NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 89 · 営業の実践ノート

「取り急ぎ」の意味と使い方:「ご連絡まで」と書いたら、続きの連絡の日を決める

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「取り急ぎ」は、急いで、まず要点だけを伝えるときの言葉です。辞書には「いそぎ」を強めていう語とあります。「取り急ぎご連絡まで」と書くと、相手には「急いでいる」「今はここまで」の2つが伝わります。だから、書いたら、続きの連絡をいつ入れるかまで決めておきます。

今日できるようになること

「取り急ぎ」と書こうとしているメール一通について、続きの連絡で伝えることと日を決め、本文に書き入れる。

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こんなときに 資料を受け取った連絡や、途中の報告を急いで送りたいとき。「取り急ぎ」と書いてよい相手かどうか迷うとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    今すぐ伝えることと、後で伝えることを分ける

  2. 2

    相手と内容を見て、「取り急ぎ」か「まずは」かを選ぶ

  3. 3

    「〜まで」で止めるか、言い切るかを決める

  4. 4

    続きの連絡の日を本文に書き、予定表にも書く

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「取り急ぎ」の意味:急いで、まず要点だけ

取引先から資料が届いた。中身はまだ読めていないが、受け取ったことだけは早く伝えたい。そういうときに「取り急ぎご連絡まで」と書きかけて、「これは失礼にならないだろうか」と手が止まることがあります。

まず、言葉の意味を辞書で確かめます。デジタル大辞泉(コトバンク)の「取急ぎ」には、「「いそぎ」を強めていう語。手紙文に用いる。」とあり、用例に「取り急ぎ一筆申し上げます」が挙がっています。動詞の「取急ぐ」は、精選版 日本国語大辞典(コトバンク)に「たいへんに急いでする。」とあります。

つまり「取り急ぎ」は、「たいへん急いで」という意味の、手紙やメールで使う言葉です。「とりあえず」とは別の言葉ですが、意味は近く、辞書の用例も似ています。デジタル大辞泉の「取り敢えず」は、「ほかのことはさしおいて、まず第一に。なにはさておき。」で、用例に「取り敢えずお礼まで」があります。

「〜まで」も見ておきます。デジタル大辞泉の「迄」には、「動作・事柄がもうそれ以上には及ばず、それに限られる意を表す。」という意味が載っています。補説には、「「まずはお礼まで」のように断定の助動詞を伴わないで用いることもある。」とあります。

合わせると、「取り急ぎご連絡まで」は、「急いで、連絡だけをします。今はここまでです」という意味になります。相手には、「急いでいる」と「今はここまで」の2つが伝わります。「今はここまで」と読んだ相手は、続きがあるものと考えます。この記事の中心は、ここです。

では、失礼に当たるのでしょうか。上の辞書の語釈は、失礼かどうかには触れていません。文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)にも、「取り急ぎ」という言葉は出てきません。同じ指針は、35ページで、「自分の基準だけで,相手や第三者の言葉遣いが丁寧過ぎる,あるいは逆に,失礼だなどということは決められない。」と述べています。この記事でも、失礼かどうかを決めつけず、語釈から言える範囲で、使い分けの目安を書きます。

使う場面と、避けたほうが無難な場面

語釈からは、「取り急ぎ」が合うのは、急いで伝える理由があり、続きが後にある連絡だと言えます。次の表は、分け方の一例です。会社や相手の習慣で変わります。

場面使うか理由と、書き方(一例)
資料・見積依頼・注文を受け取った連絡合う中身の確認は後。受け取ったことを先に伝え、回答の日を書く
日程の変更や、納期に関わる速報合う早く知らせることが相手の助けになる。くわしい説明の日を書く
社内の上司への途中の報告合う(職場の習慣による)結論が出る前に、分かっていることを伝える。次の報告の時刻を書く
お礼避けたほうが無難「急いで」「これだけ」と読まれることがある。「まずはお礼申し上げます」にする
おわび避けたほうが無難同じ理由。「まずはお詫び申し上げます」にし、原因と対応は改めて伝える
続きの予定がない連絡付けない「今はここまで」と書くと、相手は続きを待つ。ふつうの連絡として書く
初めてやり取りする相手言い切る形にする相手の習慣が分からないので、「〜まで」で止めない

