NOTE 171 · 営業の実践ノート
営業の転職の進め方:辞める前に確かめることと、4つの道ごとの準備
公開:2026年10月4日
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営業の人が転職を考えたら、最初にやることは、求人を探すことではありません。いまの不満が、会社を変えないと直らないことなのかを確かめることです。そのうえで、「続ける」「社内で変わる」「転職する」を並べ、転職するなら、同じ営業で種類を変えるのか、別の職種へ移るのかを決めます。この記事は、転職をすすめるものでも、止めるものでもありません。決めるのは、あなたです。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 営業の仕事を変えたい、会社を変えたいと思い始めたが、何から手を付ければよいか分からないとき。
- 1
いまの不満を書き、会社を変えないと直らないことかを分ける
- 2
続ける・社内で変わる・転職する、を並べて一つ仮に選ぶ
- 3
自分の実績を、数字と事実で書き出す
- 4
求人票を3つ読み、譲れない条件と比べる
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
辞める前に確かめること:その不満は、会社を変えないと直らないか
「転職したい」と思ったときの不満は、一つに見えて、いくつかが重なっていることが多くあります。数字の目標がつらい。断られるのがつらい。上司と合わない。給与が上がらない。休みが取れない。どれが理由かによって、会社を変えると直ることと、変えても付いてくることが分かれます。
なぜ、先に分けるのか。分けないまま転職すると、次の会社でも同じ所でつまずくことがあるからです。たとえば「断られるのがつらい」は、新しい相手を探す営業なら、会社を変えても続きます。変えるのは会社ではなく、営業の種類かもしれません。
| 不満の中身(例) | 今の会社で変えられるかもしれないこと | 会社を変えないと変わりにくいこと |
|---|---|---|
| 数字の目標がつらい | 目標の決め方の相談、担当する相手の見直し | 評価の仕組みそのもの |
| 断られるのがつらい | 断られた後の動き方、担当の分け方(新規と既存) | 新規の開拓が仕事の中心であること |
| 上司や先輩と合わない | 相談の相手を増やす、配属の相談 | 人が少なく、相手を変えられない職場 |
| 給与や休みに不満がある | 手当や休みの決まりを、就業規則で確かめる | 給与の決まりや、休みの日数そのもの |
| 扱う商品に、自信が持てない | 商品の勉強、別の商品の担当への相談 | 会社が扱う商品の範囲 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
この表は、考えるための一例です。どちらに入るかは、会社によって違います。
分けるときに使える記事を挙げます。
- 何がつらいのかを「仕事・職場・暮らし」に分ける:営業を続けるか迷ったら
- 性格ではなく、仕事の中身と自分を比べる:営業に向いてる人・向いてない人
- 評価されない時期を、どう過ごすか:「腐るなよ」に、当時は「いつまで?」と思っていた
- 自分の仕事が、どの種類の営業なのかを確かめる:営業の種類
眠れない、食べられない、朝に体が動かない、という状態が続くときは、書き出すより先に、医療機関や相談窓口に相談してください。相談先は、営業を続けるか迷ったらに載せています。
4つの道と、それぞれで用意すること
不満を分けたら、道を並べます。「転職する・しない」の二つではなく、次の4つです。どれを選んでも構いません。
道1:今の会社で続ける・社内で変わる
変えたい条件が、担当の分け方や、相談の相手、仕事の進め方なら、会社を変えずに変えられるかもしれません。用意することは、変えたい条件を一つと、上司への聞き方です。「辞めたい」から話し始めると、相手は引き止めるか、驚くかになり、条件の話に進みません。「新規と既存の担当の分け方について、相談させてください」のように、条件から話します(説明用の例です)。聞いて変わらなかったときに、ほかの道へ進んでも遅くはありません。
道2:同じ営業で、種類を変える
営業は、相手(会社か個人か)、訪ね方(新しい相手を探すか、決まった相手を回るか)、働く場所(外回りか内勤か)で、仕事の中身が大きく変わります。「営業が合わない」と感じていても、合わないのは種類のほうかもしれません。
