NOTE 176 · 営業の実践ノート
職務経歴書の書き方(営業):書く6つの項目と、実績を数字で書くとき・数字が出せないとき
公開:2026年10月4日
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営業の人の職務経歴書は、「会社と事業の概要・担当した相手と商品・営業のやり方・数字で言える実績・工夫したことと分かったこと・できること」の6つを、読む人が仕事の場面を思い浮かべられるように書きます。実績は、目標・件数・期間をそろえて書き、前の会社の秘密や取引先の名前は書きません。長さや書式は、応募先の指定が先です。
この記事は、運営者の退職や転職の体験をもとにしたものではありません。厚生労働省・ハローワークの公式ページと辞書を2026年10月4日に開いて読み、書いてあることを整理したものです。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 転職の応募で職務経歴書を求められ、営業の仕事を、どう書けば伝わるのかが分からないとき。
- 1
応募先の指定(書式・長さ・出し方)を確かめる
- 2
会社ごとに、担当した相手と商品・営業のやり方・期間を書き出す
- 3
実績を、目標・件数・期間をそろえて書く。秘密と取引先の名前は外す
- 4
声に出して読み、説明できない言葉と数字を直す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
職務経歴書とは:履歴書との違い
転職の応募で、「履歴書と職務経歴書を出してください」と言われる。履歴書は欄が決まっているので埋められるが、職務経歴書は、白い紙に何を書けばよいのかが分からない。営業の仕事は形に残りにくいので、なおさら手が止まります。
まず、言葉を確かめます。辞書では、「履歴書」は「自分の履歴を書いた書類。」(精選版 日本国語大辞典「履歴書」)、「職務」は「その人が担当している仕事。役目。つとめ。」(デジタル大辞泉「職務」)、「経歴」は「今まで経験してきた仕事・身分・地位・学業などの事柄。履歴。」(デジタル大辞泉「経歴」)と説明されています。職務経歴書は、言葉のとおり、担当してきた仕事の経歴を書く書類です。
公的な案内では、ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」に、「職務経歴書は、履歴書では書ききれない具体的なキャリアやあなたのやる気をアピールするためのものです。」と書かれています(2026年10月4日に確認)。同じページから開けるハローワーク「職務経歴書の作り方」パンフレットには、こうあります(1ページ)。
「職務経歴書」とは、A4縦サイズ1~2枚程度に、これまで応募者自身が経験してきた職務の内容(職務経歴)を自由様式で詳しく記載する書類です。
同じパンフレットは、「職務経歴書には、履歴書に書ききれなかった内容などについて補足し、より詳しく記載することが必要です。」とも書いています(2ページ)。二つの書類の違いを、表にします。
| 比べる点 | 履歴書 | 職務経歴書 |
|---|---|---|
| 何を書くか | 氏名・連絡先・学歴・職歴・免許や資格など | 担当してきた仕事の中身と、実績 |
| 形 | 欄が決まっている(厚生労働省の様式例がある) | 自由な様式 |
| 読む人が知ること | いつ、どこにいたか | そこで、何を、どのように担当したか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
履歴書の職歴の欄には、会社の名前と、入った年・辞めた年を書きます。営業の人がどんな相手に、何を、どう売ってきたのかは、そこからは分かりません。それを書くのが、職務経歴書です。
営業の人が書く6つの項目
パンフレットは、「職務経歴書の作り方は基本的には自由ですが、採用担当者にとって読みやすい文章表現とし、かつ自分の実務能力を的確にアピールできるようにする必要があります。」と書いています(3ページ)。自由だからこそ、項目を先に決めます。営業の人は、在籍した会社ごとに、次の6つを書きます。
- 会社と事業の概要。何を扱う会社か、おおよその規模、在籍した期間を一〜二行で書きます。読む人は、その会社を知らないかもしれません。概要が無いと、あとの実績の大きさが伝わりません。
- 担当した相手と商品。だれに、何を売ったかです。相手は「従業員100〜500名の製造業の会社の、購買の担当者」のように、業種・規模・立場で書きます(説明用の例です)。取引先の名前は書きません(次の章)。
- 営業のやり方。新しい取引先を探す営業か、決まった取引先を回る営業か。相手は会社か、個人か。訪問・電話・オンラインのどれが中心か。同じ「営業」でも動きが大きく違うので、読む人はここを見て、自社の仕事に近いかを考えます。分け方は、営業の種類にまとめています。
- 数字で言える実績。目標に対する結果、件数、期間を書きます。書き方は、次の章で説明します。
- 工夫したことと、分かったこと。結果を出すために、やり方をどう変えたかを書きます。数字だけでは、たまたまなのか、次の会社でも同じようにできるのかが、読む人に分かりません。
- できること。応募先の仕事で、そのまま使えそうなことを書きます。「法人の担当者への聞き取り」「見積もりの作成」「新人の同行」のように、動きの言葉にします(説明用の例です)。
パンフレットは、振り返る点として、時期、勤務先、会社概要、所属、役職、職務内容などを挙げ、実績は「実績(どんな経過でどんな成果をあげたか。)」と書いています(4ページ)。結果だけでなく、経過も書く、ということです。
書き出すときは、いきなり清書をしません。先に、会社ごとに6つを箇条書きにします。仕事の書き出し方は、営業実績の書き方に、6つの欄の形でまとめています。
実績の書き方:目標・件数・期間をそろえ、秘密は書かない
実績は、3つをそろえて書きます。
- 目標に対する結果。「契約22件」だけでは、多いのか少ないのかが、読む人に分かりません。「目標20件に対し22件」と、目標を並べます(説明用の例です)。
