NUSSI’S SALES NOTEウッシの営業ノート

NOTE 44 · 営業の実践ノート

営業に向いてる人・向いてない人:性格で決めず、仕事の中身と比べる

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営業に向いてる人・向いてない人は、性格だけでは決められません。営業の仕事は、準備・聞く・提案する・約束を守る・記録する・断られたあとの対応、といういくつもの動きでできていて、動きごとに、できることとつらいことが分かれるからです。この記事では、動きごとに自分の今を書き出し、つらい理由を分け、今日変えられることと相談することを分ける手順を説明します。

今日できるようになること

営業の6つの動きごとに「できている・練習中・つらい」を書き、つらい動きを一つ選んで、理由と、今日変えることを一つ書く。

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こんなときに 「自分は営業に向いていないのかもしれない」と感じ、何から考えればよいか分からないとき。

この順番で進めよう
  1. 1

    営業の仕事を、6つの動きに分ける

  2. 2

    動きごとに「できている・練習中・つらい」を書く

  3. 3

    つらい理由を、量・やり方・人間関係・商品・体調に分ける

  4. 4

    今日変えることと、相談することを一つずつ決める

会話・記入例は、説明用の例です。自分の案件の条件へ置き換えて使ってください。

「向いてる・向いてない」を、性格で決めない理由

断られた日の帰り道や、目標の数字を見た朝に、「自分は営業に向いていないのかもしれない」と思うことがあります。調べると、「明るい人が向いている」「話すのが苦手な人は向いていない」といった、性格の言葉がたくさん出てきます。

この記事では、性格で向き・不向きを決めることはしません。理由は3つあります。

  • 営業の中身が、会社や担当で大きく違うから。新しいお客様を探す仕事と、決まったお客様を回る仕事では、一日の動きが違います。違いは営業の種類にまとめています。
  • 一人の中でも、動きごとに得意と不得意が分かれるから。話すのは苦手でも、約束を守ることと記録は確実、という人がいます。その逆の人もいます。
  • 性格の言葉は、今日やることにつながらないから。「内向的だから向いていない」と決めても、明日の訪問で何を変えればよいかは出てきません。

このブログの運営者ウッシも、営業になって初めて受けたメーカーの研修で厳しく否定され、報告会では「毎日がんばりました」ということしか言えなかった、と話しています(「頑張りました」しか報告できなかった研修)。これは、性格の話というより、「見たことを記録して報告する」という一つの動きの話として読めます。動きであれば、やり方を変える余地があります。

この記事は、診断ではありません。転職をすすめることも、止めることもしません。続けるかどうかを決めるのはあなたです。その前に、「営業」を動きに分け、どこがつらいのかを自分の言葉で言えるようにする手順を紹介します。

営業の仕事を、6つの動きに分ける

営業の仕事は、大きく6つの動きに分けられます。分け方は一例です。会社によっては、配達、集金、事務の作業などが加わります。自分の仕事にある動きは、表に足してください。

動き具体的にすることやり方をまとめた記事
準備する相手のことを調べ、今日のゴールを決め、持ち物をそろえる初めての訪問で準備する3つのこと
聞く今のやり方と困り事を聞き、要約して確かめる商談ヒアリング
提案する何を・いくらで・いつからを、相手に伝わる形で出す提案書の作り方
約束を守る返事、見積もり、連絡を、言った日までに出す「検討します」の後
記録する聞いた事実と、次にやることを書き、上司に報告する商談メモ添削
断られたあと理由を聞いて記録し、次に連絡してよい時期を確かめる失注の振り返りシート

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

表を見ると、「話す」という動きが独立していないことに気づきます。話すことは、聞く・提案する・約束する、のそれぞれに含まれています。「話がうまいかどうか」は、6つの動きの一部でしかありません。

6つのうち、準備する・約束を守る・記録する、の3つは、相手の前に立っていない時間の動きです。営業というと商談の場面を思い浮かべがちですが、こうした動きも、仕事の一部です。営業の仕事の全体像は営業とはで説明しています。

