NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 36 · 営業の実践ノート

ルート営業とは:仕事の流れと、訪問ごとに確かめる3つのこと

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ルート営業とは、すでに取引のあるお客様を、定期的に訪問する営業のことです。注文を受けるだけでなく、前回の約束が済んだか、今困っていることはないか、次までに誰が何をするかを、訪問のたびに確かめます。

今日できるようになること

明日訪問する一社について、前回の約束・今回聞くこと・次の訪問日を、訪問の前に書いておく。

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こんなときに ルート営業の担当になり、訪問先で何をすればよいか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    前回の訪問メモを読み、約束したことを確かめる

  2. 2

    訪問して、約束の結果を先に伝える

  3. 3

    困っていることを一つ聞き、事実をメモする

  4. 4

    次までにやることと、次の訪問日を決めて記録する

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

ルート営業とは:すでに取引のあるお客様を、定期的に訪問する営業

ルート営業とは、すでに取引のあるお客様を、決まった間隔で訪問する営業のことです。担当するお客様を順番に回るので、「ルート(道順)」と呼ばれます。「ルートセールス」と呼ぶ会社もあります。

訪問先でやることは、会社や商品で違います。よくある仕事は、注文を聞く、納品や在庫の様子を確かめる、新しい商品を案内する、困り事や要望を聞く、などです。商品の配達を兼ねる仕事もあれば、訪問と提案だけを行う仕事もあります。

言葉の使い方にも、会社ごとの幅があります。「ルート営業」と書かれていても、新しいお客様を探す仕事が含まれることがあります。自分の仕事の範囲は、上司や先輩に「私の担当は、どこからどこまでですか」と聞いて確かめます。

初めて担当になると、「決まった所を回るだけ」に見えて、訪問先で何を話せばよいか分からなくなりがちです。この記事では、仕事の流れと、訪問ごとに確かめる3つのことを説明します。

新規開拓の営業との違い

新規開拓の営業は、まだ取引のない相手に、自分の会社と商品を知ってもらうところから始めます。ルート営業は、取引が始まった後の関係を続ける仕事です。次の表は、違いを比べた一例です。

比べる点ルート営業新規開拓の営業
訪問する相手すでに取引のあるお客様まだ取引のない会社や店
訪問の約束定期的な訪問日が決まっていることが多い電話やメールで約束を取る、約束なしで訪問する、など
最初にやること前回の続きを確かめる自分の会社と用件を伝える
記録の中心前回の約束、注文、困り事、次の訪問日訪問した日、相手の返事、次の接点
つまずきやすい点訪問が習慣になり、聞くことが決まっていない断られることが続く

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

どちらが楽、どちらが上、というものではありません。必要な準備が違います。新規開拓のうち、約束なしで訪問するやり方は飛び込み営業のやり方、約束の取り方は営業のアポ取りにまとめています。

実際の仕事では、両方を受け持つ人もいます。ルートで回りながら、近くの新しい会社にあいさつする、という形です。

一日の流れの例

次は、ルート営業の一日を説明するための例です。時刻や件数は会社・商品・地域で大きく違うので、ここでは順番だけを見てください。

  1. 朝、その日の訪問先を確かめる。訪問先の一覧を見て、回る順番を決めます。前回の訪問メモを読み、持っていく物(見本、見積書、頼まれていた資料)をかばんや車に積みます。
  2. 訪問する。一社ごとに、あいさつ、前回の続き、注文や在庫の確認、困り事の聞き取り、次の約束、の順に進めます。
  3. 訪問の合間に記録する。建物を出たら、次へ向かう前に、聞いたことと約束したことをメモします。
  4. 会社に戻る、または連絡する。受けた注文を、会社で決められた方法で手配します。お客様からの質問で、自分で答えられなかったことを、先輩や担当の部署に聞きます。
  5. 一日の終わりに、次の準備をする。日報を書き、約束したことに期限を付けます。明日の訪問先のメモを出しておきます。

歩く、運転する、荷物を運ぶ、という動きが毎日続きます。かばんと靴は、見た目より先に、一日使って疲れないかで確かめます。かばんは資料と見本が入って床に置いても倒れないか、靴は歩く距離と、訪問先で脱ぐ場面があるかを見ます。

訪問ごとに確かめる3つのこと

毎回同じ相手に会うと、「お変わりないですか」「特にないよ」で終わってしまうことがあります。訪問のたびに、次の3つを確かめると決めておくと、話すことがはっきりします。

1. 前回の約束は、済んだか

前回の訪問で、自分が「やります」と言ったこと、相手が「調べておきます」と言ったことを、訪問の前にメモで確かめます。訪問したら、あいさつの後、最初にその結果を伝えます。相手は、頼んだことがどうなったかを、こちらが思うより覚えています。

まだ済んでいないことは、隠さずに「まだできていません。◯日までにお持ちします」と期限を言い直します。約束の結果から話し始めると、相手は「前回の話を覚えている人だ」と分かります。

