NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 104 · 営業の実践ノート

お礼状の書き方:営業が取引先へ送る手紙・はがきの並び、文例、封筒の選び方

広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。

お礼状は、お礼を述べるための手紙やはがきです。並びは「頭語→時候の挨拶→お礼→具体的な一言→今後のこと→結語→日付・署名・宛名」が基本の形です。メールで済ませるか、手紙も出すかは、会社の習慣を先に確かめます。この記事では、営業が取引先へ送るお礼状にしぼって、並び、場面ごとの文例、封筒とはがきの選び方、出す時期の考え方を、説明用の例と一緒に並べます。

今日できるようになること

お礼を伝えたい一件を選び、何についてのお礼か・印象に残ったこと・この後にやることを一文ずつ書いて、お礼状の下書きにする。

シートへ進む ↓
この記事の目次 読みたいところへ ↓

こんなときに 訪問や契約、紹介、贈り物、会食のあとに、取引先へ手紙かはがきでお礼を伝えたいとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    会社にお礼状の習慣と見本があるかを、上司に確かめる

  2. 2

    何についてのお礼か、印象に残ったこと、この後にやることを書き出す

  3. 3

    頭語からあて名までの並びに当てはめて、下書きを作る

  4. 4

    相手の名前と会社名を見直し、封筒かはがきを選んで出す

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

お礼状とは:メールとの使い分けは、会社の習慣が先

初めての訪問で、長い時間をもらった。大きな契約が決まった。大事なお客様を紹介してもらった。メールでお礼は送ったが、手紙でも伝えたほうがよいのか。出すなら、何をどう書くのか。お礼状は書く機会が少ないので、いざというときに手が止まります。

「礼状」は、デジタル大辞泉で「礼を述べた書状。」、精選版 日本国語大辞典で「謝礼の手紙。」と説明されています(コトバンク「礼状」)。この記事では、営業が取引先へ、手紙やはがきで送るお礼状を扱います。

最初に確かめるのは、会社の習慣です。お礼状を出すかどうか、誰の名前で出すか、決まった見本があるかは、会社によって違います。自分だけの判断で出すと、ほかの担当者と対応がそろわなかったり、上司が知らないまま相手から返事が届いたりします。上司には、次のように聞きます。

「先日訪問したA社の佐藤様へ、お礼状を出したいと考えています。うちの会社では、お礼状を出す習慣はありますか。見本があれば、見せていただけますか」

聞き方は説明用の例です。習慣が無い会社でも、出してはいけないとは限りません。下書きを見せて、「出してよいか」を聞きます。

メールと手紙は、役目が違います。次の表は、考え方の一例です。

比べる点メール手紙・はがき(お礼状)
届く早さその日のうちに届く届くまでに日数がかかる
向いている中身お礼に加えて、確認事項、宿題、次の予定お礼の気持ちそのもの
相手の手間すぐ読めて、すぐ返信できる返信を求めない形にできる
使う場面(一例)ふだんの商談のあと節目のお礼。会社の習慣で出しているとき。あらたまって伝えたいとき

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

宿題や期限のように、相手が後で見返す内容は、メールで先に送ります。お礼状に書くと、相手は手紙を探さないと確かめられなくなるからです。お礼メールの書き方は、営業のお礼メールにまとめています。お礼状は、メールの代わりではなく、メールとは別に、気持ちを形にして届けるものと考えると、中身を分けやすくなります。

並び:頭語から宛名まで

お礼状は、次の並びで書く形が多く使われます。下の実践シートは、3〜5番を書くためのものです。

  1. 頭語。「拝啓」など、手紙の最初に書く言葉です。これから手紙を始めます、という合図になります。
  2. 時候の挨拶。季節の言葉と、相手の様子を喜ぶ一文です。
  3. お礼。「さて」で話を変え、何についてのお礼かを書きます。日付と出来事を入れると、相手はどの件かをすぐ思い出せます。
  4. 具体的な一言。その場で聞いた話、してもらったことを、一つ書きます。ここが、その相手だけに向けた部分になります。
  5. 今後のこと。この後に自分がやること、これからのお付き合いのお願いを書きます。
  6. 結びと結語。相手の体や会社の発展を気づかう一文を添え、「敬具」などで終えます。
  7. 日付・署名・宛名。出す日、自分の会社名と名前、相手の会社名と名前を書きます。

