NOTE 166 · 営業の実践ノート
企画書の書き方:書く項目と、一枚にまとめる並び、通らなかったあとの直し方
公開:2026年10月4日
広告:この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由の購入により、当サイトに報酬が支払われる場合があります。
企画書は、勉強会・展示会・キャンペーンなどの「やりたい事の計画」を、決める人に通すための書類です。書くのは、題・ねらい・だれに・何を・いつ・どこで・いくら・だれがやるか・見込み・確かめ方の10項目。数字は、もう起きた実績と、これからの見込みを分けて書きます。書式や呼び名は会社によって違うので、会社の書式があれば、そちらに合わせてください。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 上司や取引先から「企画書にして出して」と言われ、何を書けばよいか分からないとき。
- 1
ねらいを一文で書く
- 2
だれに・何を・いつ・どこで・いくら・だれがやるかを埋める
- 3
見込みと実績を分けて書き、確かめ方を決める
- 4
関わる人に先に見せてから、決めてほしいことを添えて出す
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
企画書とは:やりたい事の計画を、決める人に通すための書類
取引先の売り場で、商品の勉強会を開きたい。上司に話すと、「いいね。企画書にして持ってきて」と言われた。提案書なら見たことがあるけれど、企画書には何を書けばよいのか。営業を始めて間もないころに、よくある場面です。
辞書(コトバンク)には、「企画書」という見出しは見当たりません。載っているのは「企画」です。語釈は、「ある事を行うために計画をたてること。また、その計画。くわだて。」(デジタル大辞泉「企画」)と、「計画を立てること。また、その計画。くわだて。もくろみ。企図。」(精選版 日本国語大辞典「企画」)です。
語釈から分かることが二つあります。一つは、企画には「行う事」が先にあるということです。勉強会を開く、展示会に出る、キャンペーンをする。何をするのかが決まっていないものは、まだ企画になっていません。もう一つは、企画は計画だということです。思いつきではなく、いつ・どこで・だれが・いくらで、まで決めてあるものを指します。
企画書は、その計画を紙や画面に書いたものです。書く目的は、決める人に「やってよい」と言ってもらうことです。決める人は、その場にいない人と相談したり、後で読み返したりします。だから、口で説明しなくても、読めば分かるように書きます。
書式や呼び名、だれに出すかは、会社によって違います。会社に決まった書式があれば、そちらが先です。この記事の項目は、会社の書式に当てはめる材料として使ってください。
提案書・稟議書との違いと、営業が企画書を書く場面
似た書類に、提案書と稟議書があります。辞書には「提案書」という見出しも見当たらないので、「提案」の語釈を見ます。「議案や意見を提出すること。また、その議案や意見。」(デジタル大辞泉「提案」)です。
語釈から言えるのは、ここまでです。企画は「ある事を行うための計画」、提案は「案や意見を出すこと」。二つの書類をはっきり分ける公的な決まりは、見当たりません。同じ中身の書類を、ある会社は企画書と呼び、別の会社は提案書と呼ぶことがあります。上司に「企画書を」と言われたら、過去に通った一枚を見せてもらうのが早道です。
この営業ノートでは、次のように分けて説明しています。
| 書類 | この営業ノートでの役割 | 書き方の記事 |
|---|---|---|
| 企画書 | 催しや取り組み(勉強会・展示会・キャンペーンなど)の計画を、社内や取引先に通す一枚 | この記事 |
| 提案書 | お客様に、商品やサービスの導入を決めてもらうための資料 | 提案書の作り方、一人歩きできる資料 |
| 持ち帰り用の一枚 | お客様の担当者が、社内で説明するときに使う一枚 | 「社長に相談します」と言われたら |
| 稟議書 | 社内で、費用や特別な条件の承認を求める書類 | 稟議書の書き方 |
| 営業資料 | 会社案内や商品資料など、商談で見せる・渡す資料の全体 | 営業資料の作り方 |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
企画書が通ったあとに、費用の承認のために稟議書を書く会社もあります。企画書で「何をするか」を決め、稟議書で「その費用を使ってよいか」を決める、という順番です。どちらが要るかは、上司に聞きます。
営業が企画書を書くのは、たとえば次のような場面です。
