NOTE 47 · 営業の実践ノート
営業資料の作り方:種類を分けて、1枚目に相手の用件を書く
公開:2026年10月3日
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営業資料とは、商談で相手に見せたり渡したりする資料の総称です。会社案内、商品資料、提案書、見積書、事例の資料などがあり、呼び方は会社によって違います。作るときは、先に「誰が・いつ・何を決めるために読むか」を決め、1枚目に相手の用件を書きます。
この記事の目次 読みたいところへ ↓
こんなときに 「営業資料を用意して」と言われ、何を作り、何を持って行けばよいかが決まらないとき。
- 1
会社にある資料を、種類ごとに並べる
- 2
誰が・いつ・何を決めるために読むかを決める
- 3
1枚目に相手の用件を書き、中身を順に並べる
- 4
渡した資料と、次の連絡日を記録する
会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。
営業資料とは:商談で見せる・渡す資料の総称
営業資料とは、営業の担当者が、商談で相手に見せたり、渡したり、送ったりする資料の総称です。会社案内、商品やサービスの資料、提案書、見積書、事例の資料などが含まれます。
呼び方は、会社によって違います。「営業ツール」「提案資料」「パンフレット」と呼ぶ会社もあれば、提案書だけを「営業資料」と呼ぶ会社もあります。上司から「営業資料を用意して」と言われたら、どの資料のことかを先に聞きます。
初めのうちは、二つの場面でつまずきがちです。一つは、何を作ればよいか分からず、手が止まる場面です。もう一つは、会社にある資料を全部かばんに入れて行き、全部渡して終わる場面です。全部渡すと、相手はどれから読めばよいかが分かりません。
この記事は、営業資料の全体の地図です。種類を分け、作る前に決めることを決め、1枚目に何を書くかを説明します。提案書そのものの作り方は提案書の作り方に、商談全体の進み方は商談とはにまとめています。
種類と、使う場面
次の表は、営業資料の種類を分けた一例です。名前と中身は、会社によって違います。自分の会社にどれがあるかを、先に確かめます。
| 種類 | 書いてあること | 使う場面(一例) | 用意する人(一例) |
|---|---|---|---|
| 会社案内 | 自分の会社が何をしているか、所在地、連絡先など | 初めての訪問で、名刺と一緒に渡す | 会社が用意していることが多い |
| 商品・サービスの資料 | 種類、仕様、使い方など | 相手が中身を知りたいとき | 会社が用意していることが多い |
| 提案書 | 相手の困り事に合わせた案、条件、次の予定 | 話を聞いた後の、2回目以降の商談 | 営業の担当者が、相手ごとに作る |
| 見積書 | 品目、数量、金額、条件、期限 | 金額と条件を示すとき | 会社の書式で作り、上司の確認を受けることが多い |
| 事例の資料 | ほかのお客様での使われ方 | 相手が「うちでも使えるか」を知りたいとき | 会社が用意。出してよい範囲を確かめる |
| 要点の一枚 | 提案の要点を一枚にまとめたもの | 相手が社内で説明するとき | 営業の担当者が作る |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
表を見ると、資料は二つに分かれます。会社が用意していて、選んで持って行く資料と、相手ごとに自分で作る資料です。会社案内や商品の資料は前者、提案書や要点の一枚は後者です。
分けて考えるのは、やることが違うからです。選ぶ資料は、最新のものかどうかと、どのページを見せるかを決めます。作る資料は、相手の用件に合わせて中身を決めます。「資料を作る」と言われて手が止まるときは、まず、選ぶ物と作る物に分けます。
見積書は、金額と条件を約束する書類です。送る前の確認は、見積書を送る前に確認する7項目にまとめています。相手の課題に合わせて提案する進め方は、ソリューション営業も参考になります。
作る前に決める3つ:誰が・いつ・何を決めるために読むか
資料を開く前に、次の3つを紙に書きます。ここが決まると、入れるページと、削るページが分かります。
1. 誰が読むか
目の前の担当者だけが読むのか、その上司も読むのか、実際に使う現場の人も読むのかを書きます。読む人によって、知りたいことが違います。使う人は使い方、上司は費用と時期、というふうにです。
分からないときは、担当者に「この資料は、ほかにどなたがご覧になりますか」と聞きます。会社を相手にする営業で、決めることに関わる人が複数いる点は、法人営業とはにまとめています。
2. いつ読むか
商談中に一緒に見るのか、後で一人で読むのか、社内の会議で回るのかを書きます。一緒に見る資料は、こちらが言葉で補えます。後で読まれる資料は、書いてあることだけで伝わる必要があります。
3. 何を決めるために読むか
読んだ相手に、何を決めてほしいのかを一つ書きます。もう一度会うか、試してみるか、社内に相談するか、注文するか、などです。決めることが書けない資料は、説明だけで終わりやすくなります。
惜しい書き方:「A社向けの資料を作る」
良い書き方:「A社の佐藤様が、課長に1か月の試し利用を相談するときに見せる資料を作る」
どちらも説明用の例です。惜しい書き方は、誰が・いつ・何のために読むかが入っていないので、何ページ作っても終わりが見えません。良い書き方は、読む人(佐藤様と課長)・読む時(相談のとき)・決めること(試し利用)が入っています。試し利用に関係のないページは、入れなくてよいと分かります。
1枚目の作り方と、中身の順番
相手は、1枚目を見て、自分に関係のある資料かどうかを判断します。1枚目には、次の4つを書きます。
- 相手の会社名と、日付。誰に向けた、いつの資料かが分かります。日付がないと、後で条件が変わったとき、どれが新しいのかが分からなくなります。
