NOTE 186 · 営業の実践ノート
志望動機の書き方(営業):なぜその会社か→なぜ営業か→何ができるかの順で組み立てる
公開:2026年10月4日
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営業職へ応募するときの志望動機は、「なぜその会社か」「なぜ営業か」「何ができるか」の3つを、この順で書くと組み立てやすくなります。材料は、応募先の求人票や商品と、自分がやってきた仕事の事実です。この記事では、ハローワークの応募書類のパンフレットに書かれていることをもとに、志望動機だけにしぼって、組み立ての手順と例をまとめます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 営業職に応募する書類を書いていて、志望動機の欄で手が止まっているとき。
- 1
応募先の求人票・商品・ホームページを見て、事実を3つ書き出す
- 2
「なぜその会社か」を、書き出した事実から一文で書く
- 3
「なぜ営業か」を、自分の経験から一文で書く
- 4
「何ができるか」を、仕事の事実とつなげて書き、声に出して読む
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
志望動機とは:辞書と、ハローワークの資料での説明
志望は、辞書では「自分はこうなりたい、こうしたいと望むこと。また、その内容。」(デジタル大辞泉「志望」)と説明されています。動機は、「人が意志を決めたり、行動を起こしたりする直接の原因。」(デジタル大辞泉「動機」)です。合わせると、志望動機は「こうしたい、と望むようになった原因」になります。
応募の書類では、もう少し意味がしぼられます。ハローワーク「応募書類の作り方」パンフレットには、次のように書かれています(9ページ。2026年10月4日に確認)。
「志望の動機」については、なぜその会社に応募したいと考えたかという理由を記載します。
「営業の仕事がしたい理由」ではなく、「その会社に応募したい理由」です。ここが、志望動機を書くときの出発点になります。
似た言葉との違いを、短く整理します。転職理由は、今の会社を離れる理由です。自己PRは、自分の経験や力が仕事でどう役に立つかです。志望動機は、その会社を選んだ理由です。転職理由の伝え方は転職理由の伝え方、自己PRの作り方は営業の自己PRにまとめています。この記事は、志望動機だけを扱います。
同じパンフレットは、履歴書の「志望の動機、アピールポイント」の欄に盛り込む点として、次の3つを挙げています(9ページ)。
- 「①応募先企業を選択した理由(なぜその会社を選んだか。)」
- 「②自分の経験・能力のアピール(自分のどんなところを仕事に活かせるか。)」
- 「③意欲(どんな仕事をしてその会社に役立ちたいか。)」
会社を選んだ理由だけで終わらせず、自分に何ができるか、どんな仕事で役に立ちたいかまで書く、という考え方です。
組み立ての順番:その会社→営業→できること
この記事では、パンフレットの3つの点をもとに、営業職に応募する人向けに、次の順で組み立てます。
| 順番 | 答える問い | パンフレットの点との対応 |
|---|---|---|
| 1. なぜその会社か | ほかの会社ではなく、この会社に応募する理由は何か | ①応募先企業を選択した理由 |
| 2. なぜ営業か | その会社のいろいろな仕事の中で、営業を選ぶ理由は何か | この記事で足した部品。職種を変える人には、とくに要る |
| 3. 何ができるか | 自分のどんな経験を使い、どんな仕事で役に立ちたいか | ②自分の経験・能力のアピール、③意欲 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「なぜ営業か」は、パンフレットの3つの点には、独立した項目としては出てきません。この記事で足した部品です。足した理由は、営業という仕事の幅にあります。同じ会社でも、新しいお客様を探す営業と、取引のあるお客様を回る営業では、毎日の動きが違います(営業の種類)。どの営業の仕事を、なぜ選ぶのかが書かれていると、仕事の中身を分かったうえで応募していることが伝わります。
この順にする理由は、読む人の疑問の順だからです。書類を読む人は、まず「なぜ、うちなのか」を知りたいと考えられます。次に「なぜ、この職種なのか」。最後に「入ったら、何をしてくれるのか」。先に自分の話から始めると、どの会社にも出せる文に見えやすくなります。