手順:動きごとに、今の自分を書く

紙を一枚用意します。かかる時間は、15分ほどが目安です。

  1. この2週間の仕事を見返す。手帳、予定表、日報を開きます。記憶だけで書くと、直近のつらかった一件に引っぱられます。
  2. 6つの動きごとに、「できている・練習中・つらい」のどれかを書く。目安は次のとおりです。できている=人に確かめなくても、だいたいできた。練習中=やり方は分かるが、時間がかかる、または抜けが出る。つらい=前の日から気が重い、手が止まる。
  3. 「つらい」と書いた動きに、場面を一つ足す。「聞くのが苦手」ではなく、「火曜のA社で、質問が2つで止まった」のように、いつ・何があったかを書きます。
  4. つらい理由を分ける。分け方は、次の章で説明します。
  5. 今日変えることを一つ、相談することを一つ決める。決め方は、その次の章で説明します。

手順2で3つに分けるのは、「向いていない」という一言が、できている動きまで消してしまうからです。書いてみると、「つらい」のとなりに、「できている」「練習中」の動きが並ぶことがあります。

次は、記入の例です。説明用の例で、特定の人の記録ではありません。

動き今の自分場面
準備するできている前の日に、持ち物と訪問先までの道順を確かめている
聞くつらい火曜のA社で、質問が2つで止まり、残りの時間は商品の説明をしてしまった
提案する練習中先輩の資料を借りて説明している。自分で作ったことは、まだない
約束を守るできている見積もりは、言った日までに出せている
記録する練習中その日に書けず、翌日になる日がある
断られたあと練習中理由を聞けずに帰ることが多い

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

書き方にも、良い例と惜しい例があります。

惜しい書き方:「聞く=つらい。コミュニケーション能力が低いから」

良い書き方:「聞く=つらい。火曜のA社で、質問が2つで止まった。質問の順番を決めていなかった」

惜しい書き方は、自分の性質を理由にしています。これでは、次に変えることが出てきません。良い書き方は、場面と、そのときの自分の行動を書いています。「質問の順番を決めていなかった」なら、「次は、質問を3つ紙に書いて行く」と続けられます。

この表は、一回書いて終わりにしません。日付を入れて残し、1〜2か月後にもう一度書くと、「練習中」が「できている」に変わった動きが見えます。

つらい理由を、5つに分ける

同じ「聞くのがつらい」でも、理由が違えば、やることが違います。理由は、次の5つに分けて考えます。場面は説明用の例です。

理由場面の例確かめたいこと
仕事の量訪問や電話の件数が多く、準備や記録の時間が取れない順番を変えられるもの、減らせるものがあるか
やり方手順を教わっておらず、その場で考えている先輩がどうやっているかを、一度見せてもらえるか
人間関係特定の上司や先輩、特定のお客様とのやり取りで気が重い誰となら話せるか。担当や同行の組み合わせを変えられるか
商品商品のことをよく知らない。または、相手の役に立つと思えない知らないだけなのか、知ったうえで納得できないのか
体調眠れない日が続く。食欲がない。朝、体が動かない書き出すより先に、人に話す

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

「やり方」が理由なら、練習や、先輩のやり方を見ることで変わる余地があります。営業を始めたばかりの時期の「つらい」には、やり方をまだ教わっていないだけ、というものが混ざっていることがあります。

「仕事の量」「人間関係」「商品」は、自分一人では変えにくい理由です。がまんの量を増やすのではなく、変えられる立場の人に、場面を伝えて相談します。

理由が2つ重なることもあります。「量が多くて準備の時間がなく、その結果、聞くことがうまくいかない」という形です。そのときは、両方に印を付けて構いません。

体調のサインが続くときは、整理より先に相談する

眠れない、食欲がない、朝になると体が動かない、休みの日も仕事のことが頭から離れない。こうした状態が続いているときは、この記事の手順を後回しにしてください。向き・不向きを考えるのは、体が休まってからで間に合います。

先に、家族や友人など身近な人、かかりつけの医師などの医療機関、会社の相談窓口や産業医(働く人の健康を見る医師)に話します。厚生労働省の「こころの耳」は、働く人のメンタルヘルスのためのサイトです。こころの耳の相談窓口では、電話・SNS・メールで、匿名・無料で相談できます。受付の時間は、リンク先で確かめてください。

