NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 141 · 営業の実践ノート

相見積もりとは:見積を出す側の営業がやることと、取る側の注意

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相見積もり(あいみつもり)とは、複数の取引先などに同じ条件で見積を出してもらい、比べることです。略して「あいみつ」とも言います。営業は、見積を取られる側になることが多い立場です。この記事では、取られる側の営業がやること(条件をそろえる、含まれるもの・含まれないものを書く、期限を守る、結果を聞く、振り返る)を中心に、取る側になったときの注意も説明します。

今日できるようになること

相見積もりになっている(なりそうな)一件を決め、相手が示した条件・比べる点・提出の期限・含まれるものと含まれないものを書き出す。

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こんなときに お客様から「ほかの会社にも見積を頼んでいます」と言われ、何を確かめて、どう出せばよいか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    相手が示した条件・比べる点・期限を聞いて書く

  2. 2

    条件のとおりに見積を作り、含むもの・含まないものを書く

  3. 3

    期限までに出し、結果が分かる時期を確かめる

  4. 4

    結果を聞き、理由と次に直すことを記録する

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

相見積もりとは:同じ条件で見積を取り、比べること

商談の終わりに、お客様から「ほかの会社にも見積をお願いしています」と言われた。断られたのか、値引きを求められているのか、分からない。初めてだと、返す言葉に迷う場面です。

相見積もりは「あいみつもり」と読みます。辞書の見出しは「合(い)見積(も)り/相見積(も)り」で、二つの書き方が並んでいます。語釈は、「複数の取引先などに同条件で見積もりを提出させ、比較すること。あいみつ。」(デジタル大辞泉「合見積り/相見積り」)です。略した「あいみつ」という言い方も、語釈の中に載っています。なお、「見積り」は、「見積もること。また、その数字。」(デジタル大辞泉「見積り」)と説明されています。

語釈の中で、営業にとって大事な言葉は、「同条件で」と「比較する」の二つです。

  • 相手は、同じ条件で並べたい。だから、こちらが条件を変えて出すと、比べられない見積になる。
  • 相手は、比べて決める。だから、何で比べるのかを知らないまま出すと、金額の数字だけで並べられる。

相見積もりは、断りの言葉とは限りません。会社の決まりとして、何社かから見積を取ることになっている場合もあります。「比べて決める」という相手の進め方を、そのまま受け取ります。

営業は、見積を取られる側(出す側)になることもあれば、仕入先に頼むときのように、取る側になることもあります。この記事は、取られる側を中心に説明します。取る側の、見積を頼むメールの書き方は、見積依頼メールの書き方にまとめています。

社内で「あいみつ」と言うのは、ふつうの言い方です。お客様に向けて話すときや、書くときは、略さずに「相見積もり」「複数の会社にお見積りをお願いしている」と言うほうが、言葉を知らない相手にも伝わります。

相見積もりだと言われたとき・言われないとき

言われたとき:聞くことは3つ

「ほかにも頼んでいます」と言われたら、まず「承知しました」と受けます。そのうえで、次の3つを聞きます。

  1. 条件。品名、数量、仕様、納品の場所、設置などの作業の有無。相手がほかの会社にも同じ条件を伝えているはずなので、その条件をそのまま教えてもらいます。
  2. 比べる点。金額のほかに、何を見るのか。納期か、納品後の対応か、支払いの条件か。
  3. 期限と、決める時期。いつまでに出せばよいか。いつごろ決まるのか。

自分:「承知しました。お見積りを作るにあたり、3点だけ確認させてください。数量と仕様は、先ほど伺った内容でよろしいでしょうか」

お客様:「はい、2台で、設置までお願いしたいです」

自分:「ご検討にあたり、金額のほかに、特に重視される点はございますか」

お客様:「納品までの日数ですね。来月中には使い始めたいので」

自分:「来月中のご利用開始ですね。お見積りは、いつまでにお出しすればよろしいでしょうか。お決めになる時期も、差し支えなければ教えてください」

やり取りは、説明用の例です。聞いていないことが、二つあります。ほかの会社の名前と、ほかの会社の金額です。相手が自分から話さないかぎり、こちらからは聞きません。聞かれた相手は、答えにくく、こちらが金額だけを合わせに来ると受け取ります。