手順は、次の4つです。
- 応募先について、事実を3つ書き出す。求人票、商品、ホームページから、確かめられることだけを書きます。感想ではなく、事実を先に集めます。
- 「なぜその会社か」を一文で書く。3つの事実のうち、自分がひかれた点を一つ選びます。
- 「なぜ営業か」を一文で書く。自分の経験の中から、営業の仕事につながる場面を一つ選びます。
- 「何ができるか」を書き、声に出して読む。自分がやってきたことを事実で書き、入ってからやりたい仕事につなげます。
声に出すのは、面接でも同じことを聞かれるからです。パンフレットは、志望の動機とアピールポイントについて、面接で採用担当者からよく質問される項目だとしたうえで、「面接の際にどう説明するかということをイメージして記載することが重要です。」と書いています(9ページ)。書いた文を、そのまま口で説明できるかを確かめます。
「なぜその会社か」の材料を集める
3つの部品のうち、いちばん手が止まりやすいのが「なぜその会社か」です。パンフレットは、志望の動機を書くにあたって、まず「求人票の内容、店舗、製品・商品、広告、ホ-ムページなどを確認することによって、応募先企業のことをよく知ることが大切です。」と書いています(9ページ)。材料は、応募先を調べることで集まります。
| 見る所 | 拾うこと | 志望動機での使い方 |
|---|---|---|
| 求人票・募集のページ | 仕事の内容、売る相手、新規か既存か、担当の持ち方 | 「〇〇という進め方にひかれた」と、仕事の進め方を理由にできる |
| 商品・サービス | 何を売っているか。だれの、どんな困り事に使われるか | 「〇〇の困り事に関わりたい」と、売る物と相手を理由にできる |
| ホームページ | 会社が力を入れていること、沿革、お知らせ | 事実を一つ引いて、「〇〇に取り組んでいる点」と書ける |
| 店舗・広告(ある場合) | 実際に見たこと。売り場や案内のしかた | 自分で見た事実として書ける |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
営業職の場合、見る点は「何を・だれに・どう売っているか」の3つです。この3つが分かると、ほかの会社との違いが言えるようになります。同じ商品を扱う会社がほかにもあるなら、売る相手や、売ったあとの関わり方に違いが無いかを見ます。
なぜ事実から始めるのか。「成長している会社だから」「理念に共感したから」だけでは、どの会社にも言えてしまうからです。事実を一つ入れると、その会社のことを調べたうえで書いている、と伝わります。
集めた事実は、正しく写します。会社名、商品名、数字を間違えると、調べたことがかえって逆の印象になります。確かめられなかったことは、書きません。求人票に書かれていない仕事の中身は、面接で聞けます(面接の逆質問)。
「何ができるか」の材料は、自分の側にあります。パンフレットは、「応募先企業の業務において、自分のどんな経験・能力を活かせるかという観点から考えてみましょう。」と書いています(9ページ)。応募先の仕事の内容と、自分がやってきたことを横に並べ、重なる所を探します。自分の仕事を数字と事実で書き出す方法は、営業の職務経歴書にまとめています。
惜しい例と良い例
ここからの例は、すべて説明用の例です。会社や数字は架空のものです。そのまま写さず、自分の事実に置きかえてください。
1. なぜその会社か
惜しい例:「業界の中で成長を続けている貴社の将来性にひかれました」
良い例:「求人票で、納めたあとの点検まで、同じ営業の担当者が続けて受け持つと知りました。売って終わりにしない進め方にひかれ、応募しました」
惜しい例は、会社名を入れ替えても通じます。良い例は、求人票に書いてある事実を一つ引き、そこにひかれた、と書いています。
2. なぜ営業か
惜しい例:「人と話すことが好きなので、営業を志望します」
良い例:「今の仕事で、お客様の困り事を聞き、次の訪問までに調べて答える、という流れを続けてきました。この流れを、仕事の中心にしたいと考えています」
「話すことが好き」は、気持ちです。良い例は、やってきたことを書き、それを続けたい、とつなげています。営業の仕事の中身は、話すことだけではないので、聞く・調べる・答えるのように、動作で書くと伝わります。
3. 何ができるか
