NOTE 153 · 営業の実践ノート
発注書とは:注文書との違いと、受け取ったとき・出すときに確かめること
公開:2026年10月4日
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発注書は、注文を出す側が、注文の条件を書いて相手に出す書類です。「注文書」と同じ意味で使われることが多く、呼び方は会社に合わせます。受け取ったら、見積書と並べて、品名・数量・単価・納期・納入場所・支払条件・発注番号・だれの名前で出ているかを見比べてから、手配に進みます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 取引先から発注書が届き、何を確かめてから手配すればよいか迷うとき。仕入先に発注書を出すことになったとき。
- 1
発注書を最後まで読み、発注番号と名前を控える
- 2
見積書と並べて、品名・数量・単価・納期・納入場所・支払条件を見比べる
- 3
違う所は自分で決めず、相手と社内に確かめる
- 4
受け取ったことと次の動きを、相手に返事する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
発注書とは:注文の内容を書いて、相手に出す書類
見積書を出した取引先から、「発注書を送りました」とメールが届いた。添付を開くと、題名は「発注書」。先輩は「注文書、来た?」と聞いてくる。同じものなのか、別のものなのか。受け取ったら、何を見ればよいのか。営業を始めて間もないころに、よくある場面です。
辞書(コトバンク)には、「発注書」という見出しは見当たりません。載っているのは「発注」と「注文書」です。
| 言葉 | 辞書の語釈 |
|---|---|
| 発注 | 「注文を出すこと。」(デジタル大辞泉「発注」) |
| 注文書 | 「注文の条件を書き記した書類。注文状。」(デジタル大辞泉「注文書」) |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
2つを合わせると、発注書は、注文を出す側が、注文の条件を書いて、相手に出す書類という意味で使われています。注文の条件について、日本大百科全書(ニッポニカ)は、「注文に際しては、品質、数量、価格、受け渡しの時期と場所、代金決済の期日と方法、荷造り、輸送方法などを明確にしなければならない。これらを明記した注文用の文書を注文書という。」(日本大百科全書(ニッポニカ)「注文」)と説明しています。
なぜ書面にするのか。電話や会話だけの注文は、数量や納期の聞き違いが起きても、あとで確かめる手がかりがありません。書面があれば、頼んだ側と受けた側が、同じ紙を見て話せます。
営業は、発注書に2つの立場で関わります。取引先から受け取る立場と、自社が仕入先へ出す立場です。発注の反対は、辞書で「注文を受けること。」(デジタル大辞泉「受注」)と説明されている「受注」です。この記事では、両方の立場で確かめることを順に説明します。
発注書と注文書の呼び方の違い
「発注書」と「注文書」に、違いはあるのか。この記事で確かめた辞書には、2つを使い分ける説明は見当たりませんでした。「発注」の語釈そのものが「注文を出すこと。」で、注文という言葉で説明されています。
実際の仕事でも、同じ意味で使われることが多い言葉です。会社によっては、取引の種類や社内の手続きで呼び分けていることもありますが、その分け方は会社ごとの決まりで、どの会社にも当てはまるものではありません。
営業が迷わないための基準は2つです。
- 相手の書類は、相手の題名のとおりに呼ぶ。相手が「発注書」と書いているなら、返事でも「発注書を拝受しました」と書きます。こちらで「注文書」と言い換えると、相手は別の書類のことかと迷います。
- 自社の書類は、自社の呼び方に合わせる。書式の題名と、先輩の呼び方を確かめます。
題名よりも大事なのは、中身です。何を・いくつ・いくらで・いつまでに・どこへ。この条件が書かれていて、だれの名前で出されているか。次の章から、そこを見ていきます。見積書から請求書までの書類の流れは、注文請書とはの表にまとめています。
取引先から発注書を受け取ったときに、確かめること
発注書が届くと、うれしくて、すぐに手配に進みたくなります。けれども、発注書に書かれた条件は、相手が「この内容で頼んだ」という記録になります。見積と違う所に気づかないまま進めると、納めたあとで「頼んだのと違う」という話になります。