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

お礼とおわびで、避けたほうが無難な理由

辞書の用例に「取り敢えずお礼まで」があるとおり、お礼を「〜まで」で結ぶ書き方は、手紙で使われてきた形です。誤りではありません。

ただ、語釈に沿って読めば、「取り急ぎ」は急いですること、「まで」は「それに限られる」ことを表します。お礼やおわびは、気持ちを伝えることが中心の連絡です。そこに「急いで」「これだけ」が付くと、十分でない、間に合わせの連絡だと受け取る人がいます。受け取り方に幅がある言葉は、お礼とおわびでは使わないほうが、迷いが減ります。

お礼のメールに入れる中身は営業のお礼メール、おわびの順番はお詫びメールの書き方にまとめています。

取引先や上司に使ってよいかを決める3つ

  1. 続きがあるか。後で伝えることと、その日が言えるなら、使えます。言えないなら、付けません。
  2. 中身が、連絡か報告か。事実を早く伝える連絡や報告に合います。お礼・おわび・お願いが中心なら、ほかの言い方にします。
  3. 相手や職場が、ふだん使っているか。相手のメールや、先輩が取引先へ送ったメールを見ます。使われていれば、その相手には通じる形です。分からなければ、「まずは」と言い切る形を選びます。

「〜まで」で止める書き方と、言い切る書き方

「取り急ぎご連絡まで」は、「まで」で文が止まっています。辞書の補説にあるとおり、「です」などを付けずに止める使い方は、以前からある形です。一方で、文の終わりの言葉がないので、途中で切れたように見えることがあります。

言い切る書き方は、「いたします」「申し上げます」まで書く形です。次の表に、並べます。

「〜まで」で止める形言い切る形(一例)「まずは」に言い換えた形(一例)
取り急ぎご連絡まで取り急ぎ、ご連絡いたしますまずはご連絡申し上げます
取り急ぎご報告まで取り急ぎ、ご報告いたしますまずはご報告申し上げます
取り急ぎお礼まで(お礼には「取り急ぎ」を付けない)まずはお礼申し上げます

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

選び方の目安です。社内や、やり取りの多い相手で、相手も「〜まで」を使っているなら、止める形でも通じます。社外の相手、初めての相手、改まった用件では、言い切る形にします。言い切る形は、どの相手にも使えるので、迷ったらこちらを選びます。

どちらの形でも、次の一文が要ります。「くわしくは、◯月◯日(◯)に改めてご連絡いたします」です。「取り急ぎ」は「今はここまで」と伝える言葉なので、「続きは、いつ」が書かれていないと、相手は待つ日数が分かりません。

言い換えと、メールの例

言い換えに使いやすいのは、「まずは」です。「まず」は、デジタル大辞泉に「とりあえず。ともかく。何はともあれ。」という意味が載っています。「先に」という意味は同じで、「急いで」という意味が入っていません。そのため、お礼やおわびにも使いやすい言い方です。

  • 連絡:「まずはご連絡申し上げます」「先に、受領のご連絡をいたします」
  • 報告:「まずはご報告申し上げます」「現時点で分かっていることを、ご報告いたします」
  • お礼:「まずはお礼申し上げます」「まずは、メールにてお礼申し上げます」
  • おわび:「まずはお詫び申し上げます」

以下の例は、すべて説明用の例です。[ ]と◯は、自分の内容に置き換えます。

例1:資料を受け取った連絡(取引先へ)

惜しい例:

「資料、受け取りました。取り急ぎご連絡まで」

惜しい例は、受け取ったことは伝わります。けれども、相手が知りたい「回答はいつ来るのか」が書かれていません。

良い例:

件名:Re: お見積もりのご依頼(資料を受領しました)

