NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 167 · 営業の実践ノート

支払サイトとは:「月末締め翌月末払い」の読み方と、営業が確かめること

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支払サイトとは、仕事の場では、取引を締めてから代金が支払われるまでの期間を指して使われることが多い言葉です。「月末締め翌月末払い」なら、月末までの分をまとめ、次の月の末に支払う、という約束です。営業の役目は、取引を始める前に相手の条件を聞き、日付の例で確かめ、上司と経理に伝えて、決まった条件を書面に残すことです。自社の条件と合わないときは、自分で決めません。

今日できるようになること

自分の会社の通常の支払条件を、経理の担当か上司に聞き、締め日と支払期日に分けて書く。

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こんなときに 取引先から「支払サイトは月末締めの翌月末払いです」と言われ、意味と、社内への伝え方が分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    自分の会社の通常の支払条件を、経理か上司に聞く

  2. 2

    取引を始める前に、相手の締め日と支払期日を聞く

  3. 3

    日付の例に直して、相手に確かめる

  4. 4

    上司と経理に伝え、決まった条件を書面に残す

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

支払サイトとは:締めてから、代金が支払われるまでの期間

新しい取引先との打ち合わせで、「うちの支払サイトは、月末締めの翌月末払いです」と言われた。サイトと聞いて思い浮かぶのは、インターネットのページ。うなずいて帰ってきたけれど、上司にどう報告すればよいのか分からない。営業を始めて間もないころに、よくある場面です。

辞書(コトバンク)には、「支払サイト」という見出しは見当たりません。載っているのは「サイト」です。インターネットのサイト(site)とは別の言葉として、サイト(sight)の語釈が、「手形などの決済期限。一覧払い。」(デジタル大辞泉「サイト(sight)」)と載っています。

辞書が説明しているのは「決済の期限」です。仕事の場では、ここから広がって、取引を締めてから、代金が支払われるまでの期間を「支払サイト」と呼ぶことが多くあります。「サイトが長い」と言えば、支払われるまでの間が長い、という意味です。どこからどこまでを数えるかは、会社や人によって違うことがあるので、聞いたときに確かめます。

一緒に出てくる言葉を、辞書の語釈と並べます。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。

言葉辞書の語釈この記事での意味
締め「金銭などの合計を出すこと。また、その数量。」(デジタル大辞泉「締め」)一定の期間の取引を、まとめて合計すること。その区切りの日を「締め日」と呼ぶ
期日「その日までと前もって定められている日。期限の切れる日。日限。」(デジタル大辞泉「期日」)「支払期日」は、その日までに支払うと決めた日
掛売り「即金でなく、一定期間後に代金を受け取る約束で品物を売ること。」(デジタル大辞泉「掛売り」)先に納品し、後で代金を受け取る売り方
売掛金「売り掛けの代金。売上代金の帳簿上の未収金額。」(デジタル大辞泉「売掛金」)売ったけれど、まだ受け取っていない代金

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「締め日」「支払期日」という見出しそのものは、調べた辞書には見当たりませんでした。上の表は、「締め」と「期日」の語釈から説明しています。

4つの言葉は、一本の流れでつながっています。掛売りで納品する。締め日に、その期間の分を合計する。請求書を出す。支払期日に、代金が入る。その間、代金は売掛金として残っています。支払サイトは、この流れの「締めてから入るまで」の長さの話です。

「月末締め翌月末払い」の読み方と、日数の数え方

支払の条件は、「◯◯締め・◯◯払い」の形で言われます。前半が締め日、後半が支払期日です。読み方は、次の順です。

  1. 納品した日が、どの締め日に入るかを見る。月末締めなら、4月10日に納品した分は、4月30日の締めに入ります。
  2. その締め日から見た、支払期日を見る。翌月末払いなら、4月30日に締めた分は、5月31日に支払われます。
  3. 納品した日から支払期日までを、数える。4月10日から4月30日までが20日、4月30日から5月31日までが31日。合わせて、納品の51日後です。