なぜ、この並びなのか。1・2・6は、どの手紙にも共通する決まった部分です。3〜5が、その一通だけの中身です。決まった部分があることで、相手は「ここからが本題だ」と分かり、読み手の負担が減ります。逆に、3〜5が定型文だけだと、誰に出しても同じ手紙になります。

細かい決まりは、それぞれの記事に分けています。頭語と結語の組み合わせ、書く位置は拝啓と敬具の使い方、季節の言葉は時候の挨拶 一覧、結びで体を気づかう言葉は「ご自愛ください」の意味と使い方を見てください。

日付・署名・宛名の位置は、縦書きと横書きで変わります。縦書きの手紙では本文の後に、横書きの社用の文書では本文の前に置く形が多く使われます。会社に見本があれば、見本の形に合わせます。

文例:惜しい例と、良い例

初めての訪問のあとに出すお礼状を、二つ並べます。どちらも説明用の例です。

惜しい例

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて、先日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

今後とも、何とぞよろしくお願い申し上げます。

敬具

形は整っています。惜しいのは、どの訪問のお礼なのか、何がありがたかったのかが、書かれていない点です。相手の名前を変えれば、誰にでも出せる文になっています。受け取った人は、礼儀として出された手紙だと感じます。

良い例

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて、◯月◯日は、お忙しい中お時間をいただき、誠にありがとうございました。作業の現場までご案内いただき、心より御礼申し上げます。

ご案内の途中で伺った「朝の作業の前に、点検の時間を取っている」というお話が、強く印象に残っております。お使いいただく場面を、目で見て知ることができました。

ご質問いただいた納期の件は、先日メールでお送りしたとおりです。来月、あらためてご提案に伺います。

朝晩の冷え込みが強くなってまいりました。どうぞご自愛ください。

敬具

◯年◯月◯日

[自社名] [部署名] [氏名]

[相手の会社名] [部署名] [相手の名前]様

足したのは、3つです。日付と、してもらったこと(現場の案内)。相手の言葉(点検の時間の話)。この後にやること(来月の提案)。相手は、自分の話を聞いていた人からの手紙だと分かります。

相手の言葉を書くときは、商談メモを見て、言われたとおりに書きます。記憶で言い換えると、相手が言っていないことを書いてしまうことがあります。メモの取り方は、商談メモ添削にまとめています。

はがきの例

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

先日は、お忙しい中お時間をいただき、誠にありがとうございました。現場をご案内いただいたおかげで、お使いいただく場面がよく分かりました。

来月、あらためてご提案に伺います。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

敬具

はがきは書ける量が限られるので、お礼、具体的な一言、今後のことを、一文ずつにしぼります(説明用の例です)。

場面で変わる一言:訪問・契約・紹介・贈り物・会食

並びは同じで、変わるのは「お礼」と「具体的な一言」と「今後のこと」です。次の表は一例です。

場面お礼の一文(説明用の例)具体的な一言・今後のこと気をつけること
訪問のあとお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございましたその場で聞いた話を一つ。次に伺う時期宿題と期限は、メールで先に送る
契約のあとこのたびはご契約を賜り、誠にありがとうございます決めていただいた理由として伺ったこと。納品や開始までの進め方金額や条件は書かない。契約書と食い違う表現を避ける
紹介を受けたあと◯◯様をご紹介いただき、誠にありがとうございました紹介先と会った日、その後どうなったか紹介先の事情を、細かく書きすぎない
贈り物を受け取ったあと結構なお品をお送りいただき、誠にありがとうございます部署の皆でいただいた、など受け取った様子先に、会社の決まりと上司への報告を済ませる
会食のあと先日は、お心のこもったおもてなしをいただき、ありがとうございました席で伺った話を一つ。次にこちらからお伝えすること費用を相手が持った場合は、上司に報告してから書く

