NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 197 · 営業の実践ノート

値上げのお知らせの書き方:価格改定で伝える5項目と、伝える順番・文例・聞かれたときの受け方

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値上げのお知らせは、商品やサービスの価格を上げることを、お客様に前もって伝える文書やメールです。伝える項目は5つあります。いつから、何が、いくらに、理由、問い合わせ先です。営業の役目は、会社が決めた内容を、相手が社内で説明できる形で届けることです。この記事では、伝える順番、文例、聞かれたときの受け方をまとめます。

今日できるようになること

担当するお客様1社について、伝える5項目を書き出し、口頭と文書のどちらを先にするかを上司に確かめる。

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こんなときに 会社が価格を上げることになり、担当のお客様へ、何をどの順番で伝えればよいか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    会社が決めた内容と、自分が答えてよい範囲を確かめる

  2. 2

    5項目(いつから・何が・いくらに・理由・問い合わせ先)を、相手ごとに書き出す

  3. 3

    口頭と文書の順番を決め、同じ数字で伝える

  4. 4

    聞かれたことと、持ち帰ったことを記録し、期限までに返事をする

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

値上げのお知らせとは:辞書の意味と、営業の役目

「値上げ」は、辞書では「物の値段や料金を高くすること。」(デジタル大辞泉「値上げ」)と説明されています。値上げのお知らせは、それを、お客様に前もって伝える文書やメールです。

文書の題には、「価格改定のお知らせ」「価格改定のお願い」がよく使われます。「改定」は、辞書では「法律・制度など以前のものを改めて新しく定めること。」(デジタル大辞泉「改定」)です。言葉そのものには、上げるという意味がありません。題が「改定」でも、本文では、価格が上がることと新しい金額を、はっきり書きます。

値上げの幅、時期、対象を決めるのは、会社です。営業の役目は3つあります。決まった内容を、漏れなく届けること。相手の質問を受けること。答えられないことを持ち帰り、期限までに返事をすることです。

なぜ文書にするのか。相手の担当者も、社内で説明する立場だからです。上司、経理、その先のお客様に伝える人もいます。口頭だけでは、日付や金額が正しく伝わりません。手元に残る文書があれば、担当者はそれを見せて説明できます。

この記事は、伝え方を扱います。値上げの幅の決め方や、法律の判断は扱いません。価格と利益の関係は、粗利とはにまとめています。

お知らせに書く5項目

書く項目は、いつから・何が・いくらに・理由・問い合わせ先の5つです。

項目書くことなぜ要るか
1. いつから新しい価格になる日。「◯月◯日のご注文分から」か「◯月◯日の納品分から」かまで書く注文の日で数えるか、納品の日で数えるかで、相手の支払う額が変わる
2. 何が対象の商品やサービスの名前と品番。対象でない物があれば、それも書く相手は、自分が買っている物が入るかどうかを、最初に見る
3. いくらに今の価格と、新しい価格を並べる。税抜か税込かも書く。品目が多ければ、別紙の一覧にする「◯%上がります」だけでは、相手が自分で計算することになる
4. 理由会社が決めた説明の文相手の担当者が、社内で説明するときに使う
5. 問い合わせ先担当者の名前、電話番号、メールアドレス質問の行き先が無いと、相手は社内の手続きを進められない

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

このほかに、文書の日付、宛名、差出人、題を書きます。だれの名前で出すかは、会社の決まりに従います。郵送するときに添える一枚は、送付状の書き方にまとめています。

「理由」は、会社の文書にある文をそのまま使います。自分の言葉で足しません。「どこも上げていますので」のような一言は、会社の説明と違う理由を、相手に渡すことになります。

もう一つ、すでに出している見積書の扱いを確かめます。有効期限の中にある見積書は、今の価格のままなのか。相手は、その金額で社内の手続きを進めているかもしれません。上司に確かめてから、お知らせと一緒に伝えます。有効期限の書き方は、見積書の書き方にあります。