- 相手の用件。前回、相手が言った困り事や質問を、相手の言葉で書きます。自分の会社の商品名より先に置きます。
- この資料で分かること。「条件」「費用」「始められる時期」のように、中身を短く並べます。
- 自分の会社名、名前、連絡先。資料だけが社内で回ったとき、質問の連絡先が分かります。
惜しい題:「サービスのご案内」
良い題:「納品を週1回から週2回にした場合の、条件と費用について(前回ご相談の件)」
どちらも説明用の例です。惜しい題は、どの相手に渡しても同じです。相手は、自分のための資料だとは受け取りにくくなります。良い題は、相手が前回話したことが、そのまま題になっています。相手は「あの件の答えだ」と分かって読み始められます。
会社案内や商品の資料のように、1枚目を変えられない資料もあります。その場合は、相手の用件と、見てほしいページを書いた一枚を、いちばん上に添えます。
中身の順番
2枚目から後ろは、相手が知りたい順に並べます。次は一例です。
- 相手の用件(1枚目と同じ言葉で)
- それに対する答え、または案
- そう言える理由と、詳しい説明
- 条件(金額、時期、相手にお願いすること)
- 次に決めてほしいことと、期限
- 連絡先
自分の会社の紹介を最初に長く置くと、相手は自分の用件にたどり着く前に読むのをやめることがあります。会社の紹介は、短くするか、後ろに回します。
数字や実績を書くときは、社内で確認できたものだけを書きます。いつの時点の、どこから出た数字かを添えます。確認できていない数字は、書きません。後で違っていたと分かると、資料全体が信じてもらえなくなります。
ほかの会社が作った資料や、画像、図表を使いたいときは、自分で決めずに、会社の決まりと、その素材の利用条件を確かめます。
提案書の1枚目に入れる欄の詳しい作り方は提案書の作り方、完成した形は提案書の完成見本で見られます。Word・Excel・PowerPointのどれで作るかは、営業の文章とOfficeにまとめています。
場面で変わるところと、渡したあと
同じ資料でも、見せ方と渡し方は場面で変わります。次の表は一例です。
| 場面 | 力を入れる所 | 進め方(一例) |
|---|---|---|
| 対面で見せる | 相手の用件のページから開く | 全部を読み上げない。会う予定の人数より多めに持って行く |
| メールで送る | 読むだけで分かるようにする | メールの本文に、何の資料か、どこを見てほしいかを書く。送る前に、あて先と添付のファイルを確かめる |
| 相手が社内で回す | 説明する人がいなくても伝わるようにする | 自分の会社だけで通じる言葉を避ける。要点の一枚を付ける |
| 初めての訪問 | 相手の話を聞く時間を残す | 会社案内と、相手の仕事に近い資料を少しだけ持って行く。帰りに渡す方法もある |
| 2回目以降の訪問 | 前回の用件に答える | 1枚目に前回の用件を書く。宿題の答えを先に伝える |
| オンラインの商談 | 画面で読める文字の大きさにする | 先に送るかどうかを、相手に聞く。終わった後に、見せた資料を送る |
表が収まらない場合は、左右に動かせます。
相手が社内で回す資料は、こちらがその場にいません。説明する人がいなくても伝わる資料の考え方は一人歩きできる資料、担当者が上司に説明するための一枚は「社長に相談します」と言われたらにまとめています。
渡したあとにやること
資料は、渡して終わりではありません。渡したあとに、次の3つをやります。
- 何を渡したかを記録する。資料の名前、日付、渡した相手を書きます。後で条件を変えた資料を出すとき、相手の手元にどれがあるかが分かります。
- 次に連絡する日を決める。帰る前に「来週の水曜ごろ、ご不明な点がないか伺ってもよろしいですか」と聞きます(説明用の例です)。決めていないと、こちらから連絡しにくくなります。
- 出た質問を書き残す。相手が質問したページは、ほかの相手も知りたい所かもしれません。次に資料を作るときの材料になります。
返事を待つあいだの進め方は、「検討します」の後にまとめています。
紙で渡す資料は、折れや汚れがないようにして持って行きます。渡すときにクリアファイルに入れるかどうか、社名入りの封筒があるかどうかは、会社で違います。先輩に聞いて合わせます。
よくある失敗と、迷いやすい判断
先に、よくある失敗です。その場の立て直し方と、帰ってからの記録をセットで決めておきます。
失敗1:古い資料を渡してしまった
その場では:価格や仕様が前のままの資料を渡したと気づいたら、その日のうちに連絡します。「本日お渡しした資料に、古い内容がありました。正しい資料をお送りします。違うのは、◯ページの価格です」と、どこが違うかまで伝えます(説明用の例です)。黙って差し替えると、相手の手元に二つの資料が残り、どちらが正しいのかが分からなくなります。
帰ってからの記録:上司に報告し、新しい資料がどこに置いてあるか、最新かどうかをどう見分けるかを聞いて書きます。報告のしかたは、営業で失敗したときにまとめています。
失敗2:前の相手の会社名が、資料に残っていた
その場では:前に作った資料を直して使うと、起きやすい失敗です。気づいたら、言い訳を足さずにおわびし、正しい資料を出し直します。ほかの相手の情報が載っていた場合は、自分で判断せず、すぐ上司に報告します。
帰ってからの記録:送る前に見る点に、「会社名・名前・日付」の3つを足します。資料の中を、前の相手の名前で検索する手順も書いておきます。
失敗3:資料を読み上げて、時間が終わった
その場では:途中で気づいたら、読むのを止めて、「ここまでで、気になる点はありますか」と聞きます。残りは「後のページは、お手元でご覧ください」と言って、相手の質問に時間を使います。
帰ってからの記録:相手が質問したページと、開かなかったページを書きます。次は、質問が出たページから始めます。相手の話の聞き方は、商談ヒアリングにまとめています。
ここからは、迷いやすい判断です。
判断1:資料は、何枚がよい?
