NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 123 · 営業の実践ノート

「ご指導ご鞭撻」の意味と使い方:あいさつの結びで、これからの教えと励ましをお願いする

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「ご指導ご鞭撻」は「ごしどう ごべんたつ」と読みます。辞書は「指導」を「教え導くこと」、「鞭撻」を「努力するように励ますこと」と説明しています。あいさつの結びで、これから先の教えと励ましをお願いする言葉です。この記事では、辞書の語釈をもとに、形、使う場面と合わない場面、言い換え、メールと口頭の例を説明します。

今日できるようになること

次にあいさつをする場面を一つ決め、相手から何を教わるのかを書いたうえで、結びを「ご指導ご鞭撻」にするか言い換えるかを決め、声に出して確かめる。

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こんなときに 着任・異動・担当変更・年始・昇進のあいさつで、結びをどう言えばよいか迷うとき。「ご指導ご鞭撻」を使ってよい相手かどうか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    あいさつの場面と相手を決める

  2. 2

    その相手から、これから何を教わるのかを書く

  3. 3

    結びを「ご指導ご鞭撻」にするか、言い換えるかを決める

  4. 4

    声に出して確かめ、文書なら上司に見せる

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「ご指導ご鞭撻」の意味と読み

着任のあいさつや、年始の挨拶状の結びで、「今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」という一文を見かけます。決まり文句として覚えている人が多い言葉ですが、「鞭撻」が何を指すのかを聞かれると、答えにつまることがあります。先に、辞書で確かめます。「 」の中は、辞書の文をそのまま写したものです。

読みは、「指導」が「しどう」、「鞭撻」が「べんたつ」です。続けて「ごしどう ごべんたつ」と読みます。

デジタル大辞泉「指導」の1番目の語釈は、「ある目的・方向に向かって教え導くこと。」です。同じページの精選版 日本国語大辞典は、1番目に「教えみちびくこと。特に現代では、勉強・研究の方法などに関する助言を与えてみちびくこと。ガイダンス。」と書いています。

デジタル大辞泉「鞭撻」は、2つの意味を挙げています。

  • 1番目:「むちで打ってこらしめること。」
  • 2番目:「努力するように励ますこと。」(例として「御指導御鞭撻のほどお願い申しあげます」)

あいさつで使うのは、2番目の意味です。辞書は、この意味の例に、あいさつの形そのものを挙げています。精選版 日本国語大辞典は、2番目を「努力をおこたるなと強くはげますこと。」と説明しています。

二つを合わせると、「ご指導ご鞭撻」は、「教え導いてください。そして、努力を怠らないよう励ましてください」とお願いする言葉です。「鞭」の字を見て、「厳しく叱ってください」という意味だと受け取る人がいますが、辞書があいさつの例を置いているのは、「励ます」の意味のほうです。

あいさつの結びで使う形

辞書の例は、「御指導御鞭撻のほどお願い申しあげます」でした。実際のあいさつでは、前に「今後とも」、後ろに「よろしく」を足した、次の形がよく使われます。

「今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」

部品に分けると、次の表になります。

部品意味確かめた先
今後とも「今からのち。こののち。以後。」デジタル大辞泉「今後」
ご指導「ある目的・方向に向かって教え導くこと。」に「ご」を付けた形デジタル大辞泉「指導」
ご鞭撻「努力するように励ますこと。」に「ご」を付けた形デジタル大辞泉「鞭撻」
のほど後ろに「お願い」を続けるときの形「ご確認のほど」の記事
よろしくお願い申し上げますお願いの、あらたまった形「よろしくお願いいたします」の記事

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「今後とも」が付くことから分かるように、これは、これから先のことをお願いする言葉です。今日の用件のお願いではありません。そのため、文やスピーチの最後、結びの位置に置かれます。

教えるのは相手、教わるのは自分

「ご指導」の向きを、文化審議会答申「敬語の指針」(平成19年2月2日・文化庁)で確かめます。指針は、尊敬語の形の例に「指導する→御指導くださる」を挙げ(指針24ページ)、「くださる」について、「行為者から恩恵が与えられる」という意味も併せて表す、と説明しています(指針15ページ)。また、謙譲語Ⅰの形の例に「指導する→御指導いただく」を挙げ(指針27ページ)、「いただく」について、「恩恵を受けるという意味も併せて表す」と説明しています(指針17ページ)。