言われないとき:探らずに、比べる点を聞く

相見積もりかどうかを、相手が言わないこともあります。伝えるかどうかは、相手の会社の方針です。「ほかにも頼んでいますか」と問いつめる必要はありません。言われたときと同じ質問が、そのまま使えます。

場面聞くこと言い方(一例)
相見積もりだと言われた条件・比べる点・期限「ご検討にあたり、金額のほかに、特に重視される点はございますか」
言われていない見積の使い道と、決まるまでの流れ「お見積りは、この後どのように検討されるご予定でしょうか」
メールで依頼だけが届いた足りない条件「お見積りを作るにあたり、2点確認させてください」と、まとめて聞く
その場で金額を聞かれたその場で数字を作らない「条件を確認して、見積書でお伝えします。◯日までにお送りします」

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

言われても言われなくても、やることは同じです。条件をそろえ、何が含まれているかが見積書だけで分かるようにして、期限までに出す。相手が社内で検討するときの流れは、法人営業とはで説明しています。

見積を出す側がやること:条件をそろえ、範囲を書く

相見積もりでは、こちらがいない場で、見積書どうしが並べられます。説明を足す機会は、ないものと考えます。見積書とメールだけで、中身が伝わるように作ります。順番は、次のとおりです。

  1. 相手が示した条件のとおりに作る。数量、仕様、納品の場所を、自分の都合で変えません。条件を変えた見積は、ほかの会社の見積と並べられないからです。別の案(数量を変えた案、別の商品の案)も出したいときは、指定どおりの見積を先に作り、別案を一緒に出してよいかを、先輩に相談します。
  2. 含まれるもの・含まれないものを書く。送料、設置、設定、古い物の引き取り、保守。相手が「当然入っている」と思いやすい所です。見積の備考か、送るメールに、含むものと含まないものを、それぞれ書きます。
  3. 比べる点に、答えを書く。相手が納期を見ると言ったなら、納期を、確かめた日付で書きます。相手が聞いたことへの答えが見積書のどこにも無いと、金額だけが比べられます。
  4. 粗利を確かめ、承認をもらう。相見積もりだからと、自分の判断で金額を下げません。粗利の計算は粗利とはに、掛け率の計算は掛け率とはにまとめています。
  5. 期限までに出す。社内の承認にかかる時間から逆算して、下書きの日を決めます。期限に遅れた見積は、比べる場に間に合わないことがあります。

なぜ「含まれるもの/含まれないもの」を書くのか

金額だけで並べられると、範囲の違いが見えなくなります。次の表は、説明用の例です。

会社見積の合計設置の作業設置まで含めた金額
自社300,000円含む300,000円
もう一社(例)280,000円含まない(別に30,000円)310,000円

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

見積の合計だけを見ると、自社のほうが20,000円高く見えます。設置まで含めると、自社のほうが10,000円低くなります。ただ、これは、相手が範囲の違いに気づいたときの話です。こちらの見積書に「設置の作業を含みます」と書いていなければ、相手は気づけません。

ほかの会社の見積の中身は、こちらには分かりません。できるのは、自分の見積に何が入っているかを、はっきり書くことだけです。ほかの会社の見積を想像して、「他社は設置が別のはずです」と言うことはしません。

送るメールに書く一文の例

「お見積書をお送りします。ご依頼の条件(本体2台・本社へ納品・設置あり)のとおりに作成しました。」

「金額には、本体・送料・設置の作業を含みます。古い機械の引き取りは含んでおりません。必要な場合は、別にお見積りします。」

「納期は、ご注文から◯週間です。在庫を◯月◯日に確認した日付です。」

「お決めになるのは月末と伺いました。◯月◯日ごろに、状況を伺ってもよろしいでしょうか。」

例は、説明用です。条件のとおりに作ったこと、含むもの・含まないもの、相手が見ると言った納期、次に連絡する日、の4つが入っています。見積書の点検は見積書を送る前に確認する7項目、提案の中身の作り方は提案書の作り方を見てください。