2. 今、困っていることはないか

「何かお困りのことはありますか」と広く聞くと、「特にない」と返ってきやすくなります。相手は、仕事の手を止めて、その場で困り事を思い出さなければならないからです。聞くことを一つにしぼります。たとえば、納品した物の使い方、在庫の減り方、納品の時間、請求書の内容、などです。

惜しい聞き方1:「最近、いかがですか」

惜しい聞き方2:「何かお困りのことはありませんか」

良い聞き方:「先月から納品の時間を午前に変えましたが、受け取りでお困りのことはありませんか」

3つとも説明用の例です。惜しい聞き方は、ていねいですが、何について答えればよいかを相手が考えなければなりません。良い聞き方は、こちらが変えたこと・納めた物を先に言い、その一点について聞いています。相手は「はい」「いいえ」に一言足すだけで答えられます。

困り事が出てきたら、その場で解決しようとしなくて構いません。いつ・どこで・何が・どれくらい起きているかを、相手の言葉のままメモします。持ち帰った後の進め方は、顧客の困り事から、メーカーと改善を考えるにまとめています。

3. 次までに、誰が何をするか

帰る前に、次の訪問までにやることを声に出して確かめます。自分がやること、相手にお願いすること、期限、次の訪問日、の4つです。声に出すのは、お互いの受け取り方が違っていたら、その場で直せるからです。

自分:「先日お約束した見本をお持ちしました。それと、先月から納品の時間を午前に変えましたが、受け取りでお困りのことはありませんか」

相手:「午前は助かってるよ。ただ、月曜は荷物が重なって置き場が足りないんだ」

自分:「月曜に置き場が足りなくなるのですね。月曜の納品を別の曜日にできるか、社内で確認して、金曜までにお電話します。次は再来週の同じ曜日に伺ってもよろしいですか」

商品・曜日・やり取りは説明用の例です。相手の言葉をくり返してから、自分がやることと期限を言っています。この3つは、下の実践シートの項目とつながっています。

場面で変わるところ

3つを確かめる、という骨組みは同じですが、場面によって力の入れ所が変わります。次の表は一例です。

場面力を入れる所進め方(一例)
担当を引き継いで、初めての訪問前回までの約束を確かめる引き継ぎメモを読んでから行く。「前任から、◯◯の件を引き継いでおります」と、知っていることを先に伝える
2回目以降の、いつもの訪問困り事を一つ聞く前回のメモから、聞くことを一つ決めて行く
相手が忙しそうな日次の約束だけ決める約束の結果を一言で伝え、次の訪問日を確かめて帰る
配達を兼ねる訪問納品した物と置き場所を見る荷物を降ろしながら、在庫の減り方や置き場所の様子を見て、気づいたことを一つ聞く
電話やオンラインで済ませる回聞いたことを文字で残す約束の結果と次の予定を口頭で確かめ、終わった後にメールで同じ内容を送る

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

引き継いで初めての訪問では、相手は「また一から説明するのか」と身がまえていることがあります。知っていることを先に言うと、その心配を減らせます。

提案を出した後、「検討します」と言われたまま次の訪問日が来ることもあります。そのときの進め方は、「検討します」の後の手順が使えます。

よくある失敗と直し方

失敗は、その場の立て直し方と、帰ってからの記録をセットで決めておきます。

失敗1:聞くことを決めずに訪問し、「特にないよ」で終わった

その場では:「特にない」と言われたら、広い質問をくり返さず、目の前にある物に話を移します。「前回お持ちした◯◯は、使ってみていかがでしたか」と、納めた物を一つ挙げて聞きます。それでも話が出なければ、次の訪問日を確かめて帰ります。

帰ってからの記録:「困り事:なし」とは書きません。「◯◯の使い勝手を聞いた。問題なしとのこと。次回は、納品の時間について聞く」のように、何を聞いたかと、次に聞くことを書きます(説明用の例です)。

失敗2:口で約束して、記録しなかった

その場では:何を約束したか思い出せなくなったら、あいまいなまま動きません。その日のうちに、「本日お約束した件を、確認させてください」と相手に電話かメールで確かめます。早いほど、相手も覚えています。

帰ってからの記録:約束は、中身・期限・誰がやるかの3つで書きます。「見本を持っていく/次回の訪問日まで/自分」のように、後で読んで動ける形にします。次の日からは、建物を出たら、次へ向かう前に書きます。

失敗3:約束の期限を、過ぎてしまった

その場では:気づいた時点で、次の訪問を待たずに連絡します。「◯日までとお約束した件が、まだできておりません。申し訳ございません。◯日にお持ちします」と、おわびと新しい期限を一緒に伝えます。黙って次の訪問日を迎えると、相手から先に聞かれることになります。