| 変える軸 | いまの仕事と、移る先の例 | 仕事の中身を確かめる記事 |
|---|---|---|
| 相手 | 個人向け → 会社向け | 法人営業とは、リテール営業とは |
| 訪ね方 | 新規の開拓 → 決まった取引先の担当 | ルート営業とは、飛び込み営業のやり方 |
| 働く場所 | 外回り → 内勤 | 内勤営業とは、インサイドセールスとは |
| きっかけ | こちらから探す → 問い合わせに応える | 反響営業とは |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
用意することは、今の仕事で、移る先でも使える動きを書き出すことです。たとえば新規の開拓から、決まった取引先の担当へ移るなら、「訪問の後に記録を残す」「次の約束を決めて帰る」は、そのまま使えます。求人票では、新規と既存の割合、数字の目標の持ち方、担当する相手を読みます。書かれていなければ、面接で聞くことの一覧に入れます。
道3:営業から、別の職種へ
営業の経験は、「売った」という結果だけでなく、動きに分けると伝わりやすくなります。相手の話を聞く、困り事を整理する、社内の人と調整する、数字を管理する、記録を残す。移りたい職種で使う動きがどれなのかを、求人票の「仕事の内容」と見比べます。営業の近くにある職種の一つは、営業企画とはで説明しています。
用意することは三つです。なぜその職種なのかを、「営業がいやだから」ではなく、やりたい動きで書くこと。その職種で使える経験を、事実で二つ書くこと。変わる条件(給与、評価の仕組み、働く時間)を、求人票で確かめることです。未経験の職種では、条件が今と変わることがあります。上がるか下がるかは求人ごとに違うので、思い込みで決めず、書面で読みます。
道4:別の職種から、営業へ
営業へ移る人が先に確かめるのは、「どの種類の営業か」です。同じ「営業職」の求人でも、仕事の中身は種類で変わります。営業とはと営業の種類で全体を見てから、営業に向いてる人・向いてない人の「6つの動き」と、今の自分を比べます。
用意することは、今の仕事で、相手のために動いた事実を書くことです。売った経験がなくても、問い合わせに答えた、社内の人に説明して動いてもらった、期限までに納めた、という事実は書けます。求人票では、数字の目標の持ち方、給与の決まり(固定の部分と、成績で変わる部分)、最初の教え方を読みます。
どの道でも、働く条件は書面で確かめます。職業安定法の第5条の3第1項は、職業紹介事業者や、労働者の募集を行う者などが、求職者などに対して「その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と定めています(e-Gov法令検索「職業安定法」)。厚生労働省の資料も、「労働契約締結前に労働条件をよく確認しましょう。」と呼びかけています(厚生労働省「民間人材サービス利用のポイント」PDF・3ページ)。
自分の実績を、数字と事実で書き出す
どの道を選んでも、使うのが実績の書き出しです。社内で相談するときは「何を任せられる人か」の材料になり、転職するときは応募書類と面接の材料になります。書いてみて、「思ったより積み上げていた」と分かれば、続ける理由にもなります。
- 期間を決める。直近の1〜2年にします。古い実績ほど、数字を思い出しにくくなります。
- 目標と実績を、一組で書く。「契約[件数]件」だけでは、多いのか少ないのかが相手に分かりません。「目標[件数]件に対して[件数]件」と書きます。
- 相手と商品を書く。何を、どんな相手に売ったか。会社名は書かず、「[業種]の会社」「個人のお客様」と書きます。
- 数字にならない事実を書く。取引が続いた年数、引き継いだ社数、作った資料、後輩に教えたこと。
- 分からない数字は「未確認」と書く。作った数字を書くと、面接で聞かれたときに答えられません。
くわしい手順と記入例は、営業実績の書き方にあります。会社の売上の資料や、お客様の名簿を写して持ち出すことはしません。自分の記憶と、自分の手帳で書ける範囲にします。
進め方:在職中に動くか・情報の集め方・転職エージェントと転職サイト
在職中に動くか、辞めてから動くか
どちらが正しい、という決まりはありません。違いを並べます。
| 比べる点 | 在職中に動く | 辞めてから動く |
|---|---|---|
| 収入 | 続く | 途切れる期間ができる |