- 件数や金額の、数え方。「新規の契約の件数」「既存の取引先からの注文の金額」のように、何を数えた数字かを書きます。
- 期間。「◯年4月〜◯年3月の1年間」と書きます。期間が無いと、1か月の数字か、3年の数字かが分かりません。
これに、担当の範囲(一人で担当したのか、何人のチームか)を添えます。チームの数字を、一人の数字のように書かないためです。
前の会社の秘密と、取引先の名前を書かない
職務経歴書は、会社の外の人に渡す書類です。取引先の名前、取引の金額、仕入れの値段、お客様の一覧、社内の資料の中身は書きません。書くと、読む人は「この人は、うちの情報も、次の会社に書くかもしれない」と受け取ります。
| 書かないこと | 言い換え方(一例) |
|---|---|
| 取引先の会社の名前 | 業種と規模で書く。「従業員 約300名の食品メーカー」 |
| 一社ごとの取引の金額 | 自分の担当全体の、目標に対する割合で書く。「年間の目標に対し110%」 |
| 仕入れの値段・値引きの条件 | 書かない。言い換えもしない |
| 社内の資料や、お客様の一覧 | 添付しない。自分の言葉で、やったことを書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
表の数字は、説明用の例です。売上の金額そのものを書いてよいかは、会社が外に出している数字かどうかで変わります。迷ったら、金額ではなく、目標に対する割合や件数で書きます。
何が秘密に当たるかは、会社の就業規則や、入社のときに出した誓約書に書かれていることがあります。書く前に読み返します。秘密を守る約束の考え方は、秘密保持契約(NDA)とはにまとめています。実績の材料を集めるために、会社の資料を持ち出したり、私用のあて先へ送ったりもしません。
数字が出せないときの書き方
個人の売上の目標が無い会社もあります。決まった取引先を回る営業や、入社して日が浅い人は、「書ける数字が無い」と感じがちです。そういうときは、次の3つのどれかで書きます。数字を作ることはしません。
| 書くこと | 中身 | 書き方の例(説明用) |
|---|---|---|
| 行動の量 | 訪問・電話・提案の数。自分の手帳で数えられる範囲 | 「既存の取引先30社を、月1回ずつ訪問」 |
| 任された範囲 | 担当の数、地域、任された役目 | 「◯◯地区の取引先を一人で担当。新人1名の同行を3か月受け持った」 |
| 続けた期間 | 同じ仕事を、どのくらい続けたか | 「納品後の問い合わせの窓口を、2年間担当」 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
読む人は、売上の数字が無くても、仕事の大きさと、任されていた度合いを知ることができます。そこに、工夫したことを一つ添えます。「問い合わせの内容を記録し、同じ質問が続いた点を、資料に書き足した」のような形です(説明用の例です)。
受注に至らなかった仕事や、数字にならない仕事の整理は、営業実績の書き方の「数字がない場合」を見てください。
惜しい例と良い例、長さと見た目
次は、実績の欄の、説明用の例です。会社名・数字は架空のものです。
惜しい例:「法人営業を担当。新規開拓に力を入れ、売上に大きく貢献した。主な取引先は、A社、B工業など。」
良い例:「◯年4月〜◯年3月。従業員100〜500名の製造業の会社を中心に、法人向けの新規開拓を担当(一人で担当)。年間の新規の契約は、目標20件に対し22件。訪問の前に、相手の会社が公開している情報を読み、質問を3つ用意してから伺う形に変えた。」
惜しい例は、3つの点で伝わりません。「大きく」は、どのくらいかが分かりません。期間がありません。そして、取引先の名前を書いています。
良い例は、期間、相手、担当の範囲、目標と結果がそろっています。最後の一文で、やり方をどう変えたかが分かります。読む人は、面接で「質問を3つ、というのは、たとえばどんな質問ですか」と聞くことができます。パンフレットも、「面接においては、提出した職務経歴書の記載内容に基づいて質問をされることが多い」と書いています(1ページ)。聞かれて答えられることだけを書きます。
場面で変わるところ
| 場面 | 厚く書く項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ種類の営業へ応募する | 担当した相手と商品、数字で言える実績 | 読む人が、自社の仕事と比べやすい |
| 違う種類の営業へ応募する | 営業のやり方、工夫したこと | 相手や商品が変わっても使える動きを、伝える |
| 営業から、別の職種へ応募する | 工夫したこと、できること | 営業の言葉を、応募先の仕事の言葉に言い換える |
| 営業の経験が浅い | 行動の量、任された範囲、分かったこと | 結果の数字が少なくても、仕事の進め方が伝わる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
パンフレットは、「職務経歴書の内容は、基本的には応募先企業によって異なるものとなります」と書いています(2ページ)。土台を一つ作り、応募先ごとに、厚く書く項目を入れ替えます。
長さと見た目は、応募先の指定が先
書式、枚数、ファイルの形式、出し方に指定があれば、それに合わせます。指定が無いときの形として、パンフレットは、「職務経歴書は、A4縦サイズの白無地の紙1~2枚程度に、パソコンで横書きにより作成することが一般的」と書いています(3ページ)。見出しを付け、一文を短くし、年の書き方(和暦か西暦か)を一枚の中でそろえます。
書いたものは、一人で仕上げなくても構いません。ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」には、ハローワークの「職業相談窓口では、書類の添削アドバイスなども行っています。」とあります。転職エージェントを使うなら、担当者に見てもらえることがあります。何をしてくれるのかは、転職エージェントとはにまとめています。
迷いやすい判断と、出したあとに誤りに気づいたとき
判断1:短い期間で辞めた会社も、書く?
