NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 97 · 営業の実践ノート

「ご教示」の意味と使い方:「ご教授」との違いと、「ご教示ください」「ご教示いただけますでしょうか」の例文

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「ご教示」は、知識や方法を教えてもらいたいときに使う言葉です。辞書では、「教示」は「知識や方法などを教え示すこと」、「教授」は「学問や技芸を教え授けること」と説明されています。この記事では、辞書と、文化庁の「敬語の指針」に書いてある範囲で、意味と形の違いを確かめます。そのうえで、相手が答えやすい聞き方を、メールと電話の例で並べます。

今日できるようになること

今日だれかに聞きたいことを一つ選び、「何を・いつまでに・自分はどこまで調べたか」を書いてから、「ご教示いただけますか」の一文を作る。

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こんなときに 取引先や上司に、手続きや日程、やり方を聞くメールを書いていて、「ご教示」と「ご教授」のどちらを使うかで迷うとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    聞きたいことを、一つの文に絞る

  2. 2

    自分で調べた所まで書く

  3. 3

    いつまでに知りたいかと、その理由を書く

  4. 4

    「ご教示いただけますか」などの形を一つ選んで結ぶ

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「ご教示」の意味を、辞書で確かめる

取引先に、請求書の送り先を聞きたい。「教えてください」では軽い気がして、「ご教示ください」と書こうとする。そこで、意味が合っているのか、「ご教授」とどちらが正しいのかで手が止まる。メールを書き始めたばかりの時期に、起きやすい迷いです。

先に、言葉の意味を辞書で確かめます。コトバンクに載っている二つの辞書で「教示」を引きました。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。

  • 「知識や方法などを教え示すこと。示教。」(デジタル大辞泉「教示」)
  • 「教え示すこと。また、教え示された事柄。示教。」(精選版 日本国語大辞典「教示」)

デジタル大辞泉には、使い方の例として「御教示を賜りたい」が載っています。「教示」に「御(ご)」を付けて、相手が教えてくれることを改まって言う形です。

語釈から言えるのは、「ご教示」は、知識や方法を示してもらうよう頼むときに合う言葉だということです。仕事では、手続きの進め方、送り先、日程、書類の書き方などを聞く場面が当てはまります。

もう一つ、確かめたことがあります。敬語についての国の考え方は、文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)にまとめられています。この指針の全文を検索しましたが、「教示」という言葉は出てきません。「ご教示」をどの相手に使うか、という公的な決まりは見当たりません。この記事は、辞書の語釈と、指針に書いてある敬語の形の説明から言える範囲で書きます。

「ご教示」と「ご教授」の違い:辞書から言える範囲

次に、「教授」を同じ二つの辞書で引いて、並べます。

言葉辞書の語釈語釈から言えること
教示「知識や方法などを教え示すこと。示教。」(デジタル大辞泉)/「教え示すこと。また、教え示された事柄。示教。」(精選版 日本国語大辞典)教えるものは「知識や方法」。示す、という言葉が入っている
教授「学問や技芸を教え授けること。」(デジタル大辞泉「教授」の1番目)/「学問や技芸などを継続的、組織的に教え授けること。また、その人。」(精選版 日本国語大辞典の1番目)教えるものは「学問や技芸」。精選版には「継続的、組織的に」という言葉が入っている

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

二つを比べて言えるのは、次の範囲までです。

  • 教示は、知識や方法を教え示すこと。聞いたことに答えてもらう場面に、語釈が合います。
  • 教授は、学問や技芸を教え授けること。精選版 日本国語大辞典の語釈では、続けて、まとまった形で教えることを指しています。

請求書の送り先、打ち合わせの日程、申込みの手順。仕事のメールで聞くことの多くは、「知識や方法」です。語釈に照らすと、こうした場面は「ご教示」のほうが合います。

一方で、この二つの辞書の項目に、「ご教授ください」は誤りだ、という説明はありませんでした。この記事でも、誤りだとは言い切りません。専門の技術を、時間をかけて教わっている相手に「ご教授ください」と書くのは、語釈の「学問や技芸」に合っています。