この記事では、枚数は決めません。基準は、相手が決めることに要るページかどうかです。作る前に書いた「何を決めるために読むか」を見て、関係のないページを外します。
外したページを見せたくなる場面に備えるなら、「参考」として後ろに分けておきます。前のほうは、相手の用件と答えだけにします。
判断2:会社のパンフレットがあれば、自分で作らなくてよい?
基準は、相手の用件に答えているかどうかです。パンフレットは、誰に渡しても同じ内容です。相手の質問への答えが載っていれば、そのページを開いて見せれば足ります。
載っていないときは、答えを書いた一枚を添えます。自分で作ってよいかは、上司に聞きます。「A社向けに、質問への答えを一枚にまとめたいです。下書きを見ていただけますか」と、下書きを持って聞くと、直す所を教えてもらいやすくなります。
判断3:先に送る?当日に渡す?
基準は、相手の希望が先です。「先に資料をください」と言われていれば、送ります。希望がないときは、相手が当日までに読んでおく必要があるかで決めます。何人かが参加する商談では、先に送ると、当日の質問が出やすくなります。
迷うときは、相手に聞いてかまいません。「資料を前日までにお送りしたほうがよろしいですか。当日お持ちすることもできます」(説明用の例です)。
判断4:ほかのお客様の事例や写真を、載せてよい?
自分では決めません。基準は、会社が、外に出してよいと決めたものかどうかです。会社が用意した事例の資料があれば、それを使います。
自分が担当したお客様の話や写真を使いたいときは、上司に聞きます。「B社の事例を、A社への資料に載せたいです。載せてよい範囲を教えてください」と、どの相手に見せるのかまで伝えます(説明用の例です)。
今日やることは一つです。次の商談を一件決め、持って行く資料の種類を選び、1枚目に書く「相手の用件」を一文で書いてください。
YOUR TURN
自分の一件で、書いてみよう。
手元に用意するもの
次の商談のメモ、会社にある資料の一覧(会社案内・商品資料・見積の書式など)、前に渡した資料の控え。
記入例を見る(説明用)
相手と、渡す場面=A社の総務の佐藤様。来週の2回目の訪問で、対面で見せて渡す/読む人・読む時・決めること=読む人:佐藤様と、佐藤様の上司の課長(名前は未確認)。読む時:商談中に一緒に見る。その後、佐藤様が課長に見せる。決めること:1か月の試し利用を社内で相談するかどうか/持って行く(送る)資料の種類=提案書(自分で作る)、商品資料は該当のページだけ、見積書(上司の確認を受けてから)。会社案内は初回に渡したので持って行かない。事例の資料は、出してよい範囲を先輩に確認中(未確認)/1枚目に書く相手の用件=「納品を週1回から週2回にした場合の、条件と費用について(前回ご相談の件)」/渡したあとにやること=自分:渡した資料の名前と日付を記録する。課長から出た質問への答えを、金曜までにメールで送る。佐藤様:課長に見せた後、質問があれば連絡をくださる。来週の水曜に、こちらから状況を伺う電話をしてよいと確認する。
CHECK
ここまでできたら、次へ。
読む人・読む時・決めることが書いてあり、持って行く資料が種類で選んであり、1枚目に相手の用件が相手の言葉で書いてある(分からない所は「未確認」と、誰に聞くかが書いてある)。
うまく進まなかったときは?
何を持って行くか決まらなければ、先輩に「次はA社の2回目です。提案書と見積書を持って行くつもりです。足りない物はありますか」と聞く。相手の用件が書けなければ、前回のメモを読み直し、相手の言葉を一つ書き写す。