NOTE 82 · 営業の実践ノート
「ご査収ください」の意味と使い方:使ってよい場面・言い換え・返事の文例
公開:2026年10月3日
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「ご査収ください」は、「中身をよく調べて、受け取ってください」というお願いの言葉です。見積書や請求書のように、相手に確かめてもらう物を送るときに使います。添付や同封の物がない連絡には合いません。この記事では、使ってよい場面、言い換え、受け取った側の返事を、文例と一緒に説明します。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 見積書や請求書を送るメールで、「ご査収ください」と書いてよいか迷うとき。
- 1
送る物を開いて、宛名・金額・日付を確かめる
- 2
何を・いくつ送るかを、本文に書く
- 3
相手にしてほしいことに合う言葉を選ぶ
- 4
送る直前に、添付や同封の物をもう一度見る
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
「ご査収ください」の意味:よく調べて、受け取ってください
見積書を送るメールの最後に、先輩が「ご査収ください」と書いている。意味はよく分からないまま、同じように書いている。営業を始めたころに、よくある場面です。意味が分かっていないと、添付のない連絡にも同じ言葉を書いてしまいます。
「査収」は「さしゅう」と読みます。辞書(コトバンク「査収」)を引くと、デジタル大辞泉は「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること。」と説明し、例に「どうぞ御査収下さい」を挙げています。同じページの精選版 日本国語大辞典は「金額、品物、書類などをよく調べて受け取ること。」としています。
つまり「ご査収ください」は、「中身をよく調べて、受け取ってください」というお願いです。「送りました」という知らせではありません。相手に「調べる」という動きを頼んでいます。
敬語の形も見ておきます。文化審議会の答申「敬語の指針」は、40ページで「「御利用くださる」は尊敬語である」と説明しています。「ご査収ください」も、同じ「ご……くださる」の形に「査収」を入れた言い方です。相手の動きを高めて言う形なので、取引先に使えます。敬語の種類は、尊敬語と謙譲語にまとめています。
なぜ、この意味を知っておくのか。相手は、書類を受け取ると、金額や数量が頼んだとおりかを確かめてから、社内の手続きに回します。「ご査収ください」は、その確かめをお願いする言葉です。確かめる物がないのに書くと、相手は「何を調べればよいのか」と、添付を探すことになります。
使ってよい場面と、合わない場面
基準は一つです。相手が調べて受け取る物を、一緒に送っているか。次の表は、場面ごとの一例です。会社で決まった文面があるときは、そちらに合わせてください。
| 場面 | 「ご査収ください」 | 理由と、代わりの書き方(一例) |
|---|---|---|
| 見積書・請求書・納品書を、添付や同封で送る | 合う | 金額・数量・日付など、相手が調べる中身がある |
| 契約書の案や申込書を送る | 合う | 条件を確かめてもらう書類。どこを見てほしいかも書く |
| 会社案内や商品の資料を送る | 使えるが、「ご確認ください」「ご覧ください」でも足りる | 調べるというより、読んでもらう物。相手に何をしてほしいかで選ぶ |
| 添付も同封もない連絡(日程のお知らせ、お礼など) | 合わない | 受け取る物がない。「ご確認ください」と書く |
| 返事や判断がほしい | この言葉だけでは足りない | 受け取りをお願いする言葉で、返事を頼む言葉ではない。「◯月◯日(◯)までにご返信ください」と書き足す |
| お礼の品や手土産を渡す | 合いにくい | 調べてもらう物ではない。「お受け取りください」と言う |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
つまずきやすいのは、下から2つめです。「ご査収ください」と書いて送り、返事を待っていたのに来ない。相手は、受け取って確かめた所で用が済んだと考えています。返事がほしいときは、何を・いつまでに、を別の文で書きます。締めの書き方は、ビジネスメールの締めにまとめています。
書類を送るときの手順は、次の4つです。
- 送る物を開いて、宛名・金額・日付を確かめる。相手に「よく調べて」と頼む前に、自分が調べます。相手が見つけた誤りは、こちらが確かめずに送ったことも一緒に伝えてしまいます。見積書の確かめ方は、見積書を送る前に確認する7項目にあります。
- 何を・いくつ送るかを、本文に書く。「見積書(PDF・1通)」のように書きます。相手は、届いた物と数を照らし合わせられます。書いていないと、足りない物があっても、相手は気づけません。
- 相手にしてほしいことに合う言葉を選ぶ。調べて受け取ってほしいなら「ご査収ください」。読んでほしいなら「ご確認ください」。返事がほしいなら、期限の一文を足します。
- 送る直前に、添付や同封の物をもう一度見る。添付の付け忘れと、別の相手のファイルを付ける間違いは、ここで止められます。
文例:メールと送付状
社名・人名・日付・書類は、どれも説明用の例です。[ ]と◯の所を、自分の案件に置き換えてください。
1. メールで見積書を送る
件名:【お見積書】[商品名]の件([自社名] [氏名])
[会社名] [部署名] [担当者名]様
いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。
◯月◯日(◯)にご依頼いただきました[商品名]の見積書(PDF・1通)を、添付にてお送りいたします。
納期は◯月◯日(◯)、見積書の有効期限は◯月◯日(◯)です。
ご査収のほどよろしくお願いいたします。
ご不明な点がございましたら、[氏名]までご連絡ください。
何の見積書か、いくつ送ったか、どこを見てほしいか(納期と有効期限)を書いてから、「ご査収」で締めています。書き出しの決め方は、「お世話になっております」の使い方にあります。
2. 郵送の送付状に書く
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、下記の書類を同封にてお送りいたします。ご査収のほどよろしくお願いいたします。
敬具
請求書(◯月分) 1通
送付状では、同封した書類の名前と数を並べて書きます。「拝啓」と「敬具」の組み合わせや、「時下」などの挨拶の選び方は時候の挨拶、送付状全体の作り方は送付状の書き方にまとめています。
3. 惜しい例と、良い例
惜しい例1:「次回のお打ち合わせは、◯月◯日(◯)14時からでお願いいたします。ご査収ください。」(添付なし)
惜しい例2:「資料を添付します。ご査収ください。」
良い例:「◯月◯日(◯)にご依頼いただいた件の見積書(PDF・1通)を添付いたします。数量は◯個、有効期限は◯月◯日(◯)です。ご査収のほどよろしくお願いいたします。」
3つとも説明用の例です。惜しい例1は、受け取る物がありません。相手は添付を探し、「付け忘れではないか」と問い合わせることになります。「ご確認ください」が合います。
惜しい例2は、間違いではありません。ただ、何の資料か、いくつあるか、どこを見ればよいかが分かりません。良い例は、いつの依頼か、何を何通か、見てほしい数字が入っています。相手は、その数字から調べ始められます。
言い換えと、「ご査収のほどよろしくお願いいたします」
「ご査収のほどよろしくお願いいたします」は、「ご査収ください」と頼んでいる中身は同じです。辞書(コトバンク「程」)のデジタル大辞泉は、「ほど」の使い方の一つを「(「…のほど」の形で)断定を避け、表現をやわらげるのに用いる。」と説明しています。言い切りをやわらげた形です。
言い換えは、相手に頼む動きで選びます。次の表は一例です。
| 言い方 | 相手に頼んでいること | 合う場面(一例) |
|---|---|---|
| ご査収ください | 中身を調べて、受け取る | 見積書・請求書など、数字や条件のある書類 |
| ご査収のほどよろしくお願いいたします | 同じ(言い切りをやわらげた形) | あらたまった相手へのメール、送付状 |
| ご確認ください | 内容を確かめる | 添付がなくても使える。日程、文面、資料 |
| ご確認のほどよろしくお願いいたします | 同じ(言い切りをやわらげた形) | 確認を頼むメールの締め |
| お受け取りください | 受け取る | 品物、控えの書類、手渡しの物 |
| ご覧ください | 見る・読む | 案内、参考の資料 |
| ご検討ください | 考えて、判断する | 提案や見積もりへの判断を頼むとき。「査収」とは頼む中身が違う |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
「ご査収ください」と「ご査収のほどよろしくお願いいたします」のどちらが正しい、ということはありません。相手が先に書いてきた形や、先輩がその相手に書いている形に合わせます。
惜しい例:「見積書を添付いたします。ご査収のほど、ご確認ください。」
良い例:「見積書を添付いたします。ご査収のほどよろしくお願いいたします。」
説明用の例です。「査収」に「調べる」意味が入っているので、惜しい例は同じお願いを二度しています。ていねいにしようとして言葉を重ねると、かえって読みにくくなります。お願いは一文に一つにします。
受け取った側の返事
自分が「ご査収ください」と書かれたメールを受け取ることもあります。返事では、受け取ったことと、中身を確かめたかどうかを分けて書きます。送った人は、「届いたか」と「合っていたか」の両方を知りたくて待っているからです。
確かめ終えたとき:「見積書を受け取りました。内容を確認し、問題ございません。社内で検討のうえ、◯月◯日(◯)までにお返事いたします。」
まだ確かめていないとき:「請求書を受け取りました。内容は◯月◯日(◯)までに確認し、不明な点があればご連絡いたします。」
違いを見つけたとき:「見積書を拝受しました。数量が、お願いした◯個ではなく◯個になっているようです。ご確認いただけますでしょうか。」
3つとも説明用の例です。「拝受」は、辞書(コトバンク「拝受」)のデジタル大辞泉で「受けること、受け取ることをへりくだっていう語。」と説明されています。自分が受け取ったことを、相手に伝えるときに使えます。「受け取りました」でも、失礼にはなりません。
「査収しました」と返す人もいます。ただ、「受け取りました」「確認しました」と分けて書いたほうが、どこまで済んだかが相手に伝わります。まだ中身を見ていないのに「確認しました」と書くと、後で誤りに気づいたときに言い出しにくくなります。
返信全体の型はビジネスメールの返信、「了解しました」と書いてよいかは「了解しました」の敬語にまとめています。
迷いやすい判断と、間違えて送ったとき
判断1:資料を送るだけのとき、「ご査収」と「ご確認」のどちら?