受け取ったら、見積書の控えを横に並べて、次の所を見比べます。
| 確かめる所 | 見比べる相手 | 違っていたときに起きること(一例) |
|---|---|---|
| 品名・型番・仕様 | 見積書 | 似た型番の別の品物を手配してしまう |
| 数量・単位 | 見積書 | 「20個」と「20箱」の取り違えで、数が大きく変わる |
| 単価・金額 | 見積書 | 数量が変わると単価が変わる見積だった場合、金額が合わなくなる |
| 納期 | 見積書と、出荷の担当の答え | 見積では「約3週間」、発注書では日付の指定、ということがある |
| 納入場所 | 見積書と、これまでのやり取り | 届け先が変わると、送料や届く日が変わる |
| 支払条件 | 見積書・契約書 | 会社が認めていない条件のまま、受けたことになる |
| 発注番号 | 発注書そのもの | 納品書や請求書に書く番号。控えていないと、相手が照らし合わせられない |
| だれの名前で出ているか | 見積書のあて先、名刺 | 見積を出した会社と違う会社名・部署名のことがある |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
表の数字や日数は説明用の例です。見比べる手順は、注文請書とはの「見比べ方」と同じです。ここでは、発注書ならではの2つを足します。
発注番号を控える。相手の会社では、たくさんの発注が同時に動いています。発注番号は、相手がその一件を探すための番号です。このあとの納品書・請求書・メールの件名に、同じ番号を書きます。受け取ったその日に、自分の記録に写しておきます。
だれの名前で出ているかを見る。発注書の会社名が、見積書のあて先と同じか。部署や担当者は、これまで話してきた相手か。グループの別の会社の名前で届くこともあります。名前が違うときは、請求書のあて先や、取引を始める前の社内の手続きに関わります。自分で「同じグループだから大丈夫」と決めず、上司に見せます。取引を始める前に会社が確かめることは、与信とはで説明しています。
確かめ終わったら、相手に返事をします。発注書を受け取ったこと、内容を確かめたこと、次に何をするかの3つです。注文を受けたことを書面で返す「注文請書」を出す場合は、注文請書とはで、書く項目と印紙を確かめる所を説明しています。
自社が仕入先へ発注書を出すときに、書く項目
営業が、仕入先に品物や作業を頼むこともあります。仕入れは、辞書で「商品や原料を買い入れること。」(デジタル大辞泉「仕入れ」)と説明されています。このときは、自分が発注する側です。発注書を出すのは購買の部署である会社も多いので、まず「だれが出すのか」を先輩に聞きます。
書く項目は、会社の書式が先です。次の表は、よく載っている項目の一例です。
| 項目 | 書くこと | 確かめる所 |
|---|---|---|
| 日付 | 発注書を出す日 | 口頭で頼んだ日より、あとになっていないか |
| あて先 | 仕入先の会社名・部署名・担当者名 | 仕入先の見積書の差出人と同じか |
| 自社名 | 自社の名前・住所・担当者名 | 押印や承認が要るか、会社の決まり |
| 発注番号 | 自社でつける番号 | 番号のつけ方の決まり |
| 品名・型番・仕様 | 頼む品物や作業の中身 | 仕入先の見積書と同じ書き方か |
| 数量・単位 | 個、箱、台など | 自分のお客様に納める数と合っているか |
| 単価・金額 | 1つあたりの値段と、合計 | 仕入先の見積書と合っているか。見積の有効期限が過ぎていないか |
| 納期 | 届けてもらう日 | 自分のお客様に約束した日に、間に合うか |
| 納入場所 | 届けてもらう場所 | 自社か、お客様の所へ直接か |
| 支払条件 | いつ、どの方法で支払うか | 会社の決まった条件か |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
納期は、お客様に約束した日から逆に数えます。仕入先から自社に届き、自社で確かめてから、お客様に納める。その日数を足して間に合う日を書きます。日数の考え方は、リードタイムとはで説明しています。