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

契約のあと。うれしさから、「ご満足いただけることをお約束します」のような一文を書きたくなります。手紙は残るものなので、約束できないことは書きません。書くのは、納品日や担当者など、すでに決まっている進め方です。

紹介を受けたあと。紹介した人は、「その後どうなったか」を気にしています。お礼と一緒に、会った日と今の段階を一文で伝えます。結果がまだ出ていなくても、「◯月◯日にお会いし、来月ご提案に伺うことになりました」と途中の様子を書きます(説明用の例です)。

贈り物を受け取ったあと。会社によっては、取引先からの贈り物を受け取れない決まりがあります。お礼状を書く前に、決まりを確かめ、上司に報告します。お歳暮を例にした確かめ方と、メールでのお礼は、お歳暮のお礼メールにまとめています。

封筒かはがきか、手書きか印刷か、いつ出すか

封筒(封書)か、はがきか

「封書」は、デジタル大辞泉で「封をした手紙。封じた書状。」と説明されています(コトバンク「封書」)。はがきとのいちばんの違いは、中身が、届くまでにほかの人の目に触れるかどうかです。

比べる点封書(便せんと封筒)はがき
中身相手が開けるまで見えない配達や社内で仕分けをする人にも見える
書ける量便せん1〜2枚短い文
向いている場面(一例)契約や紹介のお礼。あらたまった相手。相手の言葉を引いて書くとき訪問のあとの短いお礼。会社の習慣ではがきを使っているとき
書かないほうがよいこと金額や条件の細かい数字は、封書でも契約書や見積書にまかせる契約の中身、紹介先の名前、相手の会社の事情

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

迷ったら、ほかの人に読まれて、相手が困ることが書いてあるかどうかで決めます。少しでもあれば封書にします。封筒の大きさ、便せんの折り方、宛名の書き方は、封筒の宛名の書き方にまとめています。

送り方にも決まりがあります。総務省の信書のガイドラインは、信書を「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」とし、信書に該当する文書の例の最初に「書状」を挙げています。お礼の手紙を、品物やカタログの荷物に入れて送りたいときは、送り方によって扱いが変わります。自分で決めずに、総務の人か上司に確かめます。信書の送り方は、封筒の宛名の記事でも触れています。

手書きか、印刷か

公的な決まりは見当たりません。会社の見本が印刷なら、印刷で出します。手書きのよさは、その相手のために時間を使ったことが伝わる点です。印刷のよさは、読みやすく、間違いを直しやすい点です。

印刷の本文に、名前だけ手書きで署名する形や、最後に一行だけ手書きで添える形もあります。字に自信がなくても、ゆっくり、同じ大きさで書けば、読む人には丁寧さが伝わります。書き間違えたら、修正液で直さずに書き直す人が多いです。下書きを先に作ってから清書すると、書き直しが減ります。

いつ出すか

何日以内に出す、という公的な決まりは見当たりません。考え方は一つです。相手が、その出来事を覚えているうちに届くほうが、手紙の中身が伝わりやすいということです。日がたつほど、「あの日の、あの話」が相手の中で薄れていきます。

手紙は、書いてから届くまでに日数がかかります。お礼そのものは、当日か翌日に、メールや電話で先に伝えます。そのうえで、お礼状は書けた時点で早めに出します。上司の確認が要る会社では、確認の時間も見て、訪問の日のうちに下書きを作ります。

迷いやすい判断と、出した後で間違いに気づいたとき

判断1:メールでお礼を送った。手紙も出すと、しつこい?

基準は、中身が同じかどうかです。メールと同じ文をそのまま手紙にすると、相手は同じものを二度読むことになります。メールには確認事項と次の予定を、手紙には印象に残ったことを、と分けてあれば、重なりません。手紙に「先日はメールにて失礼いたしました」と一文添える形もあります(説明用の例です)。

判断2:縦書きと横書き、どちらにする?