惜しい例:「貴社で多くのことを学び、成長していきたいです」
良い例:「既存のお客様を月に1回訪問し、訪問の記録を毎回残してきました。入社後は、担当するお客様の点検と相談の窓口として、この習慣を生かしたいと考えています」
惜しい例について、パンフレットには、次の注意があります(9ページ)。
「貴社で学びたい。」、「充実感を得たい。」などの個人的で一方的な希望や事情だけを記載しても、具体的で説得力のあるメッセージがなければ、採用担当者に対するアピールにはなりにくいことに注意します。
学びたい、という気持ちを書いてはいけない、という意味ではありません。それだけでは足りない、という注意です。自分が持ち込めるものを先に書き、そのうえで学びたいことを足します。
3つをつなげた例
求人票で、納めたあとの点検まで、同じ営業の担当者が続けて受け持つと知り、売って終わりにしない進め方にひかれて応募しました。
私は今の仕事で、お客様の困り事を聞き、次の訪問までに調べて答える流れを続けてきました。この流れを、仕事の中心にしたいと考えています。
既存のお客様を月に1回訪問し、訪問の記録を毎回残してきた習慣を生かし、担当するお客様の点検と相談の窓口を務めたいと考えています。
これも説明用の例です。1つ目の文が会社、2つ目が営業、3つ目ができること、の順です。書類の欄が小さいときは、それぞれを一文にちぢめます。
場面で変わるところ
| 場面 | 厚く書く部品 | 書き方(一例) |
|---|---|---|
| 同じ種類の営業へ移る | なぜその会社か | 今の会社と何が違うのかを、商品・売る相手・進め方の事実で書く |
| 別の種類の営業へ移る(例:新規中心から既存中心へ) | なぜその営業か | 今の営業で続けてきたことのうち、次の営業でも使うものを書く |
| 別の職種から営業へ移る | なぜ営業か・何ができるか | 営業の仕事の中身を調べたうえで、今の仕事と重なる動作を書く |
| 営業の経験が浅い | 何ができるか | 大きな実績の代わりに、毎回続けていることを事実で書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
別の職種から営業へ移るとき
ハローワーク「職務経歴書の作り方」パンフレットには、次のように書かれています(10ページ。2026年10月4日に確認)。
異なる職種へ転職する場合、一般的には「未経験者」として扱われることになります。
そのうえで、説明することとして、「①なぜ異なる職種(業種)へ転職しようとするのか、②応募先の職種・業種の仕事の内容を理解した上で応募していること、③応募先の職種・業種の仕事をこなせる能力・適性があることを説明しましょう。」と続きます。職務経歴書についての説明ですが、志望動機を組み立てるときにも、同じ3つが使えます。なぜ営業へ移るのか。営業の仕事の中身を分かっているか。営業の仕事に使える経験があるか。
惜しい例:「事務の仕事にやりがいを感じられなくなり、営業に挑戦したいと思いました」
良い例:「事務の仕事で、営業の担当者から頼まれる見積書を作ってきました。お客様の条件を直接聞いて、見積もりの中身から関わりたいと考え、営業を志望します」
これは説明用の例です。惜しい例は、今の仕事を離れる理由になっています。良い例は、今の仕事と営業の仕事がつながる所を書いています。営業へ移るときの準備は、営業の転職の進め方の「道4:別の職種から、営業へ」にまとめています。
書類と面接
書類には、3つの部品を短く書きます。面接では、同じ中身を、自分の言葉で話します。書類と違うことを話すと、どちらが本当かが分からなくなります。面接の前に、出した書類の控えを読み返します。
履歴書と職務経歴書の両方に欄があるとき
同じ文を二度書く必要はありません。履歴書の欄には短く書き、職務経歴書には、仕事の事実を足して書く、という分け方ができます。職務経歴書に志望動機を書くかどうかは、営業の職務経歴書の「判断3」で扱っています。
転職エージェントを通して応募するとき
担当者に、応募先の仕事の中身を先に聞きます。「この求人の営業は、新しいお客様を探す仕事と、既存のお客様を回る仕事の、どちらが中心でしょうか」(説明用の例です)。求人票に書かれていないことが分かると、「なぜその会社か」の材料が増えます。仕組みは転職エージェントとはにまとめています。
迷いやすい判断と、出したあとに誤りに気づいたとき
判断1:同じ志望動機を、どの会社にも使ってよい?