どちらの形でも、指導するのは相手で、それを有り難いこととして受けるのが自分です。あいさつの中で形を変えるときは、次のようになります。

  • お願いする:「ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」「ご指導くださいますよう、お願いいたします」
  • お礼を言う:「これまでご指導いただき、ありがとうございました」

使う場面と、合わない場面

これから先の教えと励ましをお願いする言葉なので、関係の節目のあいさつに合います。次の表は一例です。

場面相手結びに置く理由
着任・異動のあいさつ新しい部署の上司や先輩これから仕事を教わる関係が始まる
担当変更のあいさつ(後任として)引き継いだ取引先相手の会社のやり方を、これから教わる
年始のあいさつ上司、先輩、長く付き合いのある取引先一年の始まりに、これからの関係をお願いする
昇進・就任のあいさつ上司、社内の関係者、取引先新しい役目で、あらためて教えを受ける
スピーチの結び歓迎会や就任のあいさつを聞いている人たち話の終わりを、はっきり示せる

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

どの場面にも、「これから、この人たちに教わる」という事実があります。その事実があるから、言葉が形だけにならずに届きます。

反対に、次のような場面には合いにくい言葉です。

場面合いにくい理由代わりの結び(一例)
見積書の送付、日程の確認など、日々のメール今日の用件のお願いではないので、相手は何を頼まれたのか分からない「ご確認をお願いいたします」
価格や納期など、条件を話し合う連絡教える・教わるという関係の話ではない「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」
同じ相手への、毎回のメール節目の言葉を毎回使うと、節目で使ったときに伝わらなくなる「引き続き、よろしくお願いいたします」

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

場面ごとのあいさつ全体の組み立ては、異動の挨拶、担当変更の挨拶、新年の挨拶メールに文例があります。この記事では、結びの一文をどう決めるかを扱います。

結びの前に、「自分がやること」を一文入れる

「ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」だけで終えると、教えてもらうのを待っている人に見えることがあります。お願いの前に、自分がやることを一文入れます。次の3つは、着任のあいさつの結びを比べた、説明用の例です。

  • 惜しい例1:「何も分かりませんが、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。」
  • 惜しい例2:「ご指導ご鞭撻ご支援ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。」
  • 良い例:「まずは、お客様のお名前と商品を、一日も早く覚えます。至らない点は、その場で教えていただけますと幸いです。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。」

惜しい例1は、「何も分かりません」で始めているので、相手は、どこから教えればよいのかが分かりません。惜しい例2は、言葉を重ねすぎて、何をお願いしているのかがぼやけています。良い例は、自分がやることを先に言い、どう教えてほしいかも伝えています。聞いた人は、「気づいたら、その場で言えばよい」と分かります。

取引先に使ってよいか

「取引先に使ってよい」「使ってはいけない」を決めた公的な決まりは、見当たりませんでした。辞書の語釈にも、「敬語の指針」にも、相手を社内に限る、という記述はありません。そのため、言い切らずに、言葉の意味から考えます。

「ご指導ご鞭撻」は、相手に、教え導くことと励ますことをお願いする言葉です。使うと、相手を「教える側」に置くことになります。相手との関係が、その置き方に合うかどうかが、基準になります。

相手との関係選ぶ形(一例)理由
後任として担当する、付き合いの長い取引先ご指導ご鞭撻のほど/ご指導のほど相手の会社のやり方や、これまでの経緯を、相手から教わる立場になる
自分より経験の長い相手で、ふだんから助言をもらっているご指導のほど教わっている事実がある
条件を話し合っている最中の相手今後ともよろしくお願いいたします教える・教わるの関係を持ち出す場面ではない
初めて連絡する相手どうぞよろしくお願いいたしますまだ関係が始まっていない

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

表は一例で、会社や業界の習慣によって変わります。会社に挨拶状のひな形があれば、それに合わせます。迷うときは、先輩に次のように聞きます。「担当変更のあいさつの結びに、『ご指導ご鞭撻』を使ってよいでしょうか。前任の方は、この取引先にどう書いていましたか」(説明用の例です)。