自分で決める基準は一つです。聞きたいことが、一度の返事で答えられる知識や方法なら「ご教示」。どちらか決めきれないときは、「教えていただけますか」と書けば、言葉選びで迷う時間がなくなります。

「ご教示ください」「いただけますでしょうか」「願います」の形の違い

「ご教示」の後ろに付ける形で、相手への伝わり方が変わります。指針に書いてある敬語の形の説明と合わせて、表にしました。

形成り立ち伝わり方
ご教示ください指針は、尊敬語の形として「お(ご)……くださる(例:読む→お読みくださる,指導する→御指導くださる)」を挙げている(24ページ)。「ください」は、その形で相手に頼む言い方頼みを、相手に直接伝える形。短く、用件がはっきりする
ご教示いただけますか/ご教示いただけますでしょうか「いただく」は謙譲語Ⅰ(指針17ページ)。「いただける」で、してもらえるかを尋ねる形になる答えるかどうかを、相手が決められる形。質問の形なので、やわらかく伝わる
ご教示願います「願う」に「ます」が付いた形。指針に、この形の説明は見当たらない頼みを、こちらから述べる形。質問の形ではない
ご教示いただけますと幸いです「いただける」に、こちらの気持ちを足した形急がせない言い方。期限があるときは、日付を別に書く

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「いただく」について、指針はこう説明しています。「「いただく」は,上に述べたとおり,謙譲語Ⅰであるが,謙譲語Ⅰの基本的な働きに加えて,恩恵を受けるという意味も併せて表す。」(指針17ページ)。「ご教示いただく」は、教えてもらうことを有り難いこととして述べる形です。

質問の形にする理由も、指針に手がかりがあります。指針は、同僚に仕事を頼む場面で、自分が責任者でない場合について、「この仕事をしていただけますか」のような「相手に判断をゆだねるような表現を用いる方が良いだろう。」と書いています(指針48ページ)。頼みごと全体については、「相手に負担を掛けているのだ,という意識を持って,その気持ちを表明することが,相手に対してより配慮した表現になると言えるだろう。」とあります(指針49ページ)。

教えてもらうのは、相手の時間を使うことです。こちらが決める立場にない取引先への質問は、「ご教示いただけますか」「ご教示いただけますでしょうか」のように、相手に判断をゆだねる形にすると、この考え方に合います。

「ご教示ください」が使えない、ということではありません。申込書の書き方の案内や、返事が決まっている事務の連絡では、短い形のほうが読みやすい場面もあります。「〜いただけますと幸いです」の使い方は、「幸いです」の使い方にまとめています。

聞く内容を絞って書く:手順とメール・電話の例

言葉の形より、返事の来やすさを左右するのは、聞く中身です。「ご教示ください」とだけ書かれたメールは、相手が「何を、どこまで答えればよいか」を考える所から始めることになります。次の順に書きます。

  1. 聞きたいことを、一つの文にする。「請求書の送り先(部署名と宛名)」のように、答えの形が分かる言葉で書きます。聞きたいことが三つあれば、番号を付けて分けます。相手は、番号ごとに答えを書けます。
  2. 自分で調べた所まで書く。「前回の控えでは、本社の経理部あてでした」のように書きます。相手は、同じ説明をくり返さずに、変わった所だけ答えられます。調べずに聞いたのか、調べたうえで聞いたのかも伝わります。
  3. いつまでに知りたいかと、その理由を書く。「月末に請求書をお出しするため、◯日までに」のように書きます。日付だけだと、急がせる理由が相手に伝わりません。理由があると、相手は優先の順番を決められます。
  4. お願いの形を一つ選んで結ぶ。前の章の表から選びます。迷ったら「ご教示いただけますでしょうか」にします。

メールの例

次の例は、すべて説明用の例です。

  • 惜しい例1:「請求書の件、ご教示ください。」
  • 惜しい例2:「お手すきの際に、いろいろとご教授いただけますと幸いです。」
  • 良い例:下の文面

[会社名] [担当者名]様

いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。

請求書の送り先について、一点お伺いします。

前回は、本社の経理部あてにお送りしました。今月から部署名が変わったと伺いましたので、新しい部署名と宛名をご教示いただけますでしょうか。

今月分は[日付]に発送する予定です。[日付]までにお返事をいただけますと、新しい宛名でお送りできます。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