「[会社名] [担当者名]様」

「いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。」

「お見積もりのご依頼と、仕様書を受け取りました。ありがとうございます。」

「取り急ぎ、受領のご連絡をいたします。お見積もりは、社内で確認のうえ、◯月◯日(◯)の午前中に、改めてお送りいたします。」

「よろしくお願いいたします」

良い例は、今伝えること(受け取った)と、後で伝えること(見積と、その日)が分かれています。相手は、◯日の午前まで待てばよいと分かり、ほかの予定を組めます。挨拶の書き方は、「お世話になっております」の使い方にまとめています。

例2:訪問のお礼(取引先へ)

惜しい例:「本日はありがとうございました。取り急ぎお礼まで」

良い例:「本日は、お時間をいただき、ありがとうございました。現場の写真を見せていただいたおかげで、設置する場所の広さが分かりました。まずはお礼申し上げます。お約束の資料は、◯月◯日(◯)までにお送りいたします」

惜しい例は、お礼が一文で、「急いで、これだけ」で終わっています。良い例は、何がありがたかったのかを一つ書き、「まずは」で結び、次にやることと日を書いています。

例3:上司への途中の報告(社内)

良い例:「A社の納期の件、取り急ぎご報告します。先方の希望は◯月◯日(◯)です。工場の回答は、今日の15時に出ます。回答が出たら、もう一度ご報告します」

社内の報告では、結論が出る前でも、分かっていることを早く伝えるほうが、上司は次の手を考えられます。ここでも、次の報告の時刻を言っています。報告の順番は、報連相とはにまとめています。

迷いやすい判断

判断1:「取り急ぎ」と「とりあえず」は、どう違う?

辞書では、「取急ぎ」に「手紙文に用いる」と書かれています。「取り敢えず」には、その説明がありません。メールでは、書き言葉の「取り急ぎ」か、「まずは」を選ぶと、文の調子がそろいます。「とりあえずご連絡します」と書きそうになったら、「まずはご連絡いたします」に置き換えます。

判断2:続きの連絡が要らないときは?

「取り急ぎ」を外します。基準は、後で伝えることが、一つでも言えるかです。言えないのに付けると、相手は続きを待ち、こちらは続きを送らない、という行き違いになります。

連絡がそれで終わるなら、「ご連絡いたします」「以上、ご報告いたします」と、ふつうに結びます。結びの選び方は、ビジネスメールの締めにまとめています。

判断3:件名に「取り急ぎ」と書いてよい?

件名は、相手が後でメールを探すときの手がかりです。「取り急ぎご連絡」だけでは、何の件かが分かりません。件名には用件を書きます。「お見積もりのご依頼(資料を受領しました)」のように、何の件で・今どうなったかを書くと(説明用の例です)、「取り急ぎ」と書かなくても、速報だと伝わります。件名の付け方は、ビジネスメールの書き方にまとめています。

判断4:相手から「取り急ぎご連絡まで」と届いたら?

相手は、「今はここまで。続きは後で」と伝えています。続きの日が書かれていれば、その日まで待ちます。書かれておらず、こちらの段取りに関わるなら、聞いて構いません。

「ご連絡ありがとうございます。社内の手配の都合で伺いたいのですが、くわしい内容は、いつごろいただけそうでしょうか」と、聞く理由を添えます(説明用の例です)。理由があると、相手は、急かされたのではなく、段取りのために聞かれたと分かります。

判断5:上司から「取り急ぎは使うな」と言われたら?