出したあと:結果を聞き、負けたら振り返る

結果を聞く

見積を出したら、結果を聞きます。聞かないままだと、決まったのか、まだ検討中なのかが分からず、社内で在庫や人手の予定を立てられません。聞くのは、相手と決めた日です。見積を出すときに「◯日ごろに伺います」と伝えておけば、その日の連絡は、催促ではなく、約束した確認になります。

惜しい例:「先日のお見積り、いかがでしたでしょうか。ぜひ、当社でお願いします」

良い例:「◯月◯日にお送りしたお見積りの件で、ご連絡しました。月末にお決めになると伺っておりましたので、その後の状況を教えていただけますでしょうか。追加で必要な資料がございましたら、お知らせください」

惜しい例は、相手に、答えを急がせる形になっています。良い例は、どの見積のことか、なぜ今連絡したのかを伝え、相手が「まだです」と答えやすい聞き方になっています。返事を待つあいだの進め方は、「検討します」の後にまとめています。

負けたあと:理由を聞き、記録する

ほかの会社に決まった、と言われることはあります。そのとき、まず伝えるのは、お礼です。「ご検討いただき、ありがとうございました」。値引きを持ち出して、決まった話をひっくり返そうとはしません。相手は、社内の手続きを終えています。

そのうえで、理由を一つだけ聞きます。

「今後の参考にしたいので、差し支えない範囲で、決め手になった点を教えていただけますでしょうか」

「差し支えない範囲で」と付けるのは、相手に答えない自由を残すためです。相手が話さなければ、それ以上は聞きません。ほかの会社の名前や金額を、聞き出そうとしません。

帰ってからの記録には、次の4つを書きます。失注分析シートも使えます。

  • 相手の言葉。「納期が1週間早い会社に決めた」のように、聞いたままを書く(説明用の例です)。
  • 自分の見積で、足りなかった所。比べる点を聞いていたか。含むもの・含まないものを書いていたか。期限に間に合ったか。
  • 分からないこと。理由を聞けなかったなら、「理由は未確認」と書く。想像で「価格で負けた」と書かない。
  • 次に直すこと。一つだけ、行動で書く。「次からは、見積を頼まれたその場で、比べる点を聞く」など。

「価格で負けた」とだけ書くと、次にできることが、値引きしか残りません。理由を相手の言葉で書いておくと、納期、範囲の書き方、出す早さなど、自分で直せる所が見つかることがあります。メモの書き方は、商談メモ添削を見てください。

取る側のときに気をつけること

営業も、仕入先や外部の会社に見積を頼むときは、取る側になります。出す側の気持ちを知っていると、何に気をつければよいかが分かります。気をつけることは、3つです。

気をつけること理由やり方
同じ条件で頼む条件が違うと、比べられない。相手は、作り直しになる品名・数量・納期・納入場所を、同じ文面で伝える
ほかの会社の見積書や金額を見せないその会社の取引の情報を、別の会社に渡すことになる見積書を転送しない。金額を口頭でも伝えない
断る会社へも、返事をする返事が無いと、相手は予定を空けたまま待つ結果が出たら、お礼・結果・おわびを伝える

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

頼むメールの書き方、一社ずつ別のメールで送る理由、断るときの文面は、見積依頼メールの書き方に例文があります。ここでは、くり返しません。

相見積もりだと、相手に伝えるかどうか

伝える会社も、伝えない会社もあります。これは、会社の方針で決まることです。自分で決めずに、先輩に「相見積もりであることは、お伝えしてよいですか」と聞きます。

何社から取るか、誰に頼むか

何社から見積を取るか、どの会社に頼むか、金額がいくら以上なら相見積もりにするか。こうした決まりは、会社ごとに違います。この記事では扱いません。自分の会社の購買の決まりに従ってください。決まりがどこに書いてあるか分からなければ、上司に聞きます。法律に関わる判断が要りそうなときも、自分で決めず、上司や会社の担当の部署に相談します。

迷いやすい判断と、間違えたあと

判断1:「ほかの会社は、もっと安かった」と言われたら?