帰ってからの記録:遅れた理由(社内の確認に時間がかかった、など)と、新しい期限を書きます。同じ理由がくり返されるなら、先輩に相談する材料になります。報告のしかたは営業で失敗したときにまとめています。

失敗4:前の担当者の引き継ぎを、読まずに行った

その場では:「前の方に話しましたよ」と言われたら、知っているふりをしません。「申し訳ございません。引き継ぎを確認して、明日ご連絡します」と持ち帰ります。相手から見ると、担当が替わっても同じ会社だからです。

帰ってからの記録:前の担当者か先輩に確かめた内容を、顧客のメモに書き足します。メモの書き方と読み方は、営業の「言った・言わない」を減らす引き継ぎメモにまとめています。

迷いやすい判断と、よくある質問

判断1:値引きや急ぎの納品を、その場で頼まれたら?

基準は、自分に決める権限があるかどうかです。価格や納期を自分で決めてよいと言われていないなら、その場で「できます」とも「できません」とも答えません。「社内で確認して、◯日までにお返事します」と、返事の期限を約束します。

上司には、相手の言葉と条件をそのまま伝えます。「A社から、来月の注文分を◯日までに納めてほしいと言われました。お受けしてよいですか」のように、何を・いつまでに、を添えます(説明用の例です)。

判断2:話すことがない日は、訪問しなくてよい?

自分で決める前に、2つを見ます。前回の約束で、今回までにやると言ったことがあるか。相手と訪問日を決めてあるかです。どちらかがあれば、短くても訪問します。「今日は、先日の納品の確認だけで伺いました」と用件を一つ伝え、次の訪問日を確かめて帰ります。

どちらもなく、訪問をやめたい・電話に替えたいと考えたら、先輩に「A社は今回、電話での確認に替えてもよいですか」と聞きます。訪問の間隔は会社の方針にも関わるので、自分だけで変えません。

判断3:窓口の担当者以外の人に、話しかけてよい?

窓口の人が異動や退職で替わると、それまでの話が伝わっていないことがあります。ほかの人も知っておくと安心ですが、基準は、窓口の担当者が知っている形で進めることです。担当者を飛ばして上の人や現場の人に話を持っていくと、担当者の立場を悪くすることがあります。

まず、担当者に「実際に使っておられる方に、使い勝手を伺ってもよろしいですか」と聞きます。会えなくても、名前と役割を教えてもらえたら、メモに残します。

ルート営業は、どんな人に向いている?

向き・不向きは、ここでは決めつけません。同じ「ルート営業」でも、扱う商品、回る件数、配達の有無、新規開拓を兼ねるかどうかで、仕事の中身が大きく違うからです。

気になる人は、仕事の中身を具体的に聞いてみてください。一日に回るお客様の数、移動の手段、訪問先でやること、記録のしかた、目標として見られる数字、の5つを聞くと、自分に合うかを考える材料になります。

訪問のたびに、手土産は要る?

毎回持っていくかどうかは、会社の慣例で決まります。年始のあいさつなど、持っていく場面と金額も、会社の慣例と相手のルールで決まります。先に上司へ聞いてください。確かめ方は手土産・接待の準備、渡すときの動きは手土産の渡し方にまとめています。

今日やることは一つです。明日訪問する一社について、前回の約束・今回聞くこと・次の訪問日を、訪問の前に書いておいてください。

営業の呼び名の整理は営業の種類、会社を相手にする仕事の進め方は法人営業とはにまとめています。

今のお客様の困り事をもう一段くわしく聞く進め方は、深耕営業とはにまとめています。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
明日の訪問先の一覧、前回の訪問メモ(または引き継ぎメモ)、注文や納品の記録。

記入例を見る(説明用)

訪問先と、前回訪問した日=A社(資材の担当・佐藤様)。前回は2週間前。実際に商品を使う方の名前は未確認/前回の約束=自分:B商品の見本を持っていく(今日、かばんに入れた)。相手:在庫の数を数えておく。最初に、この2つの結果から話す/今回、確かめる困り事=先月から納品の時間を午前に変えた。受け取りで困っていないかを聞く。「何かお困りのことは」とは聞かない/次までにやること=(訪問後に記入)月曜は荷物が重なって置き場が足りない、と聞いた。自分が、月曜の納品を別の曜日にできるか社内で確認し、金曜までに電話する。見本の感想は、次回の訪問で聞く/次の訪問日=2週間後の同じ曜日、午前中。帰る前に、佐藤様と声に出して確かめた。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

訪問の前に、前回の約束と今回聞くことが書いてあり、訪問の後に、次までにやること(誰が・いつまでに)と次の訪問日が記録されている。

うまく進まなかったときは?

前回のメモがなければ、先輩か前の担当者に「前回、何を約束しましたか」と聞く。困り事が聞き出せなければ、納品した物の使い方を一つ見せてもらう。次の訪問日が決まらなければ、「来週、お電話で日にちをご相談します」と連絡する日を決める。

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