発注には、法律が関わる取引もあります。以前「下請法」と呼ばれていた法律で、公正取引委員会は、「本改正法は、令和8年1月1日から施行されます。」(公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」)と案内しています。通称は「取適法」です。この法律は、仕事を頼む側(委託事業者)の義務の一つとして、「発注の際は、直ちに発注内容等を書面または電磁的方法により明示すること。」(公正取引委員会「委託事業者の義務」)を挙げています。明示する事項には、「代金の額」や「代金の支払期日」などが並んでいます。
ただし、この法律は、すべての取引に当てはまるわけではありません。公正取引委員会は、「取適法の対象となる取引は事業者の資本金規模又は従業員基準と取引の内容で定義」(公正取引委員会「取適法の概要」)と説明しています。自分の発注が当てはまるかどうかは、この記事では判断しません。会社の購買・経理・法務の担当に確かめてください。営業が覚えておくのは、「急ぎだから、発注書はあとで」が通らない取引がある、という一点です。
口頭や電話だけの注文を、書面で確かめる言い方
「いつもの部品B、20個お願い」。電話や立ち話で、こう言われることがあります。その場では分かったつもりでも、型番、数量、納期、届け先のどれかが、相手の頭の中と違っていることがあります。
何をもって注文とするか、発注書がなくても手配してよいかは、会社と取引によります。先輩に、「A社から、電話で注文をいただきました。発注書をいただいてから手配しますか」と聞きます(説明用の例です)。どちらの場合も、聞いた内容を、その日のうちに書いて相手に返します。
場面ごとの言い方は、次のとおりです。
| 場面 | 言い方(説明用の例) |
|---|---|
| 電話の最後に | 「復唱します。部品Bを20個、◯月20日に、第二倉庫へ。お間違いないでしょうか。このあと、同じ内容をメールでお送りします」 |
| 発注書をお願いする | 「社内の手配のため、発注書をいただけますでしょうか。メールでのご送付で構いません」 |
| 相手が「発注書は出していない」と言う | 「では、こちらから内容をメールでお送りします。ご確認のうえ、ひとことご返信をいただけますでしょうか」 |
| 急ぎで、先に手配を頼まれた | 「手配できるか、社内で確認して、本日◯時までにお返事します」 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
メールで確かめるときの文を、比べます。どちらも説明用の例です。
惜しい例
A社 佐藤様
お電話ありがとうございました。ご注文の件、承知しました。手配を進めます。
お礼と返事は伝わりますが、何を・いくつ・いつ・どこへ、が書かれていません。聞き違いがあっても、相手はこのメールからは気づけません。
良い例
件名:【ご注文内容の確認】部品B 20個(本日のお電話の件)
A社 購買部 佐藤様
いつもお世話になっております。◯◯商事の山田です。
先ほどはお電話をありがとうございました。伺った内容を、下に書きます。
・品名:部品B(型番◯◯) ・数量:20個
・単価:3,000円(◯月◯日付の見積書のとおり) ・金額:60,000円(税抜)
・納期:◯月20日 ・納入場所:御社 第二倉庫
違う点がありましたら、お知らせください。発注書をいただけましたら、その内容で手配を進めます。
電話で聞いた条件を、一つずつ書いています。金額は、単価3,000円×20個=60,000円です。相手は、読んで「合っています」と返すだけで済みます。違っていれば、手配の前に直せます。発注書をもらってから進める、という次の動きも書いてあります。
迷いやすい判断と、内容が違っていたとき
判断1:発注書が届く前に、「先に動いてほしい」と言われたら?
基準は、自社の決まりと、取り消されたときに残るものです。発注書の前に手配すると、あとで数量が変わったり、話がなくなったりしたとき、手配した品物が自社に残ります。自分で決めず、上司に「A社から、発注書はあとになるが先に手配してほしい、と言われました。納期は◯月20日です。進めてよいですか」と聞きます(説明用の例です)。進める場合も、上の良い例のように、内容をメールで返しておきます。
判断2:発注書の名前が、見積を出した相手と違っていたら?
会社名が違う、部署が違う、知らない担当者の名前になっている。どれも、そのまま進めません。相手の担当者に、「発注書のお名前が、◯◯株式会社様になっております。ご請求先も、こちらでよろしいでしょうか」と確かめます(説明用の例です)。答えを聞いたら、上司に伝えます。請求先が変わると、社内の手続きをやり直すことがあるからです。
判断3:発注書の備考に、見積になかった条件が書かれていたら?