相談の順番や、社外の窓口については、営業を続けるか迷ったらにまとめています。そちらでは、つらさを「仕事の中身・職場の条件・暮らしと体調」の3つの箱に分けています。この記事の5つの理由は、それを営業の動きごとに、もう少し細かく見たものです。

今日変えられることと、相談すること

理由が分かったら、自分で今日変えられることと、人に相談することを分けます。全部を自分で抱えると続きません。全部を人に任せると、自分の手元は何も変わりません。次の表は、分け方の一例です。

つらい動きと理由今日、自分で変えること相談すること(誰に・何を)
聞く × やり方今のやり方を聞く質問を3つ、紙に書いて持っていく先輩に、同行のあと「質問の順番を見てもらえますか」と頼む
記録する × 仕事の量商談の直後に、日付・相手・次にやることの3行だけ書く上司に、「訪問が続く日は、記録の時間が取れていません。件数の組み方を相談させてください」と伝える
提案する × 商品商品について分からない点を3つ書く先輩に、「この3点を教えてください」と聞く。勉強会や資料があるかも聞く
断られたあと × やり方断られた理由を、一行で記録する先輩に、「断られたあと、何と言って帰っていますか」と聞く
どの動きも × 人間関係誰との、どの場面かを書く話しやすい先輩、人事、社内の相談窓口のうち、話せる相手を一人選ぶ

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

上司や先輩への言い方で、相手が答えやすいかどうかが変わります。どちらも説明用の例です。

惜しい言い方:「自分は、営業に向いていないと思います」

良い言い方:「初めての訪問で、質問が続かずに困っています。先週のA社では、2つ聞いたところで止まりました。次の同行のときに、聞き方を見ていただけますか」

惜しい言い方では、上司は「そんなことはない」と励ますか、黙るか、のどちらかになりがちです。何を手伝えばよいかが分からないからです。良い言い方は、動き・場面・お願いの3つが入っています。上司は、「では木曜に同行しよう」と、行動で答えられます。

場面で変わるところ

同じ手順でも、今の立場によって、見るところが変わります。

場面見るところ進め方(一例)
営業になって間もない時期ほとんどが「練習中」でも、おかしくない「つらい」を一つだけ選び、やり方を教わる。向き・不向きを考える材料は、まだ少ない
担当や商品が変わった直後前の担当ではできていた動きが、一時的に「練習中」に戻る前と何が変わったか(相手・商品・件数)を書き、変わった部分だけを先輩に聞く
上司が忙しく、相談の時間が取れない口頭だけに頼らない動き・場面・お願いを3行のメモにして渡し、「5分だけお時間をください」と頼む
相談できる先輩が近くにいない社内のほかの相手を探すほかの部署の先輩、人事、社内の相談窓口のうち、話せる相手を一人選ぶ

表が収まらない場合は、左右に動かせます。

失敗のあと:書き出したら、かえって落ち込んだとき

その場では:「つらい」と「練習中」ばかりが並ぶと、気が重くなります。そのときは、「できている」の目安を下げて、もう一度見ます。約束の時間に着いた、言った日に資料を送った、も「できている」に入ります。それでも重いときは、紙を閉じて、その日は休んでください。

あとの記録:日付を入れて、そのまま残します。書き直して、きれいにする必要はありません。次に書いたときに、比べる元になります。

失敗のあと:相談したが、「気にしすぎだ」で終わったとき

その場では:言い返さず、「ありがとうございます。一つだけ、次の同行で聞き方を見ていただけますか」と、お願いを一つにしぼって、もう一度伝えます。相手が受け取れるのは、気持ちの大きさより、具体的なお願いです。

あとの記録:誰に・いつ・何を相談し、どんな返事だったかを書きます。別の相手に相談するとき、同じ説明を一からせずに済みます。「相談したが、変わらなかった」という事実も、この先を考える材料の一つです。

迷いやすい判断

判断1:話すのが苦手。営業はできない?

