NOTE 143 · 営業の実践ノート
「ご参考までに」の意味と使い方:見てほしいのか、見なくてもよいのかを一言足す
公開:2026年10月3日/更新:2026年10月4日
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「参考」は、辞書では「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料。」と説明されています。「ご参考までに」は、相手が考えを決めるときの手がかりとして、資料や情報を添える言い方です。相手に確認や返事を頼む言葉ではないので、見てほしい物や、返事がほしい物には、別の言葉を選びます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 資料を添えるときに「ご参考までに」と書いてよいか迷うとき。「ご参照ください」「ご確認ください」との違いが分からないとき。
- 1
添える資料や情報を、一つ決める
- 2
相手に何をしてほしいか(見なくてもよい・見てほしい・返事がほしい)を決める
- 3
合う言葉を選ぶ(ご参考までに/ご参照/ご確認/ご査収)
- 4
見てほしい所や期限があれば、一言足す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「ご参考までに」の意味:辞書で「参考」と「まで」を確かめる
提案のメールに資料を添えて、「ご参考までに」と書く。先輩のメールをまねて使っているけれど、相手にどう受け取られる言葉なのかは、よく分からない。そんなときは、言葉を二つに分けて確かめます。
まず「参考」です。辞書(コトバンク「参考」)のデジタル大辞泉は、「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料。」と説明しています。同じページの精選版 日本国語大辞典は、「いろいろ他のものとひきくらべて自分の考えを決める手がかりにすること。また、その手がかり。」です。
どちらの辞書も、「自分の考えを決める手がかり」と書いています。決めるのは本人で、参考にする物は、その手がかりです。「ご参考」は、相手が考えを決めるときの手がかり、という意味になります。
次に「まで」です。デジタル大辞泉の「迄」には、「動作・事柄がもうそれ以上には及ばず、それに限られる意を表す。」という意味が載っていて、「…だけ。」と言い換えられています(コトバンク「迄」)。用例の一つは「念のために聞いてみた迄だ」です。手紙の「まずはお礼まで」と同じ使い方で、こちらは「取り急ぎ」の使い方でくわしく説明しています。
二つを合わせると、「ご参考までに」は、「あなたが考えを決めるときの手がかりに、というだけの気持ちで(お伝えします・お送りします)」という言い方です。判断の助けとして資料や情報を添えるときに使います。「これを見て、こう決めてください」と求める言葉ではありません。
なぜ、この意味を知っておくのか。メールを受け取った人は、添付や情報を見て、「これは自分が見なければいけない物か」を判断します。「ご参考までに」と書かれていれば、「見なくても、話は進められる物」と受け取られることがあります。見てほしい物にこの言葉を付けると、読まれないことがある、という点が、この言葉でいちばん気をつける所です。
取引先や上司に使ってよいか
辞書の「参考」「迄」の語釈には、使う相手を選ぶという説明はありません。文化庁の資料(文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁))にも、「ご参考までに」という言い方を取り上げた箇所は見当たりませんでした。取引先や上司に使ってはいけない、という公的な決まりは見当たらない、と言えます。
形を見ると、「ご参考までに」は「〜までに」で止まっていて、後ろに続く言葉で丁寧さが変わります。「ご参考までにお送りいたします」の「お送りいたします」は、「敬語の指針」が20ページで「両方の性質を併せ持つ敬語として「お(ご)……いたす」がある。」と説明している形です。相手を立てながら、丁重に述べています。敬語の種類は、尊敬語と謙譲語にまとめています。
決まりは無くても、相手や場面によって、受け取られ方は変わります。次の表は一例です。会社や相手の習慣があるときは、そちらに合わせてください。
| 相手 | 書き方(一例) | 気をつける所 |
|---|---|---|
| 取引先 | 「ご参考までに、資料をお送りいたします」 | 文の終わりまで書く。見てほしい物には使わない |