基準は、履歴書の職歴と食い違わないことです。在籍した会社を抜くと、履歴書や、面接で話す内容と合わなくなります。短くても、会社と期間、担当したことを書きます。辞めた理由を聞かれたときの答え方は、転職理由の伝え方にまとめています。
判断2:実績の数字を、正確に覚えていない
基準は、聞かれたときに、どう数えた数字かを説明できるかです。自分の手帳や記憶で確かめられる数字は、書きます。おおよそなら「約」と付けます。確かめられない数字は、書きません。数字を確かめるために、会社の資料を持ち出すことはしません。
判断3:自己PRや志望動機も、職務経歴書に書く?
応募先の指定があれば、それに合わせます。指定が無いときについて、パンフレットは、こう書いています(1ページ)。
記載項目としては、「職務経歴」のほかに、採用担当者に対してアピールできるような応募者自身の「活かせる能力」や「自己PR」、「志望動機」なども盛り込むことができます。
書くなら、職務経歴の実績と、同じ事実を使います。自己PRの作り方は、自己PRの書き方(営業)にまとめています。
判断4:在職中に、会社のパソコンで作ってよい?
基準は、個人の物と、個人の時間で作ることです。会社のパソコンやメールは、仕事のために貸されている物です。応募の書類を作る、送る、という使い方は避けます。連絡に使うメールアドレスも、個人のものにします。
出したあとに、誤りに気づいたとき
その場では:気づいたら、面接の前でも後でも、早めに伝えます。転職エージェントを通して応募したなら担当者へ、自分で応募したなら応募先の採用の担当へ、です。「◯月◯日にお送りした職務経歴書に、誤りがありました。◯年度の新規の契約の件数を『25件』と書きましたが、正しくは『22件』です。申し訳ございません。直したものを、お送りしてよろしいでしょうか」と、どこが、どう違うかを書きます(説明用の例です)。
黙っていると、面接で数字を聞かれたときに、書いた数字と話す数字が合わなくなります。誤りそのものより、説明が食い違うことのほうが、相手を迷わせます。
あとの記録:手元の控えを直し、どの応募先に、どの版を出したかを一覧にします。次に出す前に、数字と期間を、一つずつ声に出して確かめます。面接の準備は、面接の逆質問も見てください。
今日やることは一つです。いちばん長く担当した仕事について、相手と商品・営業のやり方・期間を書き、実績を一つ、目標と並べて書いてください。
一緒に出す履歴書は、履歴書の書き方で、欄ごとの手順をまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
応募先の募集の案内(書式や長さの指定を見るため)。自分の手帳や記憶で書ける範囲の、担当と実績のメモ(会社の資料は持ち出さない)。今の会社の就業規則と、入社のときに出した誓約書があれば、その控え。
記入例を見る(説明用)
会社と事業の概要、在籍した期間=[業種]の会社(従業員 約100名)。◯年4月〜現在/担当した相手と商品、営業のやり方=[相手の業種]の会社の担当者へ、[商品の種類]を提案。決まった取引先を回る営業が中心で、新規の開拓は月に数件/数字で言える実績(目標・結果・期間)=◯年度(◯年4月〜◯年3月)。新規の契約の目標20件に対し、22件。取引先の名前は書かない/数字が出せない仕事(行動の量・任された範囲・続けた期間)=既存の取引先30社を一人で担当。月1回の訪問を2年間続けた。新人1名の同行を3か月受け持った/工夫したことと、応募先で使えること=訪問の前に、質問を3つ用意する形に変えた。相手の困りごとを先に聞く進め方は、応募先の法人向けの営業でも使える。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
6つの項目に書き込みがあり、実績には目標・結果・期間がそろっていて、前の会社の取引先の名前や、外に出していない数字が入っていない。
うまく進まなかったときは?
実績が思い出せなければ、担当した期間と、受け持った取引先の数から書く。数字が無ければ、行動の量・任された範囲・続けた期間のどれかを書く。書いてよい内容か迷ったら、その行を外し、業種と規模の言葉に言い換える。