| 場面 | 通す相手 | 相手が知りたいこと |
|---|---|---|
| 取引先での商品の勉強会 | 上司。取引先の店長や責任者 | 売り場の時間と人をどれだけ使うか。何ができるようになるか |
| 展示会や商談会への出展 | 上司。費用を決める部署 | 費用と人手。だれに会えそうか。終わったあと何をするか |
| 売り場でのキャンペーンや販促 | 上司。取引先の担当者と、その上司 | 期間、値段や景品の条件、売り場の場所、在庫 |
| 既存のお客様向けの説明会や見学会 | 上司。関係する部署 | 呼ぶ相手と人数、日程、当日の役割 |
| 社内の勉強会や、仕事の進め方の見直し | 上司。関係する部署 | だれの時間をどれだけ使うか。今の何が困っているか |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
値引きや景品には、会社の決まりや法律が関わることがあります。企画書に書く前に、上司に「この条件は出してよいですか」と確かめます。営業の計画や資料を作る部署との関わり方は、営業企画とはにまとめています。
書く項目と、一枚にまとめる並び
企画書に書く項目は、次の10個です。一つの項目は、1〜2行で足ります。
| 項目 | 書くこと | なぜ書くか |
|---|---|---|
| 1. 題 | 何をしたいのかが、一目で分かる名前 | 読む人は、題で「何の話か」「自分が決めることか」を見分ける |
| 2. ねらい | 何のためにやるのか。終わったとき、どうなっていたいか | ねらいが分からないと、費用や手間が見合うかを判断できない |
| 3. だれに | 対象の人と、人数 | 相手が決まらないと、中身も日時も決められない |
| 4. 何を | 当日や期間中にやること | 承認したあと、実際に何が行われるのかをはっきりさせる |
| 5. いつ | 日時や期間。準備の締め切り | 決める人が、ほかの予定とぶつからないかを見る |
| 6. どこで | 場所。借りるなら、その手配 | 場所の持ち主の許可が要ることがある |
| 7. いくら | 費用の内訳と合計。だれが負担するか | 決める人が、自分の権限で決められる金額かを見る |
| 8. だれがやるか | 準備と当日の役割。名前と期限 | 名前が無い仕事は、だれもやらないまま当日になる |
| 9. 見込み | やった結果、何がどのくらい変わりそうか。その根拠 | 見込みと根拠があると、やる意味を比べられる |
| 10. 確かめ方 | 終わったあと、何を・いつ・どうやって数えるか | 先に決めておかないと、やりっぱなしになる |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
3番目から8番目は、「だれが・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」で整理する考え方と重なります。考え方は、5W1Hとはで説明しています。
一枚にまとめる並び
並びは、上から「題→ねらい→中身(だれに・何を・いつ・どこで)→いくら→だれがやるか→見込みと確かめ方→決めてほしいこと」です。読む人は上から順に読み、途中で「それで、いくらかかるの」「だれがやるの」と思います。その疑問が出る順に並べると、読み返さずに済みます。
最後の「決めてほしいこと」は、表の10項目とは別に、一行で書きます。「◯月◯日までに、実施の可否を決めていただきたい」という形です(説明用の例です)。これが無いと、読んだ人は「分かった」で終わり、返事が来ません。
書く手順
- ねらいを一文で書く。書けなければ、まだ企画が固まっていません。先に上司や先輩に、口で話してみます。
- だれに・何を・いつ・どこでを埋める。決まっていない所は空欄にせず、「未定。◯日までに取引先へ確認」と書きます。
- 費用を、内訳から書く。合計だけでなく、「何が・いくつ・いくら」を並べます。
- 役割に、名前と期限を入れる。名前を書く前に、本人に頼んでよいかを聞きます。
- 見込みと確かめ方を書く。次の章の書き方に合わせます。
- 出す前に、関わる人に見せる。場所を借りる相手、手伝ってもらう人に、先に一声かけます。
6番目をやるのは、企画書で初めて自分の名前を見た人が、驚くからです。先に聞いておけば、「その日は無理」といった条件も、出す前に分かります。
数字は、見込みと実績を分けて書く
企画書には、二種類の数字が入ります。辞書の語釈で比べます。見込みは「先行きの予想。あて。」(デジタル大辞泉「見込み」)、実績は「実際に現れた功績、または成績。」(デジタル大辞泉「実績」)です。
