NOTE 108 · 営業の実践ノート
メールの件名の書き方:用件・何について・期限・社名を、開く前に伝える
公開:2026年10月3日
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メールの件名は、相手が開く前に読む、ただ一つの文です。「何の用件か」「何についてか」「いつの話か・いつまでか」「誰からか」の4つが入っていると、相手は開く順番を決められ、後から探すこともできます。この記事では、4つの部品の組み立て方、惜しい例と良い例、【 】や「至急」「重要」の使い方、返信で件名を変えるかどうか、場面別の件名の例を説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 件名に何を書けばよいか分からず、「お世話になっております」「ご連絡」で送ってしまうとき。
- 1
本文を書き、相手にしてほしいことを一つ決める
- 2
用件・何についてか・日付や期限・社名と名前を書き出す
- 3
大事なものを前にして、一行の件名にする
- 4
受信箱に並んだつもりで件名だけを読み、中身が分かるかを確かめる
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
件名の役割:開く前に読まれる、ただ一つの文
デジタル大辞泉「件名」は、3番目の意味として「電子メールにおいて、そのメールのタイトル(表題)のこと。」と説明しています。件名は、メールの題です。
受け取る人の画面には、差出人の名前と件名が、何通も並びます。本文は、開くまで読まれません。件名は、相手が開く前に読む、ただ一つの文です。相手は、ここを見て、3つのことを決めます。
| 相手が決めること | 件名に入っていると助かること | 入っていないと、どうなるか |
|---|---|---|
| 今開くか、後で開くか | 用件と、期限 | 急ぎの用件が、後回しになる |
| 自分に関係があるか | 何についてか(商品名・案件名)と、誰からか | 知らない相手からの売り込みと見分けがつかず、開かれないことがある |
| 後で探すとき、どれか | 日付、書類の名前 | 相手が見つけられず、「もう一度送ってください」と頼むことになる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
初心者がつまずきやすいのは、本文に力を使い、件名を最後に急いで付けることです。本文の書き出しをそのまま入れて「お世話になっております」としたり、「ご連絡」「先日の件」とだけ書いたりします。本文がどれだけていねいでも、開かれなければ読まれません。
メール全体の部品(件名・宛名・書き出し・用件・結び・署名)と書く順番は、ビジネスメールの書き方にまとめています。この記事は、その中の件名だけを、くわしく扱います。
件名に入れる4つと、組み立ての順番
件名に入れるものは、4つあります。全部を毎回入れる、という意味ではありません。上の2つを土台にして、下の2つは、要るときに足します。
| 部品 | 中身 | 例(説明用) | 入れるとき |
|---|---|---|---|
| 1. 用件 | 相手に何をしてほしいか、こちらが何をしたか | 送付/ご相談/お願い/お礼/ご報告 | 毎回 |
| 2. 何についてか | 商品名、案件名、書類の名前 | [商品名]のお見積書/◯月の定例会 | 毎回 |
| 3. 日付や期限 | いつの話か、いつまでか | ◯月◯日(◯)開催/◯月◯日までにご返信 | 日時や期限があるとき |
| 4. 社名と名前 | 誰からか | [自社名][名字] | 初めての相手、やり取りが少ない相手、相手が多くの会社とやり取りしているとき |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
組み立ては、次の順で進めます。下の実践シートと同じ並びです。
- 本文を先に書き、相手にしてほしいことを一つ決める。件名は、本文の中身を一行にしたものです。中身が決まる前に付けると、「◯◯の件」のような、ぼんやりした件名になります。
- 4つの部品を書き出す。用件、何についてか、日付や期限、社名と名前を、それぞれ短い言葉で書きます。無いものは「なし」と書きます。
- 大事なものを前にして、一行にする。件名は、画面の幅によって、後ろが切れて表示されることがあります。スマートフォンでは、表示される字数がさらに少なくなります。切れても伝わるように、用件と、何についてかを前に置きます。