基準は、相手が照らし合わせる数字や条件があるかです。金額、数量、日付、契約の条件があれば「ご査収」。読んでもらう案内や参考の資料なら「ご確認ください」「ご覧ください」で足ります。
どちらを書いても、大きな失礼にはなりません。迷って手が止まるなら、「ご確認ください」を選び、何を見てほしいかを一文足します。そのほうが、相手は動きやすくなります。
判断2:社内の上司や先輩に、使ってよい?
使って間違いではありません。ただ、社内では「確認をお願いします」と書く職場が多く、「ご査収ください」は硬く見えることがあります。基準は、その職場の人がどう書いているかです。
分からないときは、先輩に「課長へ資料を出すとき、メールの締めはどう書いていますか」と聞きます。自分の案を添えて、「『ご確認をお願いします』と書くつもりです」と言うと、相手は「それでいい」と答えるだけで済みます。
判断3:「ご査収ください」と送ったのに、返事が来ないときは?
先に、自分のメールを読み返します。返事をお願いする文と期限が、書いてあったかどうかです。書いていなければ、相手は返事が要るとは思っていません。
その場合は、催促ではなく、お願いを足す連絡をします。「先日お送りした見積書について、進めてよいかを、◯月◯日(◯)までにお知らせいただけますでしょうか」(説明用の例です)。期限を書いていたのに来ないときの書き方は、催促メールの書き方にあります。
失敗1:添付を付け忘れて送った
その場では:気づいた時点で、すぐに送り直します。件名に「再送」と入れ、本文は「先ほどのメールに、見積書の添付が漏れておりました。失礼いたしました。あらためて添付いたします」と短く書きます(説明用の例です)。相手から先に知らせが来たときも、同じ文で返します。
後の記録:「送る直前に、添付を開いて見る」を、自分の手順に書き足します。添付を先に付けてから本文を書く、という順番に変える方法もあります。
失敗2:古い版や、別の相手あての書類を添付した
その場では:自分だけで直そうとせず、先に上司へ報告します。別の会社あての書類には、その会社の名前や金額が入っているからです。上司と決めたうえで、相手には、誤って送ったこと、そのファイルを開かずに削除してほしいこと、正しい書類をあらためて送ることを伝えます。報告の順番は営業で失敗したとき、文面はお詫びメールの書き方にあります。
後の記録:何を、誰に、いつ送ったかと、相手にお願いした内容を書きます。次からは、ファイル名に相手の会社名と日付を入れ、添付するときに名前を声に出して読みます。
失敗3:添付のない連絡に、「ご査収ください」と書いた
その場では:用件が伝わっているなら、訂正だけのメールは送らなくて構いません。相手の受信箱を増やすだけになるからです。相手から「添付が見当たりません」と連絡が来たら、「添付はございません。書き方が紛らわしく、失礼いたしました」と答えます(説明用の例です)。
後の記録:前のメールを写して書いた、定型文を入れたままにした、など、なぜそう書いたかを一行で残します。原因が分かれば、次は締めの一文を書く前に「送る物があるか」を見られます。
今日やることは一つです。次に送る書類を一つ決め、何を・いくつ送り、相手にどこを見てほしいかを書いてから、締めの一文を選んでください。
結びの「ご確認のほどよろしくお願いいたします」は、「ご確認のほど」の意味と使い方にまとめています。
判断の助けとして資料を添えるときの言い方は、「ご参考までに」の意味と使い方にまとめています。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
送る書類(見積書・請求書・資料など)、相手とのこれまでのメール、先輩が同じ相手に送ったメールがあればその文面。
記入例を見る(説明用)
送る物=A社あての見積書(PDF・1通)。先週の打ち合わせで依頼を受けた分/相手に見てほしい所=数量と納期。有効期限は◯月◯日/相手にしてほしいこと=中身を確かめて受け取ってもらう。あわせて、進めてよいかの返事を◯月◯日(◯)までにもらいたい/締めの一文=「見積書(PDF・1通)を添付いたします。ご査収のほどよろしくお願いいたします。お手数ですが、◯月◯日(◯)までにご返信をいただけますと幸いです。」/送る前に確かめたことと、先輩に聞くこと=添付を開いて、宛名・金額・日付を見た。ファイル名にA社の名前と日付が入っている。上司をCCに入れるかは未確認。送る前に先輩に聞く。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
送る物の名前と数、相手に見てほしい所、相手にしてほしいことが書いてあり、それに合う締めの一文を選んで、添付や同封の物を送る前に開いて確かめてある。
うまく進まなかったときは?
「ご査収」と「ご確認」で迷ったら、相手に調べてもらう数字や条件があるかを見る。無ければ「ご確認ください」と書く。返事がほしいのに締めが決まらなければ、期限の一文を先に書く。会社の決まった文面があるか分からなければ、先輩に「見積書を送るときの決まった文面はありますか」と聞く。