惜しい例1は、何を知りたいのかが「請求書の件」としか書かれていません。惜しい例2は、「いろいろと」で中身が分からず、期限もありません。良い例は、聞きたいことが一つで、こちらが知っていることと、返事がほしい日とその理由が入っています。「お手数をおかけしますが」の使い方は、「お手数をおかけします」の使い方にあります。

電話の例

自分「[自社名]の[氏名]です。請求書の送り先について、一点教えていただきたく、お電話しました。今、少しよろしいでしょうか」

相手「はい、どうぞ」

自分「今月から部署名が変わったと伺いました。新しい部署名と宛名を、教えていただけますか」

電話では、「ご教示」と言わずに、「教えていただけますか」と言う形でも用件は同じように伝わります。耳で聞く場面では、ふだん使う易しい言葉のほうが、聞き返しが起きにくくなります。聞いた答えは、その場でくり返して確かめます。電話の受け方とかけ方の基本は、電話対応の基本にまとめています。

言い換えと、場面ごとの選び方

「ご教示」のほかにも、同じ用件を伝えられる言葉があります。聞きたいものに合わせて選びます。

言い換え合う場面(一例)補足
教えていただけますか電話、いつもやり取りしている担当者、社内言葉が易しく、聞き間違いが起きにくい
お聞かせください相手の考え、希望、感想を聞くとき指針にも「お考えをお聞かせください」という言い方の例がある(43ページ)
ご指導くださいやり方を、続けて教わりたいとき「指導」の語釈は「ある目的・方向に向かって教え導くこと。」(デジタル大辞泉「指導」の1番目)。一度の質問より、教え導いてもらう場面に合う
ご教示いただけますでしょうか初めての相手、改まったメール書き言葉向き。聞く中身を一つに絞って使う

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

相手の都合や意見を聞くときは、「ご教示」より「お聞かせください」が合います。「ご都合をお聞かせください」「ご意見をお聞かせください」のような形です(説明用の例です)。相手が忙しい時期は、「はい・いいえ」や番号で答えられる形にして、返事の手間を減らします。

迷いやすい判断

判断1:「ご教示いただけますでしょうか」は、二重敬語?

指針は、二重敬語をこう説明しています。「一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。」「「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。」(指針30ページ)。

「ご教示いただけますでしょうか」という形そのものは、指針に出てきません。指針で確かめられるのは、次の二つです。「いただく」は謙譲語Ⅰ、「ます」は丁寧語で、種類が違うこと。そして、指針が言い方の例として挙げている文に「御注文の品は,そろいましたでしょうか」(指針50ページ)があり、「ます」の後に「でしょうか」が続く形が使われていることです。

「でしょうか」をどう数えるかは、指針に書かれていません。この記事では、二重敬語だとも、そうでないとも言い切りません。長いと感じる相手には、「ご教示いただけますか」と短くすれば、この迷いは残りません。

判断2:社内の上司や先輩にも「ご教示ください」と書く?

決まりは見当たりません。基準は、その職場で、上司あてのメールに実際に使われている言葉です。先輩が上司に送ったメールを一通見て、同じ形にします。

見つからなければ、「教えていただけますか」にします。社内でも取引先でも使えるので、相手ごとに考え直す手間が減ります。先輩には、「部長へのメールで、やり方を聞くときは、どう書いていますか」と聞きます(説明用の例です)。

判断3:聞きたいことが、三つも四つもあるときは?

基準は、相手が一度の返事で答えられるかです。三つまでなら、番号を付けて一通にまとめます。それより多いとき、または説明が長くなりそうなときは、「10分ほどお電話でお時間をいただけますか」と、話す時間をお願いするほうが、相手の手間が減ります(説明用の例です)。

急ぐものと、急がないものが混ざっているなら、急ぐ一つだけを先に聞きます。残りは、次の連絡に回します。

判断4:調べれば分かりそうなことも、聞いてよい?