公的な決まりは見当たりません。あらたまったお礼状は縦書き、社用の文書の形にそろえるなら横書き、という使い分けが多く見られます。基準は、会社の見本です。見本が無ければ、上司に「縦書きの便せんで出してよいですか」と、自分の案を添えて聞きます(説明用の例です)。

判断3:自分の名前で出す?上司の名前で出す?

基準は、お礼を言う立場にいるのは誰かです。自分が訪問して時間をもらったなら、自分の名前で出します。契約や紹介のように、会社としてお礼を言う場面では、上司の名前や、上司との連名で出す会社もあります。自分で決めずに、「契約のお礼状は、どなたの名前で出しますか」と上司に聞きます(説明用の例です)。

判断4:時候の挨拶は、省いてよい?

はがきや、急いで出すお礼では、頭語のすぐ後にお礼を書く形もあります。省いてよい場面と、「前略」を使ってよい場面は、拝啓と敬具の使い方の「迷いやすい判断」にまとめています。季節の言葉に迷うなら、季節を問わない「時下」を使う方法があります。

失敗1:相手の名前や会社名の字を、間違えて出した

その場では:名前の間違いは、お礼の手紙でいちばん相手の目に留まります。気づいたら、上司に伝えます。そのうえで、電話か、次に会ったときに、「先日お送りしたお礼状で、お名前の字を誤って書いておりました。大変失礼いたしました」と、言い訳を足さずにおわびします(説明用の例です)。書き直した手紙を出すかどうかは、上司と決めます。

後の記録:「記憶で書いた。次からは、名刺を横に置いて、宛名と本文の名前を一字ずつ見比べる」と書きます。

失敗2:頭語と結語が合っていなかった・結語を書き忘れた

その場では:お礼の気持ちは伝わっています。出し直すかどうかは、相手との関係で変わるので、上司に聞きます。立て直し方は、拝啓と敬具の使い方の「間違えたあとの立て直し」に書いてあります。

後の記録:清書の前に、最初の言葉と最後の言葉だけを見る、という確認を手順に足します。

失敗3:出すのが遅くなった

その場では:遅れたから出さない、とするより、一言おわびを添えて出すほうが、相手には伝わります。「お礼が遅くなりましたこと、おわび申し上げます」と、お礼の前に一文入れます(説明用の例です)。遅れた理由は書きません。相手にとっては、言い訳に聞こえるからです。

後の記録:「訪問の日に下書きを作らなかった。次からは、帰りの移動中に、お礼・具体的な一言・今後のことを一文ずつメモする」と書きます。

今日やることは一つです。お礼を伝えたい一件を選び、何についてのお礼か、印象に残ったこと、この後にやることを、一文ずつ書いてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
相手の名刺(会社名・部署・名前の正しい字を見るため)。その日の商談メモ。会社のお礼状の見本(あれば)。便せんと封筒、またははがき。

記入例を見る(説明用)

送る相手と、何についてのお礼か=A社の佐藤様。◯月◯日の訪問で、時間をいただき、現場を案内していただいたこと/会社の習慣=上司に聞いた。初めて訪問した相手には、担当者の名前で封書を出している。見本が共有フォルダにある。出す前に上司が読む/具体的な一言=案内の途中で伺った「朝の作業の前に、点検の時間を取っている」という話が、印象に残った/今後のこと=ご質問いただいた納期の件は、メールで先に回答済み。来月、あらためて提案書を持って伺う/出す前に確かめたこと=相手の名前の字を名刺で確かめた。「拝啓」と「敬具」の組み合わせを確かめた。金額は書いていない。下書きを上司に見せる(今日中)。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

会社の習慣を確かめたうえで、何についてのお礼か、具体的な一言、今後のことが入った下書きがあり、相手の名前と会社名を名刺で見直してある。

うまく進まなかったときは?

具体的な一言が書けなければ、商談メモから相手の言葉を一つ探す。メモに無ければ、同行した先輩に「印象に残った話はありましたか」と聞く。手紙にするか迷うなら、上司に「◯◯様へ、お礼状を出してもよいですか。下書きはこれです」と、下書きを見せて聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

拝啓と敬具の組み合わせを確かめる封筒の宛名を書くお礼メールを先に送る