| 上司・先輩 | 「ご参考までに、先月の件数を添付いたします」 | 意見を言うときは、事実(数字・相手の言葉)を一緒に出す |
| 社内の同僚 | 「参考までに、前回の資料を付けます」 | チャットでは、「参考までに。」と短く止める形も使われる |
| 相手の質問に答えるとき | 使わない | 相手が求めた答えは「参考」ではない。答えとして書く |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
四つめが、見落としやすい所です。相手から「納期はいつですか」と聞かれて、「ご参考までに、◯月◯日の予定です」と答えると、相手は「これは正式な答えなのか、目安なのか」が分かりません。聞かれたことへの答えは、「◯月◯日にお届けできます」と答えとして書きます。まだ決まっていないなら、「確定ではありませんが、今の見込みは◯月◯日です。◯日までに、確定した日をご連絡します」と、目安であることと、いつ決まるかを書きます(説明用の例です)。
「ご参考までに」で止める形と、言い切る形
「ご参考までに」には、そこで文を止める形と、後ろに言葉を続けて言い切る形があります。次の表は一例です。
| 形 | 例 | 伝わり方 |
|---|---|---|
| 止める形 | 「資料を添付します。ご参考までに。」 | 短い。文の終わりの言葉が無いので、相手によっては、途中で切れたように見えることがある |
| 言い切る形(送る) | 「ご参考までに、資料をお送りいたします。」 | 何をするのかまで書いてある。取引先へのメールで使いやすい |
| 言い切る形(伝える) | 「ご参考までに申し上げますと、前回は三週間ほどかかりました。」 | 話の途中で、情報を足すときの前置き |
| 相手の役に立てばと願う形 | 「ご参考になれば幸いです。」 | 押しつけずに、役に立つことを願う |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
止める形は、誤りとは言えません。デジタル大辞泉の「迄」の補説には、「「まずはお礼まで」のように断定の助動詞を伴わないで用いることもある。」と書かれています。「です」などを付けずに止める使い方は、辞書にも載っている形です。
一方で、取引先へのメールでは、言い切る形のほうが、何をするのかが伝わります。「ご参考までに。」だけでは、何が参考なのか、添付なのか本文の数字なのかを、相手が探すことになります。迷ったら、「ご参考までに、◯◯をお送りいたします」と、物の名前まで書きます。
「ご参考になれば幸いです」の「幸い」は、デジタル大辞泉で「その人にとって望ましく、ありがたいこと。」と説明されています(コトバンク「幸い」)。「参考になれば、私にとってありがたい」という意味で、相手に何かを求めていません。「幸いです」の使い方は、「幸いです」の使い方にまとめています。
「ご参照ください」「ご確認ください」「ご査収ください」との違い
資料を添えるときの言葉は、ほかにもあります。違いは、相手に何を頼んでいるかです。辞書の語釈と並べます。
| 言葉 | 辞書の語釈(デジタル大辞泉) | 相手に頼んでいること | 合う場面(一例) |
|---|---|---|---|
| ご参考までに | 「何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料。」(「参考」) | 頼んでいない。手がかりとして添える | 見なくても話は進められる、補足の資料や情報 |
| ご参照ください | 「照らし合わせて、参考にすること。」(「参照」) | 別の物と照らし合わせて、見てほしい | 本文で説明した内容の、くわしい中身が別紙や別のページにあるとき |
| ご確認ください | 「はっきり認めること。また、そうであることをはっきりたしかめること。」(「確認」の1番目) | 合っているかを、確かめてほしい | 日程、金額、数量、議事録など、相手に確かめてもらう物 |
| ご査収ください | 「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること。」(「査収」) | よく調べて、受け取ってほしい | 見積書、請求書、納品書など、相手が調べて受け取る書類 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
出典は、コトバンク「参考」・コトバンク「参照」・コトバンク「確認」・コトバンク「査収」です。「参照」を、精選版 日本国語大辞典は「他のものと照らし合わせてみること。引きくらべて参考にすること。」と説明しています。