言い換えと、メール・口頭の例

「ご指導ご鞭撻」は、重みのある言葉です。場面に合わせて、軽くした形や、中身を具体的にした形に言い換えられます。語釈は、デジタル大辞泉のものです。

言い換え元の言葉の語釈合う場面(一例)
ご指導のほど、よろしくお願いいたします指導:「ある目的・方向に向かって教え導くこと。」口頭のあいさつ。日ごろ教わっている相手
お導きください/お導きのほど導くの2番目:「正しい方向に手引きをする。指導する。」あらたまった挨拶状。スピーチ
ご助言をいただければ幸いです助言:「助けになるような意見や言葉を、そばから言ってやること。また、その言葉。」具体的な件について、意見がほしいとき
ご教示ください教示:「知識や方法などを教え示すこと。」知りたいことが決まっているとき

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「ご助言」「ご教示」は、今ある具体的な件について使える言葉です。これから先の関係をお願いする結びとは、働きが違います。「ご教示」の使い方は、「ご教示ください」の使い方にまとめています。「〜いただければ幸いです」の形は、「幸いです」の意味と使い方を見てください。

例を並べます。すべて説明用の例です。[ ]は、自分の内容に置き換えます。

メールの例:後任として、取引先へ送るあいさつの結び

[前任の氏名]からご連絡しましたとおり、◯月◯日(◯)より、貴社を担当いたします。

お見積もりの件は、[前任の氏名]から引き継いでおります。◯月◯日(◯)に、私からご状況を伺います。

貴社のお仕事の進め方を、一日も早く覚えてまいります。至らない点がございましたら、遠慮なくお聞かせください。

今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

進行中の件を、いつ、どうするかを書いた後に、結びを置いています。件名や宛名を含めたメールの全体は、担当変更の挨拶にあります。毎日顔を合わせる社内の上司への年始のあいさつなら、「本年も、ご指導のほど、よろしくお願いいたします」と、「ご鞭撻」を外した形でも足ります(説明用の例です)。

口頭の例1:着任の日に、新しい部署で言う

「本日から[部署名]に参りました、[氏名]です。前の部署では、[地域や商品]の営業を担当していました。」

「こちらの商品は初めてです。まずは、商品とお客様のお名前を、早く覚えます。」

「ご指導のほど、よろしくお願いいたします」

口頭では、短い形が聞き取りやすくなります。「ごべんたつ」は、言い慣れていないと、つかえやすい言葉です。朝礼のような短いあいさつなら、「ご指導のほど」で足ります。名乗りの組み立ては、簡単な自己紹介の例文にまとめています。

口頭の例2:昇進や就任のあいさつ(スピーチ)の結び

「このたび、[役職]を務めることになりました。」

「これまで、皆さんに教えていただいたことを、今度は、私が後輩に伝えていく番だと考えています。」

「力の足りない所は、これまでと同じように、率直に言っていただければと思います。」

「今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」

あらたまった場のスピーチでは、「ご指導ご鞭撻のほど」と言い切ると、聞いている人に、話が終わったことが伝わります。前の日に、3回、声に出して練習します。つかえるなら、「ご指導、ご鞭撻のほど」と、間に一拍おきます。

迷いやすい判断と、間違えたあと

判断1:「鞭撻」は、漢字で書く?ひらがなで書く?

会社の文書について、表記を決めた公的な決まりは見当たりません。手がかりとして、国の役所の文書の考え方を見ます。「鞭」と「撻」の二つの字は、常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)の本表を調べたかぎり、見当たりませんでした。

文化審議会建議「公用文作成の考え方」(令和4年1月7日)の解説は、「ご(御)」の書き方について、「常用漢字表にない漢字を含む語は仮名書きし「御」も仮名で書く」としています(解説12ページ・PDFの24枚目)。また、言い換えにくい語については、「常用漢字表にない漢字だけを平仮名書きにする、又は、その漢字をそのまま用いてこれに振り仮名を付ける。」という方法を挙げています(解説10ページ・PDFの22枚目)。この資料に、「鞭撻」そのものの例は載っていませんでした。

これは、国の役所の文書についての考え方です。会社のあいさつ文を縛る決まりではありません。辞書の例は、「御指導御鞭撻」と漢字で書いています。自分で決めるときは、会社のひな形、先輩の書き方の順に合わせます。手書きのときは、字を間違えやすいので、辞書を見ながら書きます。

判断2:部下や後輩に向けたあいさつでも、使う?