「話すのが苦手」を、6つの動きのどこで困っているかに置き換えます。基準は、困る場面を一つ言えるかどうかです。初めて会う相手との最初の一言なのか、商品の説明なのか、電話なのか。場面が決まれば、そこだけ先に言葉を紙に書いておけます。

電話で会う約束をお願いする場面なら、話す順番を先に書いておけるアポ取り電話の台本があります。かけ方は営業電話のかけ方にまとめています。聞く・記録する・約束を守る、の3つは、話のうまさとは別の動きです。

判断2:断られるのがつらい。慣れるしかない?

「慣れる」以外に、分けて考えられることがあります。基準は、つらいのが、断られた回数なのか、断られたあとの時間なのかです。

回数が多くてつらいなら、理由は「仕事の量」か「やり方」です。上司に、「今週、電話で断られた件数が多く、次の電話に手が伸びません。かける相手の選び方を見ていただけますか」と相談します(説明用の例です)。

断られたあと、何をすればよいか分からずに引きずるなら、やることを先に決めておきます。理由を一つ聞く、次に連絡してよい時期を聞く、記録する、の3つです。断られたときの言い方は営業のアポ取りにあります。

判断3:数字の目標が苦しい

数字を、結果の数字と行動の数字に分けます。売上や契約の件数は結果の数字で、相手の事情でも動きます。訪問した件数、提案を出した件数、約束した日までに返事をした件数は行動の数字で、自分で数えられます。

苦しさが「何をすれば届くのかが分からない」なら、上司に「今月、どの行動を増やせばよいですか」と聞きます。「行動は増やしているのに、目標そのものが重い」なら、理由は量です。行動の数字を紙に書いて持っていき、目標の考え方を相談します。数字が少ないときの仕事の整理は、営業実績の書き方が使えます。

判断4:辞めるか、続けるか迷う

この記事では、どちらがよいとも言いません。6つの動きの表は、どちらを選ぶ場合にも材料になります。続けるなら、どの動きを練習し、何を相談するかが分かります。別の仕事を考えるなら、「どの動きは続けたいか、どの条件を変えたいか」を説明できます。

条件を一つずつ確かめる手順は、営業を続けるか迷ったらにまとめています。つらい時期の一日の過ごし方は、「腐るなよ」に、当時は「いつまで?」と思っていたに書いています。

今日やることは一つです。6つの動きごとに「できている・練習中・つらい」を書き、つらい動きを一つ選んで、理由と、今日変えることを一つ書いてください。

仕事や会社を変えることを考え始めたら、営業の転職の進め方で、辞める前に確かめることを見てください。

辞めたい気持ちが強いときは、営業を辞めたいと思ったらで、決める前に分けて書くことと相談先を確かめられます。

YOUR TURN

自分の一件で、書いてみよう。

手元に用意するもの
この2週間の手帳や予定表、日報、商談メモ。

記入例を見る(説明用)

6つの動きと、今の自分=準備:できている(前の日に持ち物をそろえている)/聞く:つらい/提案する:練習中(先輩の資料を借りて説明している)/約束を守る:できている/記録する:練習中(翌日に書く日がある)/断られたあと:練習中/いちばんつらい動きと、その場面=聞く。火曜のA社への訪問で、質問が2つで止まり、残りの時間は商品の説明をしてしまった/つらい理由=やり方。質問の順番を教わったことがなく、その場で考えている。体調は変わりなし。量と人間関係は、今は当てはまらない/今日、自分で変えること=次の訪問の前に、今のやり方を聞く質問を3つ、紙に書いて持っていく/相談すること=先輩の鈴木さんに、木曜の同行のあと「質問の順番を見てもらえますか」とお願いする。

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CHECK

ここまでできたら、次へ。

6つの動きのそれぞれに、できている・練習中・つらいのどれかが書いてある。つらい動きには、場面と理由が書いてある。今日変えることが一つ、相談することには相手と日にちが書いてある。

うまく進まなかったときは?

場面が思い出せなければ、今日から3日間、仕事の終わりに「いちばん気が重かった場面」を一行だけ書く。理由が分けられなければ、2つに当てはめて構わない。眠れない・食欲がないなどが続いているなら、書き出すことを後回しにして、身近な人や医療機関、会社の相談窓口に話す。

NEXT NOTE

次に読むなら

営業を続けるか迷ったら「腐るなよ」に、当時は「いつまで?」と思っていた営業とは:仕事の中身と最初の5つの動き