基準は、「なぜその会社か」は、会社ごとに書き直すことです。「なぜ営業か」と「何ができるか」は、自分の側の話なので、土台は同じで構いません。パンフレットも、応募先企業ごとに、3つの点の具体的な内容を検討する、と書いています。書き終えたら、会社名を別の会社に入れ替えて読んでみます。それでも通じるなら、その会社の事実がまだ入っていません。
判断2:本当の理由が、給料や休みのときは?
基準は、うそを書かないことと、書く場所を分けることです。給料や休みは、今の会社を離れる理由(転職理由)であることが多く、志望動機とは別の問いです。志望動機には、その会社の仕事について、自分が本当にひかれた点を書きます。ひかれた点が一つも見つからないなら、応募先をもう一度調べるか、応募するかどうかを考え直す合図です。言わないことと、うそを言うことの違いは、転職理由の伝え方で整理しています。
判断3:どのくらいの長さで書く?
長さについて、公的な決まりは見当たりません。基準は、応募先の指定と、欄の大きさが先です。指定があれば、それに合わせます。指定が無ければ、欄に無理なく収まる字の大きさで、3つの部品が一つずつ入る長さにします。入りきらないときは、「何ができるか」の事実を一つにしぼります。
判断4:応募先のことを調べても、違いが見つからないときは?
基準は、見つからないことを、無理に作らないことです。求人票とホームページで違いが分からなければ、「何を・だれに・どう売っているか」のうち、分かったことをそのまま書きます。「法人向けに、既存のお客様を回る営業である点」のように、仕事の中身を理由にできます。調べても分からなかったことは、面接で聞く質問として残します。
出したあとに、誤りに気づいたとき
その場では:会社名や商品名の誤りに気づいたら、早めに連絡します。転職エージェントを通しているなら担当者に、直接応募なら採用の担当者に伝えます。「〇月〇日にお送りした履歴書の志望動機の欄で、御社の商品名を誤って記しておりました。訂正したものをお送りしてもよろしいでしょうか」(説明用の例です)。何を間違えたかを一文で書き、言い訳を足しません。
ほかの会社あての文をそのまま出してしまった場合も、同じように連絡します。面接に進んだあとで気づいたなら、面接の初めに「書類に誤りがありました」と伝え、正しい内容を口で説明します。
後の記録:何を間違えたかと、原因を書きます。「前の会社あての文を写して、会社名を直し忘れた」なら、「出す前に、会社名と商品名を、求人票と見比べる」と足します。
今日やることは一つです。応募先一社について、「なぜその会社か」「なぜ営業か」「何ができるか」を、一文ずつ書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
応募先の求人票(または募集のページ)、応募先のホームページや商品の資料、自分の仕事を書き出したメモ。
記入例を見る(説明用)
応募先と、応募する仕事=A社。法人向けの営業。既存のお客様を回る仕事が中心(求人票より)/応募先について確かめた事実=①事務所向けの備品を、中小の会社に販売している(ホームページ)。②納めたあとの点検を、営業の担当が続けて行う(求人票)。③担当は地域ごとに分かれている(求人票)/なぜその会社か=納めたあとも同じ担当者が点検まで続ける、という仕事の進め方にひかれた/なぜ営業か=今の仕事で、お客様の困り事を聞き、次の訪問までに調べて答える流れを続けてきた。この流れを、仕事の中心にしたい/何ができるか=既存のお客様を月に1回訪問し、訪問の記録を毎回残してきた。記録をもとに、次の訪問で確かめることを決めてきた。入社後は、担当するお客様の点検と相談の窓口を務めたい。(会社・数字はすべて説明用の例です)
CHECK
ここまでできたら、次へ。
3つの文を、声に出して読めましたか。会社名を別の会社に入れ替えても通じる文になっていないかを、もう一度見てください。自分の強みを伝える文は、自己PRの記事で作れます。
うまく進まなかったときは?
「なぜその会社か」が書けないときは、求人票をもう一度読み、ほかの会社の求人票と違う所に線を引いてください。「何ができるか」が書けないときは、今の仕事で毎週やっていることを3つ書き、そのうち応募先の仕事でも使うものを一つ選びます。