伝える順番:先に口頭か、先に文書か

伝える前に、社内で4つを確かめます。文書は、だれの名前で、いつ出すのか。自分の担当先のうち、先に口頭で伝える相手はどこか。出している見積書の扱い。そして、聞かれたときに、自分が答えてよい範囲です。

口頭と文書のどちらを先にするかは、会社の方針と、相手との関係で決まります。次の表は一例です。

場面順番の一例ひとこと
取引の額が大きい相手、付き合いの長い相手先に電話か訪問で伝え、同じ日に文書を届ける文書だけが先に届くと、相手は「担当から聞いていない」と感じることがある
多くの相手に、同じ内容を送る同じ日に文書やメールを送り、そのあと担当先へ電話で確かめる相手によって知る日がずれないようにする
契約書に、価格や、変えるときの手続きが書いてある先に契約書を読み、進め方を上司と確かめるお知らせの文書だけで変えられるとは限らない
有効期限の中にある見積書を出している見積書の扱いを上司に確かめ、お知らせと一緒に伝える相手は、見積もりの金額で予算を取っていることがある
担当者のほかに、経理や購買の窓口があるだれあてに送るかを、担当者に聞く担当者だけが知っていて、支払う部署が知らない、を防ぐ

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

口頭で先に伝えるときは、文書と同じ日付、同じ金額を言います。口頭と文書で数字が違うと、相手はどちらが正しいかを確かめ直すことになります。数字に自信がなければ、「詳しい金額は、文書でお届けします」と言い、その場で言いません。

伝えたら、だれに、いつ、何を伝え、何を聞かれたかを書いておきます。あとで「聞いていない」「そうは言っていない」を防ぐためです。

いつまでに知らせるかは、先に契約書を確かめます。知らせる時期の取り決めが書かれていることがあります。書かれていなければ、上司と決めます。相手にも、予算の組み直しや、その先のお客様への説明があります。早く知らせるほど、相手は準備ができます。

文例:惜しい例と良い例

ここからの文と数字は、すべて説明用の例です。実際の文は、会社が用意したものを使います。

文書の例

惜しい例:「諸般の事情により、来月より価格を改定させていただきます。何とぞご理解くださいますよう、お願い申し上げます。」

惜しい例には、何が、いくらになるのかが書かれていません。「来月より」が、注文の日なのか納品の日なのかも分かりません。相手は、電話で聞き直すことになります。

◯年◯月◯日

A社 購買部 佐藤様

B社 営業部長 鈴木

価格改定のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。

このたび、原材料の価格の上昇により、下記の商品の価格を改定させていただくことになりました。ご負担をおかけいたしますが、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

1. 対象:商品A(品番001)

2. 価格(税抜):現行 1個 1,000円 → 改定後 1個 1,080円

3. 適用の開始:◯年◯月1日のご注文分から

4. お問い合わせ先:営業部 山田(電話 000-0000-0000/メール yamada@example.com)

※ 商品Bの価格は変わりません。有効期限内のお見積書は、記載の価格のまま承ります。

良い例は、5項目がそろっています。対象でない商品と、見積書の扱いまで書いてあるので、相手は聞き直さずに済みます。

メールで送るときの例

件名:【価格改定のお知らせ】商品A ◯月1日ご注文分より(B社 山田)

A社 佐藤様

いつもお世話になっております。B社の山田です。

先ほどお電話でお伝えした、商品Aの価格改定について、文書を添付いたします。

・対象:商品A(品番001)

・価格(税抜):1個 1,000円 → 1,080円

・適用の開始:◯月1日のご注文分から

原本は、本日郵送いたします。ご不明な点は、山田までご連絡ください。

添付を開かなくても、本文で要点が読めるようにしています。件名の付け方は、メールの件名の書き方にまとめています。

口頭で切り出すときの例

惜しい言い方:「実は、ちょっと言いにくいのですが、少し値上げになりそうでして…」

良い言い方:「本日は、価格の改定についてお伝えにまいりました。◯月1日のご注文分から、商品Aが、1個1,000円から1,080円になります。文書をお持ちしました」