実績は、もう起きたこと。見込みは、これから起きると予想していること。この二つが混ざると、読む人は、どの数字をどこまで信じてよいかが分からなくなります。分けて書くためのコツは、次の3つです。
- 実績には、いつの・何の数字かを書く。「今月のA社からの注文は20個(受注の記録で数えた)」のように、数えた元も添えます(説明用の例です)。
- 見込みには、「見込み」と書き、根拠を一つ添える。「翌月は30個の見込み。根拠は、店長から『説明できる人が少ない』と聞いたこと」のような形です(説明用の例です)。
- 見込みを、約束のように書かない。「30個に増える」と言い切らず、「30個を見込む」と書きます。
根拠が思いつかないときは、数字を作らないでください。「数字の見込みは立てられていない。今回は、参加者が説明できるようになったかを確かめる」と書くほうが、読む人の役に立ちます。効果の数字に計算の前提を添える書き方は、提案書の作り方でも説明しています。
確かめ方は、企画が通る前に決めておきます。「何を・いつ・どの記録で数えるか」の3つです。終わったあとの振り返りは、PDCAとはの「確かめる」に当たります。結果の報告の書き方は、報告書の書き方にあります。
惜しい例と良い例
取引先A社で、商品の勉強会を開く企画を例にします。会社名、人数、金額、注文数は、どれも説明用の例です。
| 項目 | 惜しい例 | 良い例 | 違い |
|---|---|---|---|
| 題 | 勉強会について | A社の売り場担当者向け 新商品の勉強会の実施について | 良い例は、だれに・何をするのかが題だけで分かる |
| ねらい | 関係を強化し、売上の拡大を図る | A社の売り場担当の方が、新商品の使い方を、自分でお客様に説明できるようにする | 惜しい例は、終わったときの姿が見えない。良い例は、できたかどうかを確かめられる |
| いくら | 費用は少額 | 見本品 6個×500円=3,000円、資料の印刷 6部×50円=300円。合計3,300円。当社の負担 | 「少額」は、人によって受け取り方が違う。内訳があれば、決める人が削る所も選べる |
| 見込み | 売上が大幅に伸びる | 今月の注文は20個(実績)。翌月は30個を見込む。根拠は店長の話 | 惜しい例は、実績と見込みの区別も、根拠も無い |
| 確かめ方 | 書いていない | 翌月末に、A社からの注文数を受注の記録で数える。当日、参加者に「説明できそうか」を聞く | 確かめ方が無いと、次に同じ企画を出すときの材料が残らない |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
良い例を、一枚の並びにすると次のようになります。
題:A社の売り場担当者向け 新商品の勉強会の実施について
ねらい:A社の売り場担当の方が、新商品の使い方を、自分でお客様に説明できるようにする。
だれに:A社の売り場担当 6名
何を:新商品の使い方の説明30分と、質問の時間15分
いつ:◯月◯日(◯)開店前の45分。資料は◯月◯日までに作る
どこで:A社の店舗の休憩室(店長の佐藤様に、使ってよいか確認中)
いくら:見本品 6個×500円=3,000円、資料の印刷 6部×50円=300円。合計3,300円。当社の負担
だれがやるか:説明と資料=自分。日時の調整=佐藤様。当日の同行=先輩の鈴木さん(本人に依頼済み)
見込み:今月のA社からの注文は20個(実績。受注の記録で数えた)。翌月は30個を見込む(見込み。根拠は、佐藤様から「説明できる人が少なく、売り場で聞かれても答えられない」と聞いたこと)
確かめ方:翌月末に、A社からの注文数を受注の記録で数える。当日、参加者に「説明できそうか」を聞いて、答えを控える
決めてほしいこと:◯月◯日までに、実施の可否を決めていただきたい
通す相手によって、同じ企画でも書き方が変わります。社内の上司に出すときは、費用と自分たちの手間を詳しく書きます。取引先に出すときは、相手に使ってもらう時間・場所・人を先に書き、自社の原価や社内の事情は載せません。取引先に出す版は、先に上司の確認を取ります。
前に似た企画をやったことがあるなら、そのときの実績と反省を一行足します。初めての企画なら、小さく試す形(1店舗だけ、1回だけ)にすると、決める人が判断しやすくなります。
迷いやすい判断と、通らなかったあとの直し方
判断1:一枚に収まらないときは?
基準は、決めるのに要るものだけを一枚目に残すです。当日の進行表、費用の細かい見積もり、会場の図などは、二枚目から後ろに回します。一枚目だけを読んで「やる・やらない」を決められるかを、自分で読み返して確かめます。
判断2:見込みの数字を、出せないときは?