先に、自分で調べます。相手の会社のホームページ、もらった資料、過去のメールの三つを見ます。それでも分からなければ、「御社のホームページの[ページ名]を拝見しましたが、見つけられませんでした」と、調べた所を書いて聞きます(説明用の例です)。

調べた所が書いてあると、相手は「そこには載っていません」「このページにあります」と短く答えられます。

教えてもらったあとのお礼と、間違えたあとの直し方

教えてもらったら、お礼を送ります。お礼には、三つのことを書きます。何を教えてもらったか、それで自分がどう動くか、次の連絡の予定です。相手は、自分の答えが役に立ったことと、この件が進んだことが分かります。

  • 惜しい例:「ご教示ありがとうございました。」
  • 良い例:「送り先をご教示いただき、ありがとうございます。今月分から、[新しい部署名]あてにお送りいたします。[日付]に発送しますので、届きましたらご確認をお願いいたします。」

惜しい例は、礼の言葉だけです。良い例は、教わった中身と、次の動きが入っています(説明用の例です)。連絡をもらったときのお礼の言い方は、「ご連絡ありがとうございます」の使い方にまとめています。

場面1:「ご教授ください」と書いて送ったことに、後で気づいた

その場では:言葉を直すためだけのメールは、送らなくて足ります。相手は、もう一通読むことになるからです。聞きたい中身が伝わっていれば、用件は進みます。次のメールから、「ご教示」か「教えていただけますか」に変えます。

後の記録:「手続きや送り先を聞くときは、ご教示。迷ったら、教えていただけますか」と、自分のメモに一行残します(説明用の例です)。

場面2:「ご教示ください」とだけ書いて、返事が来ない

その場では:催促の前に、聞き方を直して送り直します。「先日お伺いした件について、質問を一つに絞ってお送りします。新しい部署名を教えていただけますか。[日付]の発送に間に合わせたく、ご連絡しました」のように書きます(説明用の例です)。催促のメールの組み立ては、催促メールの書き方にあります。

後の記録:最初のメールに何が足りなかったかを書きます。「期限と理由を書いていなかった」のように、次に足すものを一つ決めます。

場面3:教えてもらったのに、お礼が遅れた

その場では:気づいた時点で送ります。「お礼が遅くなり、申し訳ございません。先日は送り先をご教示いただき、ありがとうございました。おかげさまで、今月分を新しい宛名でお送りできました」のように、遅れたおわびと、教わったことの結果を書きます(説明用の例です)。

後の記録:「返事をもらったら、その日のうちにお礼を一通」と決めて、予定表に書きます。

今日やることは一つです。今日だれかに聞きたいことを一つ選び、何を・いつまでに・自分はどこまで調べたかを書いてから、「ご教示いただけますか」の一文を作ってください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
今日だれかに聞きたいことのメモ。自分で調べた資料やページ。相手の名前と、返事がほしい日が分かる予定表。

記入例を見る(説明用)

聞く相手と、聞きたいこと=[会社名]の[担当者名]様。請求書の送り先(部署名と宛名)を知りたい/自分で調べた所と、分からない所=前回の請求書の控えを見た。送り先は本社の経理部になっている。今月から部署の名前が変わったと聞いたが、新しい名前は未確認/いつまでに知りたいかと、その理由=[日付]まで。月末に請求書を出すので、その前に宛名を直したい/お願いの一文=「請求書の送り先について、新しい部署名と宛名をご教示いただけますでしょうか。」/教えてもらったあとに送るお礼の一文=「送り先をご教示いただき、ありがとうございます。今月分から、[新しい部署名]あてにお送りいたします。」

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

聞きたいことが一つの文になっていて、自分で調べた所、いつまでに知りたいか、お願いの一文、お礼の一文が書いてある。

うまく進まなかったときは?

聞きたいことが一つに絞れなければ、「これが分からないと、次の作業が止まる」というものを一つだけ選ぶ。「ご教示」と「ご教授」で迷ったら、「教えていただけますか」と書く。期限の決め方が分からなければ、先輩に「いつまでに返事をもらえば間に合いますか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

メールの返信の組み立てを見る尊敬語と謙譲語の違いを確かめるメール全体の書き方を見る