下の表は、どれも架空の日付で計算した、説明用の例です。「◯日後」は、納品した日の翌日を1日後として数えています。

支払の条件納品した日締め日支払期日納品から支払まで
月末締め・翌月末払い4月10日4月30日5月31日51日後
月末締め・翌月末払い4月1日4月30日5月31日60日後
月末締め・翌月末払い4月30日4月30日5月31日31日後
20日締め・翌月末払い4月20日4月20日5月31日41日後
20日締め・翌月末払い4月21日5月20日6月30日70日後
月末締め・翌々月10日払い4月10日4月30日6月10日61日後

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

表から分かることが二つあります。一つは、同じ条件でも、納品した日によって日数が変わることです。月末締め・翌月末払いでは、月の初めに納めた分は60日後、月の終わりに納めた分は31日後になります。

もう一つは、締め日をまたぐと、支払が大きく先になることです。20日締め・翌月末払いで、4月20日に納めれば41日後。1日遅れて4月21日に納めると、次の締め(5月20日)に回り、支払は6月30日、70日後です。1日の違いで、29日の差が出ます。

「30日サイト」「60日サイト」のように、日数で言われることもあります。締め日から数えているのか、納品の日から数えているのかは、言った人に確かめます。「締め日と、お支払いの日を、日付で教えていただけますか」と聞けば、取り違えが起きません(説明用の例です)。

営業がやること:始める前に確かめ、書面に書き、自分で決めない

支払の条件を決めるのは、多くの会社では、営業ひとりではありません。経理や上司が関わります。営業の役目は、相手の条件を正しく聞いて、社内に伝え、決まった条件を書面に残すことです。手順は次のとおりです。

  1. 自分の会社の条件を、先に知っておく。経理の担当か上司に、「うちの通常の支払条件は何ですか」と聞きます。これを知らないと、相手の条件が合うのか合わないのかが分かりません。
  2. 取引を始める前に、相手の条件を聞く。聞くのは、締め日、支払期日、支払の方法(振込など)、請求書をいつまでに・どこへ届けるか、の4つです。
  3. 聞いた条件を、日付の例に直して確かめる。「4月10日に納品した分は、5月31日のお支払い、という理解でよろしいでしょうか」と言い直します(説明用の例です)。
  4. 社内に伝える。聞いたとおりに、上司と経理の担当へ伝えます。自社の条件と違うときは、ここで判断をもらいます。
  5. 見積書と契約書に書く。決まった条件を、書面に残します。
  6. 最初の請求と入金を、確かめる。初めての請求書が相手の締め切りに間に合ったか、支払期日に入金があったかを、経理の担当に聞きます。

2番目を「取引を始める前」にやるのは、納品したあとで条件の食い違いが分かると、直すのが難しいからです。相手の会社にも支払の決まりがあり、1件だけ変えるには、相手の社内の手続きが要ることがあります。

聞き方の例です。

「お取引を始めるにあたり、お支払いの条件を確認させてください。締め日とお支払いの日は、どのようになっていますでしょうか。あわせて、請求書をお届けする期限と、お送りする先も教えていただけますか。」

5番目の書面について。見積書の取引条件の欄に支払の条件を書くことは、見積書の書き方と見積書を送る前に確認する7項目で説明しています。請求書の日付と締め日の関係は、請求書の書き方にあります。

新しい取引先と、後払いで取引を始めてよいかどうかを社内で確かめる手続きは、与信とはで説明しています。支払サイトは「いつ支払われるか」、与信は「後払いで売ってよい相手か、いくらまでか」の話です。

自分の会社の条件と合わないとき

相手の条件が、自社の通常の条件より長い。こういうときに、その場で「大丈夫です」と答えないでください。答えは、「社内で確認して、◯月◯日までにお返事します」です(説明用の例です)。

上司と経理の担当には、次の4つを伝えます。相手の会社名。相手の条件(締め日と支払期日)。自社の通常の条件との違い。取引の見込みの金額。特別な条件を認めるかどうかを書類で決める会社では、稟議書を書くことになります。

支払サイトが長いと、何が起きるか

支払サイトが長いと、納品してから代金が入るまでの間が、長くなります。その間、代金は売掛金のままです。辞書が売掛金を「未収金額」と書いているとおり、受け取るまでは、まだ途中です。