| 使える時間 | 仕事の後と休みの日 | 平日の日中も使える |
| 「続ける」を選び直せるか | 選び直せる | 選び直しにくい |
| 気をつけること | 今の仕事の手を抜かない。会社の物を使わない | 暮らしのお金が、何か月もつかを先に計算する |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
体調を崩しているときは、この表より、休むことと相談することが先です。
在職中に動くなら、守ることがあります。会社のパソコン・メール・電話を、転職のために使わない。勤務時間の中で、面接や電話をしない。職場と取引先で、転職の話をしない。お客様の情報や会社の資料を持ち出さない。就業規則で、退職を申し出る時期の決まりを読んでおく。今の取引先に迷惑をかけない進め方は、次の仕事での信用にもつながります。
情報の集め方
- 公開されている求人票を、3つ読む。応募のためではなく、知るためです。仕事の内容、相手、数字の目標、給与の決まり、勤務地を、今の仕事と並べます。
- その会社の公式サイトを読む。何を、だれに売っている会社かを確かめます。
- 書かれていないことを、質問の一覧にする。新規と既存の割合、担当する社数、最初の教え方など。面接や、担当者への質問に使います。
口コミや評判だけで決めないようにします。書いた人の職種や時期が、自分と違うことがあるからです。確かめたいことは、質問の一覧に入れて、会社に聞きます。
転職エージェントと転職サイト
求人を知る手段には、自分で探して応募する転職サイトと、担当者から紹介を受ける転職エージェントがあります。ハローワーク(公共職業安定所)で相談する道もあります。厚生労働省の資料は、民間のサービスについて、「民間人材サービス事業は大きく「職業紹介事業」と「募集情報等提供事業」に分けられます。」と説明しています(厚生労働省「民間人材サービス利用のポイント」PDF・1ページ)。
どれが上、ということはありません。まず求人を眺めたいなら転職サイト、応募書類や面接の相談もしたいなら転職エージェント、のように、今の自分が頼みたいことで選びます。仕組みと違いは転職エージェントとはに、登録の流れの一例はリクルートエージェントの使い方にまとめています。
応募を決めたら、転職の理由を言葉にします。書き方は転職理由の伝え方に、今の会社への伝え方は退職の伝え方にまとめています。取引先へのあいさつは、退職の挨拶メールを使ってください。
惜しい例と良い例、迷いやすい判断
自分の考えを書くときの例です。説明用の例です。
| 書くこと | 惜しい例 | 良い例 | 違い |
|---|---|---|---|
| 不満 | 「営業が向いていない」 | 「新規の電話で断られた日は、次の電話までに時間がかかる。決まった取引先との仕事は、苦にならない」 | 場面と事実で書いてあり、変えるものが見える |
| 選ぶ道 | 「とにかく今の会社を出たい」 | 「決まった取引先を担当する営業を続けたい。先に、社内で担当を変えられるか聞く」 | 行き先と順番が決まっている |
| 実績 | 「営業を5年やりました」 | 「[業種]の会社[件数]社を担当。昨年度は目標[件数]件に対して[件数]件」 | 期間・相手・数字がそろっている |
| 条件 | 「今より良い会社」 | 「譲れないのは、転居を伴う転勤がないこと。年収は今を下回らなければ考える」 | 求人票と比べられる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
判断1:1年目・2年目で転職を考えるのは、早い?
何年目なら良い、という公的な決まりは見当たりません。年数より、不満が、時間で変わることか、変わらないことかで考えます。「まだ仕事を覚えていなくて、つらい」は、時間と教わり方で変わることがあります。「会社が扱う商品の範囲」や「休みの日数」は、待っても変わりにくいことです。前のほうなら、先に新人営業の最初の30日で、先輩に確かめることを整理します。
判断2:営業をやめたいのか、今の営業をやめたいのか、分からない
一週間、仕事の場面ごとに、気が重かったか・苦にならなかったかを書きます。気が重い場面が、新規の電話や訪問に集まるなら、変えるのは営業の種類かもしれません。相手と話すこと全体が重いなら、別の職種も考えます。どちらでもなく、特定の人や数字の決め方に集まるなら、社内で変えられるかを先に聞きます。
判断3:実績に自信がない。転職はできない?