決まりは見当たりません。意味から考えます。この言葉は、相手に「教え導き、励ますこと」をお願いする言葉です。自分が教える立場になる相手に使うと、意味が合いにくくなります。部下や後輩に向けては、「力を貸してください」「気づいたことは、遠慮なく言ってください」のように、お願いしたいことを、そのまま言う形があります(説明用の例です)。上司も後輩も一緒に聞いている場のスピーチなら、全体へのあいさつとして「ご指導ご鞭撻のほど」で結ぶ形が使えます。

判断3:言ったあと、何をすればよい?

お願いした以上、教わる姿勢を、行動で見せます。着任から数日のうちに、教わりたいことを一つ決めて、自分から聞きます。「◯◯様への納品の手順を、一度、横で見せていただけますか。メモを取ります」のような聞き方です(説明用の例です)。あいさつの言葉と、その後の行動がそろうと、言葉が形だけでなかったことが伝わります。

間違えたあと1:口頭で、つかえた・言い間違えた

その場では:言い直して構いません。「失礼しました。ご指導のほど、よろしくお願いいたします」と、短い形に替えて言い切ります。あいさつで聞き手が受け取るのは、言葉の正確さより、最後まで言い切ったかどうかです。

後の記録:「『ごべんたつ』でつかえた。次からは、口頭では『ご指導のほど』にする。使うなら、前の日に3回、声に出す」と書きます(説明用の例です)。

間違えたあと2:日々のメールの結びに、毎回使っていた

その場では:送ったメールを訂正する必要はありません。相手に害が出る誤りではないからです。次のメールから、結びを、そのメールの用件に合わせます。結びの決め方は、ビジネスメールの締めにまとめています。

後の記録:「署名の定型文に入れていた。次からは、節目のあいさつのときだけ、自分で打つ」と書きます(説明用の例です)。

今日やることは一つです。次にあいさつをする場面を一つ決め、その相手からこれから何を教わるのかを書いて、結びの形を決めてください。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
次にあいさつをする場面の予定(日、相手、メールか口頭か)。先輩が書いた着任や年始のあいさつ文(あれば)。時間を計れる時計かスマートフォン。

記入例を見る(説明用)

あいさつの場面と、相手=◯月◯日の着任の日。新しい部署の朝礼で、課の全員の前で話す。口頭/その相手から、これから教わること=この部署の商品の知識と、お客様ごとの決まりごと。前の部署では扱っていなかった/結びに使う形(ご指導ご鞭撻/言い換え)と、理由=「ご指導のほど、よろしくお願いいたします」にする。口頭で「ごべんたつ」が言いにくく、朝礼は短いあいさつの場だから。書面の着任のあいさつでは「ご指導ご鞭撻のほど」を使う/結びの前に言う一文(自分がやること)=「一日も早く、お客様のお名前と商品を覚えます。」/声に出して確かめた結果と、見せる人=3回言って、つかえずに言えた。全体で目安の30秒ほど。書面のほうは、送る前に課長に見せる。

入力は自動保存されません。ページを移動する前に保存してください。保存した内容は他の人に自動送信されません。

CHECK

ここまでできたら、次へ。

あいさつの場面と相手、その相手から教わることが書いてあり、結びの形が理由と一緒に決まっていて、声に出して確かめてある。

うまく進まなかったときは?

相手から何を教わるのかが書けなければ、その相手は「教えてもらう相手」ではないのかもしれない。結びを「今後ともよろしくお願いいたします」に替える。口頭でつかえるなら、「ご指導のほど」に短くする。使ってよい相手か分からなければ、先輩に「このあいさつの結びは、どう書いていますか」と聞く。

NEXT NOTE

次に読むなら

異動の挨拶を準備する担当変更の挨拶を準備する自己紹介の例文で組み立てを確かめる