一方で、売る側の会社は、その間にも、仕入れの代金や経費を支払っています。入ってくるのが遅く、出ていくのが先になる。この間をどう支えるかを考えるのは、経理や経営の仕事です。営業が自分で判断することではありません。

営業が知っておくのは、「支払の条件は、値段と同じくらい、会社にとって大事な条件だ」という点です。値引きを自分だけで決めないのと同じように、支払の条件も、自分だけで決めません。

場面によって、気をつける所が変わります。

場面確かめることだれに聞くか
新しい取引先締め日、支払期日、支払の方法、請求書の届け先と期限相手の担当者。答えは上司と経理へ
相手から「条件を変えたい」と言われた変えたい理由、いつの分から、どの条件に相手に聞いて、上司と経理へ。その場で返事をしない
月の終わりや、締め日の近くに納品するどの締めに入るか。相手は、納品の日と検収の日のどちらで数えているか相手の担当者
自分の会社が買う側のとき自社の支払の条件。仕入先に伝えてよい内容経理と上司

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

3番目の「納品の日か、検収の日か」は、締めに入る月が変わることがあるので、先に聞いておきます。検収の意味と、検収書の扱いは、検収とはで説明しています。

法律が関わる取引がある:取適法の支払期日の決まり

支払期日は、当事者が自由に決められるとは限りません。法律が関わる取引があります。以前「下請法」と呼ばれていた法律です。公正取引委員会は、「本改正により、法律名の「下請代金支払遅延等防止法」は、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)となります。本改正法は、令和8年1月1日から施行されます。」(公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」)と案内しています。

この法律では、仕事を頼む側(委託事業者)に、4つの義務が課されています。その一つが「支払期日を定める義務」で、概要は「製造委託等代金の支払期日を給付の受領後60日以内のできる限り短い期間内に定めること。」(公正取引委員会「委託事業者の義務」)です。

同じページの説明は、次のとおりです。

「委託事業者は、中小受託事業者との合意の下に、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査するかどうかを問わず、製造委託等代金の支払期日を物品等を受領した日(役務提供委託の場合は、中小受託事業者が役務の提供をした日)から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める義務があります。」

読み取れることは二つです。数え始めが、締め日ではなく、物品等を受領した日と書かれていること。検査をするかどうかを問わない、と書かれていること。検査(検収)と支払の関係は、検収とはでも同じページを引いて説明しています。

手形での支払いについても、記述があります。公正取引委員会「委託事業者の禁止行為」のページは、代金の支払遅延の禁止の説明の中で、「また、①手形を交付することや、②電子記録債権や一括決済方式について、支払期日までに製造委託等代金に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することも、支払遅延に該当し、禁止されます。」と書いています。

ただし、この法律は、すべての取引に当てはまるわけではありません。公正取引委員会は、「取適法の対象となる取引は事業者の資本金規模又は従業員基準と取引の内容で定義」(公正取引委員会「取適法の概要」)と説明しています。自分の取引が当てはまるかどうかは、この記事では判断できません。前の章の表の日数が、この決まりに合っているかどうかも、この記事では判断しません。

営業がやることは一つです。支払の条件を聞いたとき、または自社が買う側で条件を伝えるときに、上司・経理・法務の担当へ、条件をそのまま伝えること。「この取引は、取適法の対象ですか」と聞くのも、営業の仕事のうちです。

惜しい例と良い例、迷いやすい判断、間違えたあと

相手から支払の条件を聞いたあとの、上司への報告を比べます。会社名と日付は、説明用の例です。

惜しい例

「A社の支払サイトは、普通でした。問題ないと思います。」

「普通」が何を指すのかが、聞いた人に伝わりません。自社の条件と比べたのかも分かりません。「問題ない」は、営業が決めることではない部分です。

良い例

「A社の支払条件を聞いてきました。月末締めの、翌々月10日払いです。4月10日に納品した分は、6月10日のお支払いになると、担当の佐藤様に確認しました。当社の通常は、月末締めの翌月末払いと聞いています。この条件で進めてよいか、ご判断をお願いします。請求書は、毎月5日までに、A社の経理部あてに届ける必要があるそうです。」

相手の条件が、締め日と支払期日に分けて書いてあります。日付の例で確かめたことも分かります。自社の条件との違いを並べ、判断を上司に求めています。伝える順番は、報連相とはの「結論→事実→自分の考え→お願い」と同じです。

判断1:「支払サイトは?」と聞かれて、答えられないときは?