根拠のない数字は書きません。代わりに、数えられるものを一つ選びます。参加した人数、当日に出た質問の数、あとで来た問い合わせの件数などです。それも難しければ、上司に「見込みの数字が立てられません。確かめ方だけ書く形でよいですか」と聞きます(説明用の例です)。
判断3:出す前に、口頭で話しておいてよい?
多くの場合、先に話しておくほうが進めやすくなります。上司には「◯◯の企画を考えています。企画書にする前に、5分だけ聞いていただけますか」と声をかけます(説明用の例です)。この時点で「それは今はやらない」と分かれば、書く手間が省けます。伝える順番は、報連相とはの「相談」と同じです。
判断4:取引先から「企画書を出して」と言われたら?
その場で、3つ聞きます。だれが読むのか、いつまでに要るのか、決まった書式があるかです。「どなたがご覧になりますか。いつまでにお持ちすればよろしいでしょうか」と聞きます(説明用の例です)。持ち帰ったら、上司に報告し、出してよい条件(値段、費用の負担)を確かめてから書きます。
通らなかったあと:理由を聞いて、3つに分ける
企画が通らないことは、よくあります。まず、理由を聞きます。「今後の参考にしたいので、どの点が足りなかったか、教えていただけますか」という聞き方です(説明用の例です)。理由は、だいたい次の3つに分かれます。
| 理由 | 直し方 |
|---|---|
| ねらいが伝わらなかった | ねらいを一文で書き直す。終わったときにどうなっていたいかを、確かめられる形にする |
| 費用や手間が大きい | 小さく試す形に変える。人数を減らす、1回だけにする、費用のかからない方法に変える |
| 時期が合わない | 「いつなら検討できますか」と聞き、その時期を予定に書いておく。その日が来たら、数字を新しくして出し直す |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
直した版には、「前回からの変更点」を一行で書きます。読む人が、どこが変わったのかを探さずに済みます。
記録には、通らなかった理由を、相手の言葉のまま書きます。「費用が高いと言われた。次は、1店舗で試す形で出す」のような形です(説明用の例です)。
出したあとで、数字の間違いに気づいたら
気づいた時点で、すぐに訂正を伝えます。決める人が、間違った数字のまま判断するのを防ぐためです。「◯月◯日にお出しした企画書の費用に、誤りがありました。正しくは[正しい金額]です。直した版をお送りします」と、どの数字がどう変わるかを書きます(説明用の例です)。失敗の報告の順番は、営業で失敗したときにあります。
今日やることは一つです。通したい企画を一つ選び、ねらいを一文で書いて、費用の内訳と、終わったあとの確かめ方を書き出してください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
会社の企画書の書式(あれば)。過去に通った企画書の控え。費用の見積もりや、注文数などの記録。
記入例を見る(説明用)
題と、ねらい(一文で)=題:A社の売り場担当者向け 新商品の勉強会の実施について。ねらい:A社の売り場担当の方が、新商品の使い方を、自分でお客様に説明できるようにする/だれに・何を・いつ・どこで=A社の売り場担当6名に、使い方の説明30分と質問15分。◯月◯日(◯)の開店前。A社の店舗の休憩室(使ってよいかは未確認。明日、店長の佐藤様に聞く)/いくら(内訳と合計)と、だれがやるか=見本品6個×500円=3,000円、資料の印刷6部×50円=300円。合計3,300円。説明と資料は自分。当日の同行は先輩の鈴木さん(依頼済み)/見込み(根拠も)と、分かっている実績=実績:今月のA社からの注文は20個(受注の記録で数えた)。見込み:翌月は30個。根拠は、佐藤様から「説明できる人が少ない」と聞いたこと/終わったあとの確かめ方と、決めてほしいこと=翌月末に、注文数を受注の記録で数える。当日、参加者に「説明できそうか」を聞く。◯月◯日までに、実施の可否を決めていただきたい。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
ねらいが一文で書いてあり、費用に内訳があり、見込みと実績が分けて書いてあり、終わったあとの確かめ方と、決めてほしいことが書いてある。
うまく進まなかったときは?
ねらいが書けなければ、上司や先輩に、やりたい事を口で話してみる。費用が分からなければ、「未確認」と書いて、だれに聞くかを添える。見込みの数字が立てられなければ、数字を作らず、参加した人数など数えられるものを確かめ方に書く。