「参考」と「参照」は、字が似ていますが、語釈は違います。「参照」には「照らし合わせる」が入っています。本文と別紙、今回の資料と前回の資料のように、二つを見比べてもらうときの言葉です。「くわしくは、別紙の3ページをご参照ください」のように、どこを見ればよいかを一緒に書きます(説明用の例です)。
「ご確認ください」と「ご査収ください」は、相手に動きを頼む言葉です。この二つのくわしい使い方は、「ご確認のほど」の使い方と「ご査収ください」の使い方にまとめています。
見てほしいのか、見なくてもよいのかを書く:メールの例
資料を添える前に、相手にしてほしいことを、次の三つから選びます。
- 見なくても、話は進められる。補足や、興味があれば見てもらう物です。「ご参考までに」が合います。
- 決める前に、見てほしい。返事は要らないけれど、目を通してもらわないと、次の話がかみ合わない物です。「ご参考までに」だけでは弱いので、いつまでに、どこを見てほしいかを足します。
- 確かめて、返事がほしい。「ご確認ください」「ご査収ください」を使い、期限を書きます。「ご参考までに」は使いません。
次の文例は、すべて説明用の例です。[ ]と日付は、自分の案件に置き換えてください。
1. 見積書に、補足の資料を添える(見なくても進められる)
件名:[商品名]のお見積書の送付
A社 佐藤様
いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。
ご依頼いただいた[商品名]のお見積書を添付いたします。金額と数量をご確認のうえ、◯月◯日(◯)までにお返事をいただけますでしょうか。
あわせて、ほかのお客様での使い方をまとめた資料を、ご参考までにお送りいたします。社内でご説明される際に、お使いいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
見積書には「ご確認」と期限、補足の資料には「ご参考までに」と、言葉を分けています。相手は、返事が要るのは見積書だけだと分かります。
2. 打ち合わせの前に、見ておいてほしい資料を送る
件名:◯月◯日のお打ち合わせの資料
A社 佐藤様
いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。
◯月◯日(◯)のお打ち合わせでご説明する資料を、添付いたします。
当日は、2ページ目の「導入の流れ」を中心にお話しします。お時間がありましたら、2ページ目だけでも、事前にご覧いただけますと幸いです。
3ページ目からの事例は、ご参考までに付けております。
どうぞよろしくお願いいたします。
3. 上司に、判断の材料を添える
[上司の名前]課長
お疲れ様です。[氏名]です。
A社へのお見積もりの件で、ご相談です。佐藤様から、納期を一週間早められないかとのご要望がありました。お受けしてよいか、ご判断をお願いします。
ご参考までに、前回、同じ商品を納めたときの日程表を添付いたします。発注から納品まで、三週間かかっています。
上司に頼んでいるのは「判断」で、日程表は、その手がかりです。頼みごとを先に書き、「ご参考までに」は後に置いています。
言い方を比べる
- 惜しい例1:「お見積書を、ご参考までにお送りします」(返事がほしいのに、「参考」と書いている)
- 惜しい例2:「資料を3点添付します。ご参考までに。」(どれが何の資料か、見てほしい物があるのかが分からない)
- 良い例:「お見積書を添付いたします。◯月◯日(◯)までにお返事をいただけますでしょうか。事例の資料は、ご参考までにお送りいたします」
3つとも説明用の例です。惜しい例1は、相手が「見るだけでよい物」と受け取り、返事が来ないことがあります。惜しい例2は、3点のうち、どれかに大事な物が入っていても、まとめて「参考」になってしまいます。良い例は、返事がほしい物と、手がかりとして添える物を、別の文に分けています。
迷いやすい判断と、間違えたあと
判断1:だいたいの金額を、「ご参考までに」と伝えてよい?
基準は、相手が、その数字を何に使うかです。相手は、聞いた金額を上司に伝えたり、予算に入れたりすることがあります。「ご参考までに」と付けても、数字は数字として残ります。
だいたいの金額を伝えてよいかどうかは、会社の方針によるので、先に先輩か上司に確かめます。伝える場合は、「正式な金額ではありません。条件を確認したうえで、◯月◯日(◯)までに、お見積書でお伝えします」と、正式ではないことと、正式な数字がいつ出るかを一緒に書きます(説明用の例です)。見積書を出す前の確認は、見積書を送る前に確認する7項目にあります。
判断2:上司に意見を言うとき、「ご参考までに」と付けると、えらそうに聞こえる?