- 件名だけを読んで、確かめる。自分の受信箱に、ほかのメールと並んで届いたつもりで読みます。開かなくても、何の用件で、何をすればよいかの見当がつけば、できあがりです。
件名の長さについて、公的な決まりは見当たりません。目安は、削っても意味が変わらない言葉が、残っていないことです。「お世話になっております」「いつもありがとうございます」などのあいさつは、本文に書けば足ります。「〜の件につきまして」は「〜の件」に、「〜についてのご連絡」は、用件の言葉(送付・ご相談など)に置き換えられます。
惜しい例と良い例、【 】の使い方
次は、取引先へ見積書を送るメールの件名を比べた、説明用の例です。
- 惜しい例1:「お世話になっております」
- 惜しい例2:「ご連絡」
- 惜しい例3:「お見積書の件」
- 惜しい例4:「【重要】【至急】【ご確認ください】お見積書について」
- 良い例:「[商品名]お見積書の送付(◯月◯日までにご返信のお願い)[自社名][名字]」
惜しい例1は、あいさつです。用件も、何についてかも、入っていません。同じ件名のメールが何通も並ぶと、相手は、どれがどの話かを開いて確かめることになります。
惜しい例2は、連絡であることは分かりますが、すべてのメールは連絡です。何の連絡かが、分かりません。
惜しい例3は、「何についてか」は入りました。足りないのは、用件です。見積書を送ったのか、見積書について質問があるのか、見積書を直してほしいのかが、開くまで分かりません。「◯◯の件」で終わる件名は、最後に用件の言葉を一つ足すと直ります。「お見積書の送付」「お見積書の金額のご相談」のような形です。
惜しい例4は、【 】が三つ並び、肝心の中身が後ろに押し出されています。画面の幅が狭いと、【 】だけが表示されることになります。
良い例は、何についてか(商品名の見積書)、用件(送付)、期限と、してほしいこと(返信)、誰からかが入っています。
【 】(すみ付きかっこ)の使い方
件名の頭に【 】で言葉を入れる形は、受信箱の中で目に留まりやすいので、よく使われます。使うかどうかについて、公的な決まりは見当たりません。職場の習慣に合わせます。使うときの考え方は、次の3つです。
- 一つの件名に、一つまで。重ねるほど、どれが大事なのかが分からなくなります。件名の中身も、後ろへ下がります。
- 中に入れるのは、メールの種類を表す短い言葉。【ご確認のお願い】【日程のご相談】【お詫び】【ご報告】のように、相手が「自分は何をすればよいか」を見分けられる言葉を入れます。
- 毎回付けない。すべてのメールに【 】が付いていると、目印の役目がなくなります。日々の返信には付けず、新しい用件を出すときに使う、という分け方もあります。
社名を【 】に入れて「【[自社名]】お見積書の送付」とする形もあります。初めての相手や、やり取りの少ない相手に、誰からのメールかを先に伝えたいときに使われます。この場合、用件の【 】とは重ねず、どちらか一つにします。
返信のとき:「Re:」を残すか、件名を変えるか
届いたメールに返信すると、件名の前に「Re:」が付きます。同じ用件のやり取りが続いている間は、件名を変えずに返す形が、よく使われます。「Re:」の扱いと返信の書き方は、ビジネスメールの返信にまとめているので、ここでは、件名を変えるとどうなるかを書きます。
メールソフトには、同じ件名のやり取りを、ひとまとまりにして表示するものがあります。Gmail ヘルプ「メールをスレッドごとにグループ化する」は、「Gmail では、メールへの返信はスレッドにまとめられ、最新のメールが会話スレッドの一番下に表示されます。」「件名が変更された場合や、スレッド内のメール数が 100 通を超えた場合、スレッドは新しいスレッドに分割されます。」と説明しています。件名を書き換えると、相手の画面で、それまでのやり取りと別のまとまりになることがある、ということです。ほかのメールソフトでは動きが違うことがあるので、自分の会社のソフトで確かめてください。
ここから、変えるかどうかの基準が決まります。
| 場面 | 件名 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ用件への返事 | 変えない(Re: のまま) | 前のメールとつながって表示され、相手が流れを追える |
| 同じ相手との間で、別の用件を出したい | 返信ではなく、新しいメールを作り、新しい件名を付ける | 前の用件のまとまりに、別の話がまざらない。後で件名で探せる |