惜しい言い方は、いつから、いくらになるのかが分かりません。「なりそう」と言うと、まだ決まっていない、と受け取られます。良い言い方は、用件を先に言い、数字を文書と同じ形で伝えています。

おわびの言葉を、重ねすぎないようにします。値上げは、誤りや不手際の報告ではありません。負担をかけることへの一言と、理由と、数字を伝えます。こちらの誤りをわびる場面の文は、お詫びメールの書き方を見てください。

取引の法律が関わる所:公的な資料に書いてあること

会社どうしの取引では、価格の決め方に、法律が関わることがあります。当てはまるかどうかを、営業が自分で判断することはしません。ここでは、公的な資料に書いてあることを紹介します(2026年10月4日に確認)。

一つめは、公正取引委員会「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」です。内閣官房と公正取引委員会の名前で出され、ページには「令和5年11月29日」「改正 令和8年1月1日」とあります。労務費の上昇分を取引価格に反映する交渉について、発注者と受注者の行動をまとめたものです。

売る側(受注者)の行動として、次のような文があります。

  • 根拠の資料について:「発注者との価格交渉において使用する労務費の上昇傾向を示す根拠資料としては、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること。」
  • 交渉を申し出る時期について:活用する機会の一つに、「受注者が価格交渉を申し出やすいタイミング」が挙げられています。
  • 発注者と受注者に共通する行動として:「定期的に発注者と受注者がコミュニケーションをとる機会を設けること」
  • 同じく共通する行動として:「価格交渉の記録を作成し、発注者と受注者と双方で保管すること。」

記録については、「価格交渉を行う都度、協議内容を記録し、発注者・受注者双方が確認して残すことは、双方の認識のズレを解消し、トラブルの未然防止に役立つ。」とも書かれています。伝えたことと聞かれたことを書き残す、という前の章の動きは、この考え方と重なります。

二つめは、中小企業庁「価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果」です。次のように書かれています。

エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年9月より、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定。

自分の会社の取引が、これらの資料の対象になるのか。お知らせの出し方に、守ることがあるのか。それは、上司や、社内の法務・総務の担当に確かめます。支払の期日に関わる法律の話は、支払サイトとはでも扱っています。

逆の立場になることもあります。仕入先から、値上げのお知らせや、価格の相談が届いたときです。指針には、買う側(発注者)の行動も書かれています。自分の判断で断ったり、返事をしないままにしたりせず、届いた日のうちに上司へ渡します。

聞かれたときの受け方と、迷いやすい判断、間違えたあと

受け方の順番は、4つです。最後まで聞く。相手の言葉をくり返す。答えてよいことだけ答える。持ち帰ることと、返事の期限を言う。

聞かれること受け方の例(説明用)
「なぜ上がるのか」文書の理由を、そのまま伝える。「文書のとおり、原材料の価格の上昇によるものです」
「うちだけ、据え置きにできないか」その場で約束しない。「私の一存ではお答えできません。ご要望として持ち帰り、◯日までにお返事します」
「時期を遅らせてほしい」事情を聞いて書く。「予算の時期のご事情ですね。持ち帰って、◯日までにお返事します」
「ほかの会社に替えることも考える」言い返さない。「ご負担をおかけします。ご検討に要る資料があれば、用意いたします」
「いま出ている見積もりは、どうなるのか」上司に確かめておいた答えを伝える。確かめていなければ、持ち帰る

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

なぜ、その場で約束しないのか。一社に言ったことは、会社としての約束になるからです。持ち帰った結果、要望に応えられないと伝えるときは、お断りメールの書き方が役に立ちます。

判断1:「値上げの前に、今の価格でまとめて注文したい」と言われたら?

基準は、自分で受けないことです。在庫や納期に関わるからです。数量と、ほしい時期を聞いて書きます。上司には、「A社から、◯月中に商品Aを500個、今の価格で注文したいと相談がありました。受けてよいでしょうか」と、相手の言葉のまま伝えます(説明用の例です)。

判断2:理由を詳しく聞かれ、原価の数字を求められたら?