付けてはいけない、という決まりは見当たりません。受け取られ方は、添える中身で変わります。自分の感想だけを「ご参考までに」と添えると、相手は、何を手がかりにすればよいのかが分かりません。お客様の言葉、件数、日付のように、事実を添えます。
「ご参考までに、今週の訪問で、同じ質問を2社から受けました」のような形です(説明用の例です)。事実が入っていれば、相手は判断の材料として使えます。伝え方の順番は、報連相とはにまとめています。
判断3:「ご参考までに」と書かれた資料が届いたら、返事は要る?
相手は、返事を求めてはいません。ただ、送った人は、届いたかどうかを気にしていることがあります。基準は、ほかに返事をする用件があるかどうかです。同じメールに質問やお願いがあれば、その返事の中で「資料もありがとうございます。社内の説明で使わせていただきます」と一言足します(説明用の例です)。
資料だけが届いたときに返すかどうかは、相手との関係や、会社の習慣で決めます。返信の組み立ては、ビジネスメールの返信にまとめています。
失敗1:大事な変更を「ご参考までに」と書いて送り、読まれていなかった
その場では:納期や仕様の変更のように、相手に知っておいてもらわないと困ることを「ご参考までに」で送ってしまったときは、気づいた時点で、もう一度伝えます。「先日お送りした資料のうち、納期の変更について、あらためてご連絡します。◯月◯日から◯月◯日に変わります。ご確認をお願いいたします」と、何が変わるのかを本文に書きます(説明用の例です)。添付を見てもらう形にしません。
後の記録:「変更の知らせを、参考の資料と同じ文で送った。次からは、相手の予定に関わることは、本文に書いて『ご確認ください』にする」と書きます(説明用の例です)。
失敗2:「ご参考までに」と伝えた数字を、正式な回答として受け取られた
その場では:相手が、その数字で社内の話を進めていると分かったら、すぐ上司に報告します。いつ、どの数字を、どんな言葉で伝えたかを、メールを見ながら伝えます。相手への連絡は、上司と決めてからにします。正式な数字との差が小さくても、自分だけで「大丈夫だろう」と決めません。
後の記録:「目安の金額を、『ご参考までに』だけで伝えた。次からは、正式ではないことと、正式な数字を出す日を、同じ文に書く」と書きます(説明用の例です)。おわびの伝え方は、お詫びメールの書き方にあります。
今日やることは一つです。これから資料を添えるメールを一通決め、相手にしてほしいことを三つの中から選んでから、一文を書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
これから送るメールの下書きと、添える資料。相手に頼みたいこと(確認・返事・期限)が分かるメモ。職場の先輩が同じ相手へ送ったメール(言葉づかいを見るため)。
記入例を見る(説明用)
送る相手と、添える資料や情報=A社の佐藤様。見積書と、ほかのお客様での使い方をまとめた一枚の資料/相手にしてほしいこと=見積書は、金額と数量を確かめて、返事がほしい。使い方の資料は、見なくても見積もりの検討は進められる。上司の方へ説明するときに使えそうなので添える/選んだ言葉と、選んだ理由=見積書には「ご確認」。確かめてもらう物だから。使い方の資料には「ご参考までに」。考えを決める手がかりとして添えるだけだから/メールに書く文=「お見積書を添付いたします。金額と数量をご確認のうえ、◯月◯日(◯)までにお返事をいただけますでしょうか。あわせて、ほかのお客様での使い方をまとめた資料を、ご参考までにお送りいたします。社内でご説明される際に、お使いいただければ幸いです。」/読み返して直した所=最初は、二つとも「ご参考までにお送りします」と書いていた。見積書のほうは返事がほしいので、「ご確認」に直し、期限を足した。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
添える物ごとに、相手にしてほしいことが決めてあり、返事や確認がほしい物に「ご参考までに」を使っておらず、見てほしい所や期限が書いてある。
うまく進まなかったときは?
相手にしてほしいことが決まらなければ、「この資料を見なかった場合、相手は困るか」を考える。困るなら「ご確認ください」と、見てほしい所を書く。言葉づかいで迷ったら、先輩が同じ相手に送ったメールを見る。