その職場では、それに合わせます。言葉の受け取り方は、人や会社で違います。「まずは」と言い切る形に変えれば、伝える中身は変わりません。理由を知りたいときは、「次から気をつけます。お客様によって、使い分けたほうがよい言葉は、ほかにもありますか」と聞くと(説明用の例です)、ほかの言葉の習慣も教えてもらえます。

送ったあと:続きの連絡と、間違えたとき

「取り急ぎ」と書いて送ったら、仕事は半分残っています。送った直後に、次の3つをやります。

  1. 続きの連絡の日を、予定表に書く。本文に書いた日と同じ日です。頭の中だけに置くと、ほかの用件に押されて抜けます。
  2. その日までにやることを、前の日の予定にも書く。上司への確認や、社内の回答待ちなどです。
  3. 間に合わないと分かったら、約束の日に、途中の状況を送る。「◯日とお伝えしておりましたが、社内の確認が終わっておりません。◯日(◯)の午前中にお送りいたします。申し訳ございません」と、新しい日を書きます(説明用の例です)。

相手は、こちらが書いた日を前提に、自分の予定を組んでいることがあります。黙って過ぎるより、約束の日に途中の状況が届くほうが、相手は次の予定を組み直せます。

失敗1:お礼のメールを「取り急ぎお礼まで」で送ってしまった

その場では:言葉を直すためだけのメールは送りません。次の連絡(約束した資料を送るときなど)の冒頭で、「先日は、お時間をいただきありがとうございました」と、もう一度、具体的にお礼を書きます。

後の記録:「お礼は『まずはお礼申し上げます』で結ぶ」と、次に書く形で残します。

失敗2:続きの連絡を、忘れていた

その場では:気づいた時点で、すぐ送ります。「◯月◯日にご連絡した件の続きを、お送りできておりませんでした。申し訳ございません」と一文でおわびし、その下に、続きの中身を書きます。言い訳は足しません。まだ中身が出せないなら、出せる日を書きます。

後の記録:何が抜けたのかを書きます。「続きの日を、予定表に書いていなかった」のような形です。上司にも、遅れたことと、送った内容を伝えます。伝え方は、営業で失敗したときにまとめています。

失敗3:急いで送った内容に、誤りがあった

その場では:相手がその内容で動く前に、訂正を送ります。件名に【訂正】と入れ、「先ほどお送りした納期に、誤りがありました。正しくは◯月◯日(◯)です。申し訳ございません」と、どこが・どう変わるかを書きます(説明用の例です)。

後の記録:急ぐ連絡ほど、数字と日付を、元の資料と見比べてから送る、と手順に足します。急いで伝えるのは「受け取った」「分かっていること」までにして、確かめていない数字は、続きの連絡に回します。

今日やることは一つです。「取り急ぎ」と書こうとしているメール一通について、続きの連絡で伝えることと日を決め、本文に書き入れてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
これから送るメールの下書き。予定表(続きの連絡の日を書き込むため)。

記入例を見る(説明用)

今すぐ伝えること=[会社名]の[担当者名]様から届いた見積依頼の資料を、受け取ったこと/後で伝えることと、その日=見積の金額と納期。社内で確認が要るので、◯月◯日(◯)の午前中に送る/相手と、選んだ言い方=初めてやり取りする取引先。相手のメールは「まで」で止める書き方をしていない。「取り急ぎ」は使うが、言い切る形にする/結びの一文=「取り急ぎ、受領のご連絡をいたします。お見積もりは、◯月◯日(◯)の午前中に、改めてお送りいたします」/続きの連絡を予定表に書いたか=◯日の9時に「A社へ見積を送る」と書いた。前の日の夕方に「金額を上司に確認する」も書いた。間に合わないと分かったら、◯日の朝に、途中の状況と新しい日を連絡する。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

今すぐ伝えることが一つにしぼってあり、後で伝えることと日が本文に書いてあり、その日が予定表にも書いてある。

うまく進まなかったときは?

後で伝えることが思いつかなければ、「取り急ぎ」を外して、ふつうの連絡として書く。続きの日が決められなければ、上司に「A社への回答は、いつごろ出せそうでしょうか」と聞き、聞いた日を書く。相手に使ってよいか迷ったら、「まずは」と言い切る形にする。

NEXT NOTE

次に読むなら

「お手数をおかけしますが」の使い方を確かめる「幸いです」の使い方を確かめるメールの返信の順番を決める