| やり取りの途中で、話が別の用件に移ってきた | 区切りのよい所で、新しい件名のメールに分ける | 件名と中身が合わなくなると、後で探せなくなる |
| 件名が空、または中身と合っていないメールに返す | 職場の習慣に合わせる(変えるなら、元の件名を残して用件を足す) | 相手は、元の件名で自分のメールを探すことがある |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
話が移ったときに件名を変える場合は、「見積書の納期のご相談(旧件名:お打ち合わせ日程のご相談)」のように、元の件名を( )で残す書き方もあります(説明用の例です)。相手は、どのやり取りの続きなのかが分かります。
「Re: Re: Re:」と重なったときに一つにまとめるかどうか、転送のときの「Fw:」に言葉を足すかどうかは、会社や相手によって考え方が違います。先輩のメールの形に合わせます。
場面別の件名の例
営業の仕事でよく送るメールについて、件名の例を並べます。すべて説明用の例です。[ ]と◯は、自分の案件に置き換えてください。【 】や社名を入れるかどうかは、職場の習慣に合わせます。
| 場面 | 件名の例 | 入れている部品 | 本文の書き方 |
|---|---|---|---|
| 見積書の送付 | [商品名]お見積書の送付(◯月◯日までにご返信のお願い) | 何についてか・用件・期限 | 見積書を送る前に確認する7項目 |
| 日程調整 | ◯月の定例お打ち合わせ 日程のご相談([自社名][名字]) | 何についてか・用件・誰から | 日程調整メールの書き方 |
| お礼 | 本日のお打ち合わせのお礼([自社名][名字]) | いつの・何についてか・用件・誰から | 営業のお礼メール |
| お詫び | 【お詫び】◯月◯日納品分の遅れについて([自社名][名字]) | 用件・いつの・何についてか・誰から | お詫びメールの書き方 |
| 催促 | [商品名]お見積書のご確認のお願い(◯月◯日送付分) | 何についてか・用件・いつの | 催促メールの書き方 |
| 初めての相手 | [用件]のご相談([自社名][氏名]) | 用件・誰から | はじめましてのビジネスメール |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
場面ごとに、力を入れる所が違います。
- 見積書の送付:相手は、後でこのメールを探します。商品名と「お見積書」を入れておくと、件名で見つけられます。返事がほしいなら、期限まで入れます。
- 日程調整:何の打ち合わせかを入れます。日時が決まった後の連絡は、「◯月◯日(◯)◯時 お打ち合わせのご案内」のように、決まった日時を件名に入れると、相手は件名を見るだけで予定を確かめられます。
- お礼:「先日はありがとうございました」だけだと、どの日の何のお礼かが分かりません。いつの、何のお礼かを入れます。お礼の手紙を出す場合は、お礼状の書き方を見てください。
- お詫び:お詫びであることと、何の件かを、件名で先に伝えます。ほかのメールに埋もれて、読まれるのが遅れるのを避けるためです。
- 催促:件名に「催促」と書くと、相手を責める調子になりがちです。「ご確認のお願い」のように、してほしいことを書き、いつ送った分かを添えます。前のメールへの返信の形で送ると、相手は元のメールをすぐ開けます。
- 初めての相手:相手は、差出人の名前を知りません。件名に社名と名前がないと、誰からのメールかが、開くまで分かりません。紹介してくれた人がいるなら、「[紹介者の会社名][紹介者名]様のご紹介」と入れる形もあります。
迷いやすい判断と、間違えたあと
判断1:「至急」は、いつ付ける?
デジタル大辞泉「至急」は、「至急」を「非常に急ぐこと。大急ぎ。」と説明しています。件名に付けると、相手に「ほかの仕事より先に、これを見てください」と頼むことになります。
基準は、相手が今日動かないと、相手自身が困るかです。こちらの社内の締め切りが近い、というだけなら、こちらの都合です。「至急」ではなく、「◯月◯日(◯)◯時までにご返信のお願い」のように、期限そのものを件名に書きます。相手は、日時を見て、自分で順番を決められます。
本当に急ぐ用件は、メールだけに頼りません。メールは、相手がいつ開くか分からないからです。電話で伝え、内容をメールでも送る形にします。取引先へのメールに「至急」を付けてよいかは、送る前に上司に聞きます。
判断2:「重要」は、いつ付ける?