できる・できないを、この記事が言い切ることはできません。確かなのは、数字が小さくても、事実は書けることです。担当した社数、続けた年数、任された仕事。書いてみると、応募書類の材料が足りるかどうかが、自分で分かります。足りないと感じたら、今の会社であと半年、何を積むかを決めるのも一つの道です。
判断4:上司に、いつ相談する?
相談の中身で分かれます。「担当や進め方を変えたい」という相談は、転職を決める前にします。変わるなら、会社を出る理由が一つ減るからです。「退職したい」という申し出は、気持ちが決まり、就業規則の決まりを読んでからにします。決まっていない段階で「辞めるかもしれません」と言うと、その後の仕事が進めにくくなることがあります。
うまく進まなかったあと
失敗1:応募したが、書類で通らないことが続いた
その場では:自分を責める前に、応募した求人を並べます。仕事の内容と、自分の実績の書き方が、かみ合っていたかを見ます。新規の開拓の求人に、既存の取引先の実績だけを書いていた、ということがあります。
後の記録:応募した会社、日付、求人の仕事の内容、出した書類の版を一覧にします。書類を直したら、どこを直したかを一行書きます。道そのもの(営業の種類、職種)が合っているかも、もう一度見ます。
失敗2:面接で、辞める理由をうまく言えなかった
その場では:終わった後、聞かれたことと、答えた言葉を、覚えているうちに書きます。
後の記録:不満だけで終わっていなかったかを見ます。「何がいやだったか」に、「次の仕事で何をしたいか」を一文足します。書き方は転職理由の伝え方にまとめています。
失敗3:転職の話が、職場に伝わってしまった
その場では:うわさを打ち消して回ることはしません。上司に聞かれたら、うそは言わず、決まっていることと決まっていないことを分けて答えます。「ほかの仕事を調べたことはあります。辞めるとは決めていません」(説明用の例です)。
後の記録:どこから伝わったかを書きます。会社のパソコンで調べた、職場で電話に出た、同僚に話した。次からは、個人の端末と、職場の外で行います。
失敗4:動いてみたが、決められなかった
求人を読み、話を聞いたうえで、「今は動かない」と決めるのは、失敗ではありません。比べたから、今の会社の良い所と、変えたい所が見えた、ということです。変えたい条件を一つ選び、上司に相談する日を決めます。半年後にもう一度、同じシートを書くと、変わったことと変わらなかったことが分かります。
今日やることは一つです。いまの不満を、事実で一つ書いてください。それが、今の会社で変えられることか、会社を変えないと変わらないことかを、分けてみてください。
応募の書類は職務経歴書の書き方(営業)と自己PRの書き方(営業)に、面接の最後の質問は面接の逆質問にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
今の会社の就業規則。直近1〜2年の自分の目標と実績が分かるメモ(会社の資料は持ち出さない)。気になる求人票を3つ(公開されているもの)。
記入例を見る(説明用)
いまの不満=新規の開拓の件数だけで評価され、今の取引先との仕事が数に入らない。先月も今月も、取引先の対応で訪問の件数が目標に届かなかった/今の会社で変えられることか=評価の決め方は、自分では変えられない。ただ、担当の分け方(新規と既存)を変えてもらえるかは未確認。来週、上司に聞く/選ぶ道と、その理由=仮に「社内で変わる」。聞いて変わらなければ「営業の種類を変える(決まった取引先を担当する営業)」を考える。別の職種は、今は考えていない/数字と事実で書いた実績=[年度]、担当[件数]社。うち取引が続いたのは[件数]社。新規の契約は目標[件数]件に対して[件数]件。順位は未確認/譲れない条件と、次にやること=譲れない:転居を伴う転勤がないこと。次にやること:[日付]までに上司へ相談。同じ週に、決まった取引先を担当する営業の求人票を3つ読む。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
不満が事実で一つ書いてあり、今の会社で変えられることかどうかを分けてあり(分からない所は「未確認」と、誰に聞くかが書いてある)、選ぶ道と次にやることに期限が付いている。
うまく進まなかったときは?
不満が書けなければ、今週いちばん気が重かった場面を一つ、いつ・何があったかで書く。道が選べなければ、「続ける」を仮に選び、変えたい条件を一つだけ書く。実績の数字が出なければ、担当した社数と、続けた期間を書く。