知らないまま、見当で答えないでください。「正確にお伝えしたいので、確認して、本日中にご連絡します」と答えます(説明用の例です)。戻ったら、経理の担当に自社の条件を聞き、聞いた言葉のまま相手に伝えます。

判断2:相手から「支払を、もう1か月延ばしてほしい」と言われたら?

基準は、その場で返事をしないです。聞くことは3つ。理由、いつの分からか、どの条件にしたいのか。「社内で確認してお返事します。理由と、いつの分からかを、教えていただけますか」と聞きます(説明用の例です)。聞いたとおりに、その日のうちに上司と経理の担当へ伝えます。

判断3:支払期日を過ぎても、入金がないと聞いたら?

相手に連絡する前に、経理の担当に、入金が本当にないか、請求書が相手の締め切りに間に合っていたかを確かめます。こちらの請求書が次の締めに回っていた、ということもあります。確かめたあとの連絡の文は、催促メールの書き方にまとめています。

間違えたあと:条件を取り違えて伝えていた

その場では:「翌月末払い」を「翌々月末払い」と聞き違えていた、相手に自社の条件を間違えて伝えていた。気づいたら、まず上司と経理の担当に報告します。伝えるのは、どの取引先か、何をどう間違えたか、見積書や契約書にもう書いたか、の3つです。相手への訂正は、上司と相談してから伝えます。

訂正の連絡は、正しい条件を、締め日と支払期日に分けて書きます。「先日お伝えしたお支払いの条件に、誤りがありました。正しくは、月末締めの翌月末払いです。申し訳ございません」という形です(説明用の例です)。

後の記録:なぜ間違えたかを書きます。「口頭で聞いて、日付の例で確かめなかった。次からは、4月10日納品の分はいつのお支払いか、と日付で聞き直す」のような形です(説明用の例です)。

今日やることは一つです。経理の担当か上司に、自分の会社の通常の支払条件を聞き、締め日と支払期日に分けて、メモに書いてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
相手から聞いた支払条件のメモ。見積書や契約書の控え。カレンダー(日付の例で確かめるため)。

記入例を見る(説明用)

自分の会社の通常の支払条件(締め日・支払期日)=月末締め・翌月末払い(経理の担当に聞いた)/相手の支払条件(締め日・支払期日・支払の方法)=A社。月末締め・翌々月10日払い。振込。担当の佐藤様から聞いた/日付の例で確かめた結果=「4月10日に納品した分は、6月10日のお支払い」で合っていると、佐藤様に確認した。支払期日が休日のときの扱いは未確認。次の連絡で聞く/請求書を届ける期限と、届け先=毎月5日までに、A社の経理部あて。書式の指定は未確認/社内に伝えた相手と、決まったこと・未確認のこと=上司の課長と、経理の担当に伝えた。自社の通常と違うため、進めてよいかは課長の判断待ち。◯月◯日に返事をもらう。A社には「◯月◯日までにお返事します」と伝えてある。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

自社と相手の支払条件が、締め日と支払期日に分けて書いてあり、日付の例で相手に確かめてあり、上司と経理に伝えた結果(未確認の所は、だれにいつ聞くか)が書いてある。

うまく進まなかったときは?

自社の条件が分からなければ、経理の担当に「通常の支払条件は何ですか」と聞く。相手の条件の意味があいまいなら、「4月10日に納品した分は、いつのお支払いですか」と日付で聞き直す。条件が合わなければ、その場で返事をせず、上司と経理に伝える。

NEXT NOTE

次に読むなら

与信の意味を確かめる請求書の書き方を確かめる検収と支払いの関係を知る