デジタル大辞泉「重要」は、「重要」を「物事の根本・本質・成否などに大きくかかわること。きわめて大切であること。また、そのさま。」と説明しています。
基準は、読まなかった場合に、相手に不利益が出るかです。価格の改定、仕様の変更、納期の変更、休業のお知らせのように、相手の仕事に関わる変更が当たります。こちらが読んでほしいだけの案内に付けると、次に本当に大事な知らせを送ったときに、目に留まらなくなります。付けるときは、【重要】の後に、何が変わるのかを続けます。「【重要】◯月◯日からの価格改定のお知らせ」のような形です(説明用の例です)。
判断3:件名に、社名と名前は入れる?
基準は、相手が、差出人の名前だけで自分だと分かるかです。初めての相手、やり取りが少ない相手、多くの会社から連絡を受ける相手には、入れると見分けてもらいやすくなります。毎日やり取りしている相手なら、差出人の欄で分かるので、入れなくても伝わります。職場で入れる形にそろえているなら、それに従います。
判断4:相手の件名が分かりにくいとき、返信で直してよい?
相手が付けた件名を書き換えると、相手は、自分のメールへの返事だと気づきにくくなります。前の章で見たように、やり取りのまとまりが分かれることもあります。同じ用件への返事なら、そのまま返します。どうしても用件を足したいときは、元の件名を残したまま、後ろに足します。
間違えたあと1:件名を入れずに送った
その場では:相手の受信箱では、件名のないメールとして並んでいます。急ぎの用件や、初めての相手へのメールなら、件名を入れて送り直します。本文の最初に「先ほど、件名を入れずにお送りしてしまいました。同じ内容を、あらためてお送りします。先のメールは、破棄をお願いいたします」と一文添えます(説明用の例です)。送り直すかどうかで迷うときは、先輩に聞きます。
後の記録:「本文を書いてすぐ送った。次からは、送る前に、件名→宛先→添付の順に見る」と書きます(説明用の例です)。
間違えたあと2:件名の日付や商品名を、間違えて送った
その場では:件名と本文が食い違っていると、相手は、どちらが正しいのかが分かりません。正しい件名で送り直すか、訂正のメールを送ります。訂正では、どこが、どう変わるかを一文で書きます。「先ほどのメールの件名に誤りがありました。打ち合わせは、◯月◯日(◯)です。失礼いたしました」のような形です(説明用の例です)。金額や納期に関わる誤りは、上司に伝えてから送ります。
後の記録:「前のメールの件名を写して、日付を直し忘れた。次からは、件名の日付と、本文の日付を見比べてから送る」と書きます(説明用の例です)。
今日やることは一つです。これから送るメールを一通決め、用件・何についてか・日付や期限・社名と名前の4つを書き出して、件名を一つ作ってください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから送るメールの下書き。自分の受信箱(届いたメールの件名が、どう並んで見えるかを見るため)。先輩が取引先へ送ったメール(【 】や社名の入れ方を見るため)。
記入例を見る(説明用)
メールの用件(相手にしてほしいこと)=見積書を送る。数量と納期に変更がないかを、返信してほしい/何についてか=[商品名]の見積書。先日の打ち合わせで頼まれたもの/日付や期限=返信の期限は◯月◯日(◯)。社内の手配があるため/社名と名前を入れるかどうか=入れる。佐藤様とのメールは今回が3回目で、まだ名前で見分けてもらえるか分からない。先輩のメールも、件名の終わりに(社名 名字)を入れていた/できた件名と、件名だけを読んで確かめた結果=「[商品名]お見積書の送付(◯月◯日までにご返信のお願い)[自社名][名字]」。最初は「お見積書の件」と書いていた。件名だけ読むと、送ったのか、質問なのかが分からなかったので、「送付」と期限を足した。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
件名に、用件と、何についてかが入っていて(要るときは日付や期限、社名と名前も)、件名だけを読んで、開く前に中身の見当がつく。
うまく進まなかったときは?
件名が書けなければ、先に本文を書き、結びの前の「してほしいこと」の一文を短くして件名にする。長くなるなら、あいさつの言葉と、言わなくても分かる言葉を削る。【 】や社名を入れるかで迷うなら、先輩のメールの形に合わせる。