「送料は貴社負担」「検査に合格したあとで支払う」のような一文が、備考や裏面に書かれていることがあります(説明用の例です)。小さな字でも、受ければ条件の一部になります。基準は、見積書に書いていない条件は、自分で受けないです。その一文に印を付けて、上司に見せます。相手への断りや相談が要るときの文は、お断りメールの書き方が参考になります。取引の約束を別の書面で残す場合は、覚書とはで扱います。
判断4:仕入先に出した発注書に、返事が来ないときは?
届いているか、その条件で受けてもらえるかが、分からない状態です。お客様への納期に関わるので、待ち続けません。発注書に「◯日までにご回答ください」と書いていたなら、その日を過ぎた時点で連絡します。連絡の文は、催促メールの書き方の「文例2」が使えます。
受け取った発注書の内容が、見積と違っていたとき
その場では:違いを一つずつ書き出します。どちらが正しいかを、自分で決めません。相手が条件を変えたのか、書き間違えたのかは、聞かないと分からないからです。
相手には、2つの書類の違いを、そのまま伝えます。「ご発注書では、部品Bの数量が30個となっております。◯月◯日付のお見積りでは20個でした。30個でお間違いないでしょうか。数量が変わる場合は、単価と納期をあらためてお知らせします」という形です(説明用の例です)。
相手の書き間違いだったときは、直した発注書を出し直してもらえるかを聞きます。受け取った発注書に、こちらで手書きの訂正を入れることはしません。相手の会社の記録と、こちらの手元の紙が、違うものになるからです。出し直しが難しいと言われたら、正しい内容をメールで書いて返信をもらい、発注書と一緒に残します。
自社が出した発注書を、間違えていたとき
その場では:気づいた時点で、仕入先に電話します。仕入先がもう手配を始めていると、止められなくなるからです。伝えるのは、どの発注書か(番号と日付)、どこが違うか、正しくはどうか、の3つです。そのあと、上司と購買の担当に報告し、直した発注書の出し方(番号を変えるか、「訂正」と書くか)を聞きます。先に出した発注書をどうするかも、仕入先に伝えます。
帰ってからの記録:なぜ違いが出たのかを書きます。「お客様の発注書ではなく、自分の見積書を見て、仕入先への数量を書いた。次からは、お客様の発注書を横に置いて書く」のような形です(説明用の例です)。報告の順番は、営業で失敗したときにまとめています。
納めたあとの書類は納品書とは、代金をお願いする書類は請求書の書き方で扱っています。
今日やることは一つです。受け取った発注書を一つ用意し、見積書の控えと並べて、品名・数量・単価・納期・納入場所・支払条件・発注番号・名前を一行ずつ見比べてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
受け取った発注書(または注文のメール)、その取引の見積書の控え、相手の名刺。
記入例を見る(説明用)
発注書の日付・発注番号と、だれの名前で出ているか=◯月◯日付、発注番号456。A社 購買部 佐藤様の名前。見積書のあて先と同じ/品名・数量・単価=部品B、20個、単価3,000円、金額60,000円(税抜)。見積書と同じ/納期と納入場所=発注書は「◯月20日・第二倉庫」。見積書には「ご注文から約3週間」と書いた。◯月20日に間に合うかは未確認。出荷の担当に今日聞く。納入場所は、見積のときは本社だった。第二倉庫でよいか、佐藤様に確かめる/支払条件と、備考=支払条件は見積書と同じ。備考に「送料は貴社負担」とある。見積書には書いていない条件なので、上司に見せる/違う所・未確認の所=納期(出荷の担当に、今日中)、納入場所(佐藤様に、明日の午前まで)、送料(上司に、今日中)。確かめてから、佐藤様に返事をする。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
発注番号と名前を控えてあり、見積書と違う所・未確認の所に印が付いていて、それぞれ、だれに・いつまでに確かめるかが書いてある。
うまく進まなかったときは?
見積書の控えが見つからなければ、先輩に「この取引の見積書は、どこにありますか」と聞く。違いをどう伝えるか迷ったら、「ご発注書では◯◯、お見積りでは◯◯となっております。どちらで進めればよろしいでしょうか」と、2つの書類の言葉をそのまま並べる。発注書なしで進めてよいか分からなければ、上司に「発注書をいただく前に、手配してよいですか」と聞く。