その場で、金額を答えません。基準は、相手の希望を、数字と条件で聞き取れたかです。聞くのは、いくらなら検討できるのか、数量や範囲は同じか、いつまでに返事が要るか、の3つです。ほかの会社の見積書を見せてほしい、とは言いません。

「ご希望は、承りました。同じ条件(2台・設置あり)でのお話、ということでよろしいでしょうか。社内で確認して、◯日の午前中までにお返事します」

上司には、相手の言葉のまま伝え、粗利の計算を添えます。応えられないときは、理由をくわしく説明するより、「社内で検討しましたが、ご希望の金額にはお応えできませんでした」と結果を伝えます(説明用の例です)。

判断2:ほかの会社のことを聞かれたら?

「B社さんの商品は、どうですか」と聞かれることがあります。ほかの会社の悪口は言いません。よく知らないことを、知っているように話すこともしません。自分の会社の商品について、言えることを答えます。「ほかの会社様のことは、正確にお答えできません。当社の場合は、設置まで含めてお出ししています」(説明用の例です)。

判断3:期限に、間に合いそうにないときは?

基準は、期限の前に、相手に伝えたかどうかです。期限を過ぎてから「遅れました」と言うのと、前の日に「◯日の午前中までお時間をいただけますか」と相談するのとでは、相手ができることが違います。間に合わないと分かった時点で、上司に相談し、相手に連絡します。待ってもらえるかどうかを決めるのは、相手です。

間違えたあと1:条件を変えた見積を、出してしまった

その場では:気づいた時点で、上司に報告し、相手に連絡します。「◯月◯日にお送りした見積書は、数量を3台で作成しておりました。ご依頼は2台でした。2台でのお見積りを、本日中にあらためてお送りします。申し訳ございません」と、どこが違ったかと、正しいものをいつ出すかを伝えます(説明用の例です)。

後の記録:「依頼のメールと見積書を、並べて見比べなかった。次からは、送る前に、品名・数量・納品の場所を一行ずつ照らし合わせる」と書きます(説明用の例です)。

間違えたあと2:ほかの会社の金額を、話してしまった

取る側のときに、仕入先へ「B社は◯円でした」と言ってしまった。あるいは、出す側のときに、別のお客様へ出した金額を話してしまった。どちらも、取引の情報を外に出したことになります。

その場では:自分だけで片づけようとせず、すぐに上司に報告します。誰に・いつ・何を話したかを、そのまま伝えます。その後の動きは、上司の指示と会社の決まりに従います。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。

後の記録:話した相手、日時、内容、報告した相手、その後に取った動きを、順に書きます。次からは、金額を聞かれたら「お話しできないことになっています」と答える、と決めておきます。

今日やることは一つです。相見積もりになっている(なりそうな)一件を決め、相手が示した条件・比べる点・提出の期限・含まれるものと含まれないものを書き出してください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
相手からの見積依頼のメールや商談メモ、作りかけの見積書、会社の見積の承認の流れが分かるもの。

記入例を見る(説明用)

相手と、頼まれた内容=A社の佐藤様。本体2台。型番は依頼メールのとおり。設置も頼みたい、とのこと/相手が比べる点と、決める時期=「金額と、納品までの日数を見ます」と聞いた。何社に頼んでいるかは聞いていない。月末の会議で決める予定/提出の期限と、出し方=◯月◯日(金)の正午までに、メールでPDFを送る。社内の承認に1日かかるので、下書きは水曜までに作る/見積に含まれるもの・含まれないもの=含む:本体2台、送料、設置の作業。含まない:古い機械の引き取り(必要かどうかは未確認。今日、佐藤様に聞く)/結果の聞き方と、振り返り=会議の翌日に、メールで結果を伺うと約束した。結果が出たら、理由と、次に直すことを書く。内容はすべて説明用の例。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

相手が示した条件、比べる点、提出の期限、含まれるもの・含まれないものが書いてあり、結果をいつ・どう聞くかが決まっている。

うまく進まなかったときは?

比べる点が分からなければ、相手に「ご検討にあたり、特に重視される点はどこでしょうか」と聞く。条件が足りなければ、「お見積りを作るにあたり、2点確認させてください」とまとめて聞く。値引きを求められたら、その場で答えず、上司に粗利の計算を添えて相談する。

NEXT NOTE

次に読むなら

見積を頼む側のメールを書く値引きの前に粗利を確かめる見積書を送る前の確認をする