基準は、会社の文書に書いてある範囲で答えることです。原価や粗利の数字は、自分の判断で出しません(粗利とはの「判断3」)。相手が社内の説明に使う資料を求めているなら、「どのような資料があれば、ご説明しやすいでしょうか」と聞き、持ち帰ります。前の章で引いた指針には、根拠の資料として公表資料を用いる、という考え方が書かれていました。

判断3:メールだけで、済ませてよい?

公的な決まりは見当たりません。基準は、相手が、あとから「聞いていない」とならないかです。メールは、読まれないまま埋もれることがあります。送ったあとに電話で「届いていますでしょうか」と確かめれば、読まれたことが分かります。取引の額が大きい相手には、上司と相談して、訪問か電話を先にします。

判断4:担当者に「上に説明しにくい」と言われたら?

基準は、担当者が、そのまま社内で見せられる材料を渡すことです。今の価格と新しい価格を並べた一覧、適用の開始日、理由の文の3つです。「上司の方から聞かれそうなことはありますか」と聞き、答えを持ち帰って足します。

間違えたあと1:新しい価格や、適用の開始日を、誤って伝えた

その場では:気づいた時点で、上司に報告します。相手には、どこが誤りで、正しくは何かを、一文で伝えます。「先日お伝えした適用の開始日に、誤りがありました。正しくは◯月1日のご注文分からです。申し訳ございません」(説明用の例です)。訂正した文書を、あらためて届けます。書き方はお詫びメールの書き方にあります。

後の記録:「口頭で、文書と違う日付を言った。次からは、文書を見ながら伝える」と書きます。

間違えたあと2:決められていないことを、その場で約束した

その場では:「御社は据え置きで大丈夫だと思います」と言ってしまった、などです。相手が社内に伝える前に、動きます。その日のうちに上司へ報告し、どう伝え直すかを決めます。相手には、「先ほどの件は、私の一存で申し上げてしまいました。社内で確認し、◯日までにあらためてご連絡します」と伝えます(説明用の例です)。

後の記録:だれに、何を約束し、いつ取り消したかを書きます。次からは、「持ち帰ります」と言う場面を、訪問の前に書き出します。

今日やることは一つです。担当するお客様1社について、5項目を書き出し、口頭と文書のどちらを先にするかを、上司に確かめてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
会社が出す価格改定の文書(または案)、担当するお客様の一覧、契約書と出している見積書の控え、上司に確かめたことのメモ。

記入例を見る(説明用)

相手の会社と、契約書・見積書の状況=A社。契約書に、価格を変えるときの手続きは書かれていない(佐藤先輩と一緒に確認)。先月出した見積書が1件あり、有効期限は今月末/伝える5項目=いつから:◯月1日のご注文分から。何が:商品A(品番001)。商品Bは対象外。いくらに:1個1,000円から1,080円へ(税抜)。理由:原材料の価格の上昇(会社の文書のとおり)。問い合わせ先:山田の電話とメール/伝える順番と日=先に電話で佐藤様に伝え、同じ日に文書をメールで送る。原本は郵送する。来週の火曜/聞かれそうなことと、答えてよい範囲=出している見積書は、有効期限まで今の価格のまま(課長に確認)。据え置きや時期の変更は、自分では答えず持ち帰る/持ち帰ったことと、返事の期限=未記入(伝えたあとに書く)。(数字と名前は説明用の例)

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

5項目が相手ごとに書いてあり、口頭と文書の順番と日が決まっていて、自分が答えてよい範囲を、だれに確かめたかが書いてある。

うまく進まなかったときは?

答えてよい範囲が分からなければ、「据え置きや時期の変更を求められたら、持ち帰りでよいでしょうか」と上司に聞く。順番で迷ったら、担当先を取引の額の順に並べ、上から3社について上司に相談する。理由の言い方で迷ったら、会社の文書の文をそのまま使う。

NEXT NOTE

次に読むなら

見積書の書き方粗利と粗利率の計算お断りメールの書き方