を知りたい」「うちの場合でも使えるか」「いつから始められるか」など、知りたいことは人によって違います。こちらの言葉に言い換えると、相手の問いからずれることがあります。
何も書かれていない資料請求もあります。その場合は「知りたいこと:未確認」と書き、最初の連絡で一つだけ聞きます。
3. 前にやり取りがなかったか
会社の記録を見て、同じ人や同じ会社から、前に問い合わせがなかったかを確かめます。すでに取引のあるお客様や、ほかの担当者が話を進めている相手かもしれません。知らずに「初めまして」と連絡すると、相手は一から説明し直すことになります。
4. 希望の連絡方法と、時間帯
電話がよいか、メールがよいか、何時ごろがよいかが書かれていれば、それに合わせます。「メールで」と書いた人に電話をかけると、相手の希望を読んでいないことが伝わってしまいます。書かれていないときの決め方は、会社の決まりを先輩に聞きます。
4つを確かめたら、最初の連絡で答えることと、まだ答えられないことを分けて書きます。答えられないことには、誰に聞くかと、いつまでに答えるかを書き添えます。下の実践シートの項目とつながっています。
お客様の名前や連絡先は個人情報です。どこに記録するか、私物のノートやスマホに書いてよいかは、会社の決まりに従います。
電話で話しながら記録する仕事なら、メモを取る道具も確かめておきます。書く場所が決まったノートが一冊あると、後で会社の仕組みに入力するときに探さずに済みます。両手を空けて話したい場合は、ヘッドセット(頭に付けるマイク付きのイヤホン)を使う方法もあります。
最初の連絡の言い方の例
問い合わせた人は、返事を待っています。すぐに全部は答えられなくても、受け取ったことと、いつ答えるかを先に伝えると、相手は待つあいだの見通しが立ちます。連絡までの時間の目安は会社ごとに決まっていることが多いので、先輩に確かめます。
最初の連絡で伝える順番は、次の4つです。
- 名乗る。会社名と自分の名前を言います。
- 何の件かを言う。「昨日、ホームページからお問い合わせいただいた件で」と、相手が思い出せる手がかりを添えます。
- 質問に答える。分かることは答え、分からないことは、いつまでに答えるかを言います。
- 次を決める。相手が次に知りたいことを一つ聞き、次に誰が何をするかを確かめます。
電話の例
惜しい言い方:「お問い合わせありがとうございます。一度、詳しいご説明に伺いたいのですが、来週のご都合はいかがでしょうか」
良い言い方:「◯◯商事の山田と申します。昨日、ホームページから料金についてお問い合わせをいただいた件で、お電話しました。今、少しお時間よろしいでしょうか」
(相手が「はい」と答えた後)「10人でお使いの場合の料金は、料金表の◯◯プランになります。初期の設定の費用は、条件を確認して、明日の午前中にメールでお送りします。ほかに、先に知っておきたいことはありますか」
社名・人数・やり取りは説明用の例です。惜しい言い方は、ていねいですが、相手が聞いた料金に答えないまま、訪問の約束に進んでいます。相手から見ると、「質問に答えてもらえなかった」という印象が残ります。
良い言い方は、何の件かを最初に言い、今話せるかを聞いてから、質問に答えています。答えられない部分には、期限を付けています。訪問や詳しい説明を提案するのは、相手の質問に答えた後です。電話の話し方の型は、アポ取り電話の台本も使えます。
メールの例
件名:料金についてのお問い合わせの件(◯◯商事・山田)
A社 佐藤様
お問い合わせありがとうございます。◯◯商事の山田と申します。10人でお使いの場合の料金について、お答えします。
料金は、料金表の◯◯プランになります。初期の設定の費用は、条件を確認のうえ、明日の午前中に改めてメールでお送りします。
お使いになりたい時期がお決まりでしたら、教えていただけますか。時期に合わせて、進め方をご案内します。
これも説明用の文例です。件名に、何の件か・誰からかを書いています。本文は、相手の質問への答えから始め、こちらから聞くことは一つにしぼっています。質問をいくつも並べると、相手は返信に時間がかかり、返事が後回しになりがちです。
場面で変わるところ
確かめる4つと、伝える順番は同じです。問い合わせの届き方と、相手の急ぎ具合で、進め方が変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 力を入れる所 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 電話で問い合わせが来た | その場で、聞き取って書く | 名前・連絡先・知りたいことを聞き、くり返して確かめる。答えられないことは、折り返す日時を伝える |
| メールや問い合わせフォームで来た | 書かれた文を読む | 書かれた質問に、同じ方法で答える。電話をかけるなら、かけてよいかを先に確かめる |
| 資料の請求だけが来た | 知りたいことを一つ聞く | 資料を送り、「どの点を詳しくお知りになりたいですか」と一つ聞く |
| 急いでいる | できること・できないことを先に言う | 希望の日を聞き、間に合うかを社内で確かめてから答える。確かめる前に「できます」と言わない |
| 情報を集めている段階 | 相手の進み方に合わせる | 質問に答え、資料を送る。その後の連絡をしてよいか、いつごろがよいかを聞く |
| 電話がつながらない | 用件を残す | 留守番電話かメールに、名前・何の件か・次に連絡する時間を残す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
急いでいる相手には、早く約束したくなります。けれども、納期や在庫を確かめる前の「できます」は、後で守れないことがあります。「確認して、◯時までにお返事します」と、返事の時刻を約束します。
訪問や商談に進んだ後の聞き方は商談ヒアリング、商談全体の進み方は商談とはにまとめています。
個人のお客様に、電話で商品をすすめる仕事の場合
事業者が個人の消費者に電話で勧誘し、申込みを受ける取引には、特定商取引法の「電話勧誘販売」のルールがあります。消費者庁の特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」には、勧誘に先立って告げなければならない事項として、事業者の氏名(名称)、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品(権利、役務)の種類、契約の締結について勧誘する目的である旨、の4つが挙げられています。契約しない意思を示した人に、勧誘を続けたり、もう一度勧誘したりすることも禁止されています。
同じページには、営業のため、または営業として結ぶ契約など、この法律が適用されない場合も書かれています。自分の仕事がこのルールに当たるかどうかは、自分で判断せず、会社の法務の担当や上司に確認してください。
よくある失敗と、迷いやすい判断
失敗は、その場の立て直し方と、後の記録をセットで決めておきます。
失敗1:問い合わせの文を読まずに連絡し、同じことを聞いた
その場では:「フォームに書きましたよ」と言われたら、言い訳をせず、「失礼しました。◯◯についてのお問い合わせですね」と、書かれていた内容を自分の口で言い直します。手元に文がなければ、「確認して、すぐにかけ直します」と一度切ります。
後の記録:「確かめる4つ」を書いてから連絡する、と自分の手順に足します。相手が言った内容は、言葉のまま記録に残し、次に連絡する人が同じ質問をしないようにします。
失敗2:質問に答える前に、訪問の約束を取ろうとした
その場では:相手の声が固くなった、返事が短くなったと感じたら、「失礼しました。先に、お問い合わせの料金についてお答えします」と、質問に戻ります。約束の話は、答えた後に、相手が望むかを聞いてからにします。
後の記録:「訪問は希望されず。料金のみ回答。来月、もう一度検討するとのこと」のように、相手の返事を言葉のまま書きます(説明用の例です)。「見込みなし」とは書きません。次に何を、いつするかが分からなくなるからです。
失敗3:「折り返します」と言って、期限を伝えなかった
その場では:気づいた時点で連絡し、「先ほどの件、明日の午前中にお返事します」と期限を伝え直します。期限を過ぎてしまったら、おわびと新しい期限を一緒に伝えます。相手は、待っているあいだ、ほかの予定を決められずにいることがあります。
後の記録:約束は、中身・期限・誰がやるか、の3つで書きます。引き継ぐときの書き方は引き継ぎメモにまとめています。
判断1:答えが分からない質問が来たら?
基準は、推測で答えないことです。分かる部分だけ先に答え、残りは「確認して、◯日の◯時までにお返事します」と期限を伝えます。先輩には、相手の質問を言葉のまま見せて、「この質問に、どう答えればよいですか」と聞きます。
判断2:電話がつながらないとき、何度もかけてよい?
まず、相手が希望した連絡方法と時間帯を見直します。書かれていれば、それに合わせます。書かれていなければ、留守番電話かメールに、名前・何の件か・次に連絡する時間を残します。相手は、知らない番号からの着信に出ないだけかもしれません。
かけ直す回数や間隔は、会社で決まっていることがあります。先輩に「つながらない問い合わせは、何回まで、どの方法で連絡しますか」と聞きます。相手から「もう連絡は要りません」と言われたら、それ以上すすめず、言われた日と言葉を記録して上司に伝えます。
判断3:「まだ情報を集めているだけ」と言われたら?
基準は、相手が次に知りたいことです。「比べるときに、気になっている点はありますか」と一つ聞き、それに答える資料を送ります。その後の連絡については、「来月の初めに、状況を伺ってもよろしいですか」と、相手に決めてもらいます(説明用の例です)。
判断4:自分の担当ではない問い合わせだったら?
自分で答えようとせず、担当の人へ渡します。相手には、「担当の者から、本日中にご連絡します」と、誰から・いつ連絡が行くかを伝えます。渡すときは、問い合わせの文と、自分が相手に伝えたことを、そのまま添えます。相手が同じ説明をくり返さずに済むからです。
今日やることは一つです。届いた問い合わせ一件について、何を見て・何を知りたいのかを書き出し、最初の一言を声に出して言ってみてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
届いた問い合わせの文(または電話のメモ)、相手が見た広告やページ、会社の対応の決まり。
記入例を見る(説明用)
問い合わせの日時と方法=昨日の夕方、ホームページの問い合わせフォームから。A社の佐藤様。連絡はメール希望と書いてある。会社の記録を見たが、過去のやり取りはなし/何を見て、何を知りたいのか=料金のページを見て、「10人で使う場合の料金を知りたい」と書いてある。使い始めたい時期は書かれていない(未確認)/最初に伝える答えと、まだ答えられないこと=10人の場合の料金は、料金表のとおり答えられる。初期の設定にかかる費用は、条件で変わるので未確認。先輩に聞いて、明日の午前中に答える/連絡の方法と、最初の一言=メールで返信する。「お問い合わせありがとうございます。10人でお使いの場合の料金について、お答えします」から書き始める。訪問の提案は、最後に一行だけ添える/次にやること=自分:今日中に料金を返信する。初期費用は明日の午前中にもう一度メールする。佐藤様:使い始めたい時期を、返信で教えていただく。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
相手が何を見て・何を知りたいのかが相手の言葉で書いてあり、最初の連絡でその問いに答えていて、次にやることに期限が付いている。
うまく進まなかったときは?
知りたいことが読み取れなければ、最初の連絡で「どの点を詳しくお知りになりたいですか」と一つ聞く。答えが分からなければ、分かる部分と、残りを答える期限を伝える。連絡の方法や回数で迷ったら